「カーネーション」最終週スタート

糸子が「ウチの手柄」「押し込んでやった」と威張っている老人ホームから病院に通えるほど、今も奈津は元気らしい。
91歳の幼なじみが近所で健在というのは、なかなか珍しくめでたいことである。

画面に奈津が登場すると、糸子の現在と少女時代が一気に繋がるのである。
個性的な面差しの子役・高須瑠香が演じた奈津がツンとすまして歩いていく姿が鮮明に甦る。

70数年間ずっと印象が変わらない奈津に対し、ごんたくれで食いしん坊で人の気持ちが読めなくて家の中では不機嫌でいつも仕事で疲れているオッサンみたいだった糸子が、今の糸子にどうしても繋がらないのが残念。
夏木糸子はモデルの晩年の小篠綾子さんにかなり寄せているのだと思うが、最終的にこういうカタチになることがわかっていたのなら、その前の尾野真千子、二宮星への演出を華やかで色気のある夏木マリに寄せていってもよかったんじゃないの…と思ったり思わなかったり。

糸子の寝室にベッドが入った。お年寄りは布団より立ったり座ったりが楽なベッドがいい。
糸子は特殊メイクでシワシワになっているが、従業員の孝枝と浩二は登場時のまま一向に老け込まない。
リビングでラジオ体操に励む糸子。
老人が集うホームやサークル等とは縁のなさそうな暮らしをしているのに、1951年から始まった現在のラジオ体操をどこで覚えたのだろう。

インタビュー取材などのシーンで夏木糸子がよく見せる小首をかしげて華やかにニッコリ笑うキメ顔、あれをやるとまったく糸子っぽくなくなってしまうのでやめた方がいいと思う。
60歳までの糸子は照れることはあっても気取ることのない人だった印象がある。

「オナカスイタ、ハヨ鰻食ベタイ」とか「昼ハ肉ガ食ベタイ、ヘレカツヘレカツ」とか、今日になって急に糸子の食欲を強調してきたのは「幼い頃から食いしん坊だった彼女はいまだ健啖家で元気だ」と言いたいのか、あるいは老いてワガママで無邪気な人になってきたと言いたいのかは判断つかぬ。

小篠綾子さんが生前よく言っていたという「私も朝ドラの主人公になりたい」のエピソード登場。
確かに以前から朝ドラを見ながら朝食をとるシーンが強調されていた気がする。綾子さんは朝ドラ好きだったのだね。

糸子が見ているテレビに突然サイバラ的なイラストが映ったので何かと思ったら、、ウィキペディアによると2005年の朝ドラ「ファイト!」は「題字・タイトル画(エンディング5秒含む)は西原理恵子が担当した」らしい。【み】

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