のんびりと居間で雑誌を読んでいる糸子と聡子。
聡子は大きな足を糸子の膝に乗せて寝転がっている。
お行儀のことはあまり気にしないのが善作亡き後の小原家の家風である。
台所の千代が糸子を呼びつけてひそひそ話。
「たまには聡子のことも誉めたりや。いじらしいやんか。あないしてアンタの膝に脚なんか乗っけて。『この脚でウチもテニス頑張ってるんやで』て、あの子はアンタに言いたいんや」
聡子が「この脚でウチもテニス頑張ってるんやで」をアピールしていたかどうかは定かではないが、千代は善作にもこんな風にひそひそ話をしてたに違いない。
「叱ってばっかりじゃなくてたまには糸子も誉めてやってください」とか「静子はあんなに頑張ってますよ、何か言ってやってください」とか。
千代の進言を受けた糸子は困惑するが、ふと目についた仏壇の奥に無造作に押し込まれていた秩父宮賞の表彰状を取り出し、手を合わせる。
「どないしたん? なんでそんなんするん?」その姿を見た聡子はビックリ。
そこでここぞとばかりに糸子は「そりゃ大事な聡子が頑張って獲った大事な賞だから。聡子は偉い子です」と、芝居がかった大袈裟な語り口で言ってみせる。
この後の聡子の表情の変化が素晴らしい。
「あれ? どういうことなんだろう?」という顔から徐々にニッコリして最後には満面の笑顔。畳に寝転がって足をバタバタ。ああ、聡子可愛いすぎる!
「わあ、嬉しい」とも「おかあちゃん大好き」とも「やったあ」とも言わない最大級の喜びの表現。千代婆ちゃんグッジョブ。
その他、今日の見所は「久しぶりにサエ登場、昔からサエが欲しいものはひとつだけ、それは男」「詐欺罪の話を何も知らなかった直子に話の流れで北村うっかりカミングアウト」「あっという間に優子女児出産、ハンサムなアイビー旦那は一瞬映っただけ」など。
小さな赤ちゃんを抱っこした糸子とそれを見守る聡子の「なあ、おばちゃん」「なあ、おばあちゃん」「なあ、おばちゃん」「なあ、おばあちゃん」のやりとりが微笑ましく可愛らしい。
年末に帰省した直子が聡子と枕を並べ、将来はどうするのかと聞く。
「短大に行く」いやいや、そうではなくて、直子が心配しているのは学校を卒業したその先のこと。
「テニス選手の選手になったらええやん」という直子に、聡子は「うーん…」と歯切れが悪い。
「ほんでもお母ちゃんはあんまし喜ばへんやろ?」
いつものほほんとして上機嫌で悩みなど何もなさそうな聡子だが、テニスでどんなに頑張っても母にきちんと評価されていないことは寂しかったのだ。
今日の回はこれまでみそっかすだった聡子がいよいよドラマのストーリーに参加する兆しを見せた前哨戦。
聡子のモデルのコシノミチコといえば「MICHIKO LONDON」ブランドでおなじみのファッションデザイナーである。このいつもニコニコ顔のテニス少女が一体どこからどうやってファッションの道へ進んでいくのだろう。
そしてオトナになった聡子が、どんなメイクや髪型で、またどんなファッションで登場するのか楽しみである。ガンバレ聡子。【み】