「ショーガール」ポール・バーホーベン監督、1995年公開。
ラジー賞を総なめにしたバーホーベン監督の黒歴史作品と聞いていたのでかなり覚悟して見たのだが、ハードルを下げていたせいか、いやそこまでひどくないんじゃないの? という感じ。なんだかんだで最後まで見てしまう面白さ。
ひょっとして、ラジー賞に選ばれるということは、逆にある程度のクオリティは保証されているということなのか。
ストーリーは、ダンサーを目指して田舎から出てきた女の子の裸一貫ど根性アメリカンドリーム。
ラスベガスに来て初めて踊った店は、きわどいサービスも行っているトップレスクラブ。もちろん主演のエリザベス・バークレーをはじめとしてダンサー全員オッパイ丸出しだし、時折腰のあたりにモヤモヤとぼかしがかかる。
そして次に主人公が踊るのは、ゴージャスなスターダストホテルで上演されているダンスショー「女神」。華麗なるステップアップと言いたいところだが、こちらもトップレスショーなので女優陣全員オッパイ全開。さすがバーホーベン、オッパイ惜しみなし。
オーディションやショーのシーンから連想したのは、1985年公開の映画「コーラスライン」。
かたやブロードウェイで世界一のダンサーを目指す若者達のお話、かたやベガスで上も下も丸出しで四文字言葉を連発する下品なド根性物語だが、「コーラスライン」の演出家(マイケル・ダグラス)と「ショーガール」のスターダストホテルのエンターテイメントマネージャー(カイル・マクラクラン)の名前がどちらもザック(いずれもヒロインと色恋沙汰あり)とか、ダンスショー「女神」の振付師(パトリック・ブリストウ)と「コーラスライン」の演出補佐(テレンス・マン)が何となく雰囲気が似ているとか、シニカルな演出家による過酷なオーディションとか足を怪我するダンサーとか金色に輝くショーの衣装とか、何気ない類似点が気になる。
これはバーホーベンによる“裏コーラスライン”、映画「コーラスライン」への10年ごしのアンサームービーなのもしれない。何を返事してるかさっぱりわからないけど。
あるいはショーダンサーものの映画は大体こんな感じになっちゃうのかも。ショービジネス界のエラい人は皆ザックなのかも。【み】