東京のデパートの中に自分の店を出した直子が、毎晩岸和田に電話をかけてくる。
電話を受ける千代に「電話料金が相当かさんでいるはず、お母ちゃんからもうかけてくるなと言って」と糸子。
お金に関して鷹揚な千代はそれを聞いてビックリ、「でも、こうして電話をかけてくるということは相当へこんでいるに違いないので、一度様子を見てきてはどうか」と糸子に進言する。
そして、直子の店の様子を伺いにいった糸子は見た。
ショーウィンドウに飾っていたオブジェを「汚い鉄屑を片づけなさい」とデパートの支配人に叱られる直子。
関西弁を無理に直される直子。従業員に小馬鹿にされる直子。
やけに誇張した東京弁の小娘に自分のデザインしたパンタロンを「不良品」とクレームをつけられる直子。
経験もなく無名の若い直子が掲げる理想は東京のデパートではまだ通用しない。
そんな様子を見て、糸子は直子に声がかけられない。声をかけるタイミングを見計らってデパートの中を何度もぐるぐる。
千代の心配は的中、直子は東京での仕事にかなりへこんでいたのだ。
いつもとぼけたことを言っているが、実は千代は孫達のことをよく見ている。
昨日の回の聡子といい今日の直子といい、グッジョブとしか言いようがない。
直子のアパートで、源太・小沢・吉村の同期生男子3人組をまじえて楽しい夕餉。
出前を取るのに「握りを三人前?」とおずおずと言う小沢、「五人前や! 握りの松やで、梅やら竹やら取りなや!」と糸子はご機嫌だ。「おおおお」「ありがとうございます」と盛り上がる3人組。
「ええて、飢えた若い子にお腹いっぱい食べさすんが、おばちゃんらの役目やさかいな」と恵比須顔の糸子。
まるで「親父が息子の友人達と一杯やりながら旨い寿司をたらふく奢る」の図である。
支配人に撤去させられたオブジェは源太の作品であった。
その話題をキッカケに上機嫌の糸子は「おばちゃんもこの頃ちょっと賢うなってな」と、源太達に上機嫌で語り始める。
若い子のやることが自分に理解できないからといって、それが間違っているとは限らない。
それは外国語のようなもので、自分には理解できないが、それで通じ合っている人達がいることはわかる。
そして相手がどれくらい本気か、気持ちを込めて言っているかもわかる。
「若い頃はワクワクしていた街の風景の移り変わりが今はなんだか怖い」と昨日の回では言っていた糸子。
ふくふくと可愛い初孫を抱いたり、才能あふれるエネルギッシュな直子達を見たせいか、心の中に本格的に復活の狼煙が上がった模様。いいぞ糸子。その調子だ。
一方、「デザイナーとして育ててみたい」という北村の話を聞いて、瞳に灯りがともる聡子。
「デザイン画の1枚も描いたことないくせにいい加減なことを言うな」と糸子は叱りつけるが、聡子の心は既にファッションデザイナーに向かっているのは、昨日の聡子と直子のやりとりからして明白。
MICHIKO LONDON誕生まであともう少し!…じゃなくてSATOKO LONDON? いやまあ何ロンドンでもいいけどガンバレ聡子!
北村は今度こそ失敗は許さん。聡子の面倒をちゃんと見てやっておくれ。【み】