ストリートファイトに負けて帰ってきた里香を心配した糸子は、里香の母の優子ではなく叔母の直子に相談の電話をかけるのであった。
まあ、岸和田のヤンキーと喧嘩して顔に傷をつけて帰ってきたなんて聞いたら、優子はヒステリーを起こして黒目をぐりぐり剥いてキーキーわめきながら里香を連れ戻してしまうだろう。
アホやなあ、里香。あんなお嬢さん育ちがちょっとグレたぐらいで喧嘩なんか強なるわけないんや。ちゃんとわからせといちゃらな危ないで。
そうだそうだ!
この3日間モヤモヤしていたことを直子が言ってくれてスッキリした。
「昨日からごはんも食べずに部屋にこもっていて、泣きもわめきもしないので余計かわいそう」と、糸子。
かわいそう? は! お母ちゃんも年とったもんやな。ヤンキーが喧嘩して負けて帰ってきたて、ほんなもん、アホがドアホな真似したちゅうだけのこっちゃんか。何かかわいそうや。甘ったれたこと言うちゃったあかんで!
いいぞ直子!
今週に入って時代が変わり、ドラマ全体がパワーダウンしたと感じていた「カーネーション」だが、やはり渡辺あやの脚本に揺るぎなし。直子役の川崎亜紗美も揺るぎなし。
直子が画面に登場するとドラマがいきいきする。
岸和田出身だから泉州弁が自然だし、テンポがよくて間がよくて、まるで上手な歌手が朗々と唄うのを聞くような心地よさ。
モデルになっているコシノジュンコにそっくりな上、赤ん坊の頃から我々が見ていた“猛獣・直子”のキャラが一切ブレていないのも嬉しい。
そして、電話を切ったあとで仏壇に手を合わせる糸子。
「あんな怖い叔母ちゃん、一体誰が産んだんでしょう」とモノローグ。いや、まあ、なんだ、惜しいというか、その、ニュアンスというかなんというか、この台詞はオノマチ糸子で聞きたかったな。
さて、昨日の三林京子に続き、今日は佐川満男。
この人はもともと歌手だが、関西弁で味のある芝居をする俳優である。
NHK、連日手厳しい。夏木マリ十番勝負か。次は誰だ。
「今は幸せかい」VS「絹の靴下」昭和のヒット曲対決。
佐川満男は神戸出身、自然な関西弁で肩の力の抜けた演技。
先週までの糸子は柔らかく湿った声質だったが、今週からの糸子は枯れた硬質な声なので、余計に関西弁特有の柔らかみが感じにくいのかもしれないとなんとなく思った。
「男の人は一人でごはんを食べたらあかん」と思う糸子は、妻に先立たれた中高年の男性を集めて、時々食事会を開いているのだという。
幼い頃から勘助、平吉を子分に遊び、女子の友達がいなかった糸子らしい集まり……と思ったら、そういうことではないらしい。
「もし、まだこの世におるんやったら、どうか、あの人にもこんな場所があってほしい。そない思うからです」。
ここで思わず「えーーっ!」と声が出てしまった。
北村は死んでるわけだから、これは当然……いや、まさかここで周防とは……!
ひょっとして糸子、男と認識しているのは泰蔵と周防だけなのか?
いかにも80年代らしい派手なソフトスーツ二人組の小柄な方は「ますだおかだ」の増田英彦。全然気づかなんだ。昨日、Twitterで知人に教えられて驚いた。【み】