映画の感想文「アミューズメント・パーク」

真っ白い部屋の中にいたひとりの老人がドアを開けて外に出るとそこは賑やかな遊園地。彼がこのアミューズメントパークでさまざまな酷い扱いを受け打ちひしがれて帰ってくるまでを描いた53分の映画「アミューズメント・パーク」(1973年/ジョージ・A・ロメロ)。

遊園地のアトラクションが現実社会の出来事のメタファーになっている。
冒頭とドラマの後に主演の老人が老人が生きることの困難さ、老人を助けるために人々ができることを観客に呼びかけている。
その内容は私が60代になって感じていることをよく代弁しており当時30代のロメロの観察眼に最初は驚いたが実は事情はさにあらず。
ルーテル教会が高齢者問題の教育用に製作したものの、内容が悲惨すぎてお蔵入りになっていたものらしい。

いや、どうしてよりによってロメロに頼んだかなルーテル教会。そりゃ凄いのが出来上がってくるよロメロだもの。
遊園地のアトラクションが様々な現実社会の出来事のメタファーになっている。部屋から出た時は陽気でハツラツとしていた老人だが、パーク内でとことん酷い目にあっているうちにボロボロになっていく。
冒頭とドラマの後に主演の老人(リンカーン・マーゼル)が、老人がこの社会で生きることの困難さ、老人を助けるために人々ができることを観客に呼びかけているのが、いかにも「教育映画」らしい演出。【福】

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