「ミステリーゾーン シーズン2」第20話「ノイズに憑かれた男」

はじめに

2021年1月から「スーパー!ドラマTV」で高解像度バージョンが放送されているのを知り、シーズン1の途中から見始めました。不思議な味わいのストーリー良し30分という尺良し60年代のレトロな雰囲気良し…ということで視聴継続決定。
シーズン2以降は最初から見ることができたので、せっかくなので番組データや感想をまとめることにしました(2022年1月に「スーパー!ドラマTV」でシーズン1の再放送がありました。 これで「ミステリーゾーン」1〜5コンプリートできます。スパドラさんありがとう!)。

※ネタバレおおいにありですので、これから見る予定がある方はご注意ください。

放送データ

「ミステリーゾーン HD版 シーズン2」
第20話「ノイズに憑かれた男」
Static

テレビ嫌いの男は、古いラジオを地下室から持ち出す。彼がひとりで聞いていると、ラジオから流れてくるのは昔の番組だった。

脚本:チャールズ・ボーモント
監督:バズ・キューリック

放送日:2021/02/11(スーパー!ドラマTV)

オリジナル放送日:1961/03/10(米CBS)

出演者

エド・リンゼイ:ディーン・ジャガー/ヴィニー:カーメン・マシューズ/アッカーマン教授:ロバート・エンハート/ロスコー・ブラッグ:アーチ・ジョンソン/ニールソン夫人:アリス・ピアース/店主:クレッグ・ホイト/少年:スティーブン・タルボット/メレディス嬢:リリアン・オマリー/ルウェリン氏:パット・オマリー/ディスクジョッキー:ボブ・クレイン(クレジットなし)/男1:ボブ・ダガン(クレジットなし)/ロックシンガー:ジェリー・フラー(クレジットなし)/不動産セールスマン:エディー・マー(クレジットなし)/コマーシャルの女の子:ダイアン・ストローム(クレジットなし)
ナレーター:ロッド・サーリング

声の出演

久米明/村上冬樹 滝口順平 藤野節子 森川公也/白川澄子 寺島幹夫 肝付兼太 たてかべ和也 明石一

コメント(ネタバレ有)

llustrated by Shinobu Yoshino

貸家のリビングに集まりテレビを見ている借家人たち。偏屈で嫌われ者のエドは皆がテレビに心を奪われているのが気に食わない。彼は捨て台詞を残してリビングを去ると地下室にいき一台の古いラジオを取り出す。彼の部屋でラジオのダイヤルを回すと、ノイズの中からトミー・ドーシーの懐かしい曲が聞こえてきて彼は気分を良くする。
食卓で上機嫌に曲を口ずさむエド。今日ラジオでトミー・ドーシーの実況を聞いたと話すと、トミーは2、3年前に死んだと言われ口論になる。エドは小型のラジオを持ってくるが、いくらチューニングを合わせても曲が流れてこない。皆呆れてテレビを見にいくが、エドに理解のある老婦人ヴィニーとアッカーマン教授は彼の部屋に確かめにいく。しかしラジオからはノイズが流れるばかり。
中継局の故障かもしれないという話になり、番号案内に電話するが、エドが聞いていたラジオ局は15年前に廃業したという。

部屋を去ったヴィニーが教授に、エドは本当に曲を聞いたと思うかと尋ねると、教授はそう思い込んでいるんだと答える。
しかし2人が去った後、エドのラジオからは第二次大戦中のルーズベルト大統領の談話が流れるのだった。

別の日、借家人たちがリビングでテレビを見ているとエドが飛び込んできてまた曲が聞こえるという。しかしヴィニーと教授が部屋につくとラジオからはまたノイズだけが聞こえてくるのだった。
ヴィニーは部屋に残り、エドに対し2人の関係について話し出す。エドとヴィニーは20年前結婚を約束した仲だったが母親の急病で延期になりそのままになってしまった、あの曲があなたにだけ聞こえるのは2人の思い出の曲であの頃の事が懐かしいからだ、20年前に戻ってやり直したいという気持ちがそうさせるのだ、と指摘する。
しかしエドは、自分には確かに聞こえたのだと言ってヴィニーを追い出す。

後日袋いっぱいの買い物をして上機嫌で帰ってくるエド。幻のラジオを聞くのが楽しくて仕方ない様子を危惧したヴィニーと教授はラジオを売り払ってしまう。エドは廃品回収業者の倉庫まで行ってラジオを買い戻し、部屋に戻ってラジオをつける。

するとラジオからは懐かしいトミー・ドーシーの曲が流れてくる。エドは部屋の外に向かってヴィニーを呼ぶ。ヴィニーが部屋にやってくるが、それは年配のヴィニーではなく若く溌剌とした笑顔たっぷりのヴィニーだ。ショットが切り替わりエドを写すと、エドもまた若いエドになっている。2人は曲の流れる中抱き合う。2人は20年前の恋人同士に戻ったのだ。

ラストはリンゼイが過去に戻ったとみるべきか、ぼけて妄想の世界に生きることになったと見るべきか。この時代、およびエンディングのナレーションから考えると前者のハッピーエンドと見るほうが正解だろう。
皆がテレビを見に立つ場面では、吹替えでは「トワイライト・ゾーン」を見にいくことになっているが、原語では「ガン・スモーク」と言っている。
舞台はボーディングハウスという、リビングを共有し食事も提供される貸部屋。今でいうシェアハウスに近いかもしれない。
エド役のディーン・ジャガーは1949年「頭上の敵機」でアカデミー助演男優賞を受賞している。【吉】


ニールソン夫人を演じたアリス・ピアースといえば「踊る大紐育」のルーシー。チップ(フランク・シナトラ)に一目惚れしたタクシー運転手のヒルディ(ベティ・ギャレット)が彼を家に連れ込んだら、留守のはずのルームメイトのルーシーがあいにく風邪を引いて家にいたという気まずいシークエンス。なにしろ風邪っぴきなのでナイトガウン姿だし大きなクシャミを連発するしリビングで吸入を始めるしですっかり艶消し。ほんの1シーンの登場ながら非常に印象深い。【み】

出典

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