2024年12月11日放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS)。久しぶりに圧倒的な面白さだった。
この日の最初の企画は「有名人の卒業アルバム、その地元に行けば意外とすんなり手に入る説」。
オードリー春日、みなみかわ、ザ・マミィ酒井がそれぞれ都内各地を回って有名人が写っている卒業アルバムを探し、発見した写真の数を競うという企画だ。
プレゼンターはダイアン津田。
「短いもん、10時間なんて」と春日は言った
卒業アルバムに載っていた有名人の年齢=ポイントでその合計点を競うというルールだが、卒アルではなく実家などからメールで送ってもらった画像だけだとポイントは半分になる。
なるほど、良いレギュレーション。さすがは「水曜日のダウンタウン」。
制限時間は10時間なので、朝10時に始まった「卒業アルバム集め対決」が終了したのは夜8時だった。
進行役のアナウンサーに「皆さんお疲れ様でした!」と声をかけられた一同。
すると、みなみかわが「一瞬で終わりましたよね」と言うのである。春日も「ねっ、一瞬だったね」と応える。
春日「我々ホントに24時間とかやってるからね、この番組で」
みなみかわ「24時間の後に『金網デスマッチ』ありましたからね。短いもんですよ」
春日「あったからね、30時間とか」
みなみかわ「短いもんですよ」
春日「短いもん、10時間なんて」
体張る系、耐え忍ぶ系の企画で活躍するふたりならではの感想。いや、長いでしょ10時間ロケ!
そして黙ってふたりの話を聞いている酒井。
なお、卒アル探しの結果は以下の通り。
10時間ぶっ通しのロケは間違いなく長いと思うのだが、確かに「水曜日のダウンタウン」的には短いのである。
この3人なら、10時間どころか何日もかかるような「1000点集めるまで帰れません」くらいのハードな企画になりそうなものなのに、10時間でおしまいというのは「水曜日のダウンタウン」にしてはちょっと手ぬるい気がする。
こんな感じなら、なにもこのメンツじゃなくても、アスリートとか昭和のバラドルあたりを芸人と混ぜてチームを組んでロケをしても良かったのでは……?
「卒業アルバム集め対決」のVTRが終わり、スタジオではプレゼンターの津田がパネラー達に感想を聞く。
なお、今回のパネラーはアンガールズ田中、劇団ひとり、野々村友紀子、野呂佳代というかなり強力な布陣。
野呂佳代が写っている卒アルがVTRに登場したのだが、その感想を聞かれた野呂佳代は、写真の写りが「最悪」だと嘆いたり、卒アルを提供してくれた同級生の女性を「私、地元にそんなにいないというか、中学時代の子も連絡とってないんで、ちょっと申し訳ないけど、あんまりピンときてなかった」としどろもどろになる。それを聞いて即座に「感じ悪いね」と言って野呂佳代を苦笑させる劇団ひとり。「ゴッドタン」の絆か。
MCの浜田雅功、プレゼンターの津田も加わって、ひとしきりガヤガヤと野呂佳代いじりタイム。
その後は「卒アル探しの海外版が見てみたい」という劇団ひとりのワールドワイドな提案になごやかに盛り上がり……とその時、スタジオに轟く一発の銃声! 悲鳴を上げる野々村と野呂佳代。
アンガールズ田中の悲劇
アンガールズ田中が椅子の背にぐったりと倒れており、白いジャケットの左胸から血が滲んでいる。
浜田はMC席からアンガールズ田中のもとに駆け寄ると、「撃たれてるやんか…」とつぶやいた。
思いがけない展開にパニックになる一同。その様子を見て、困惑しながらもちょっとにやけているプレゼンターの津田。
「すみませーん、いったん収録止めまーす!」とスタッフ。
そりゃそうだ。たった今、人が撃たれて死んでるからね。
バタバタするスタッフ達、悲痛な表情でそれを見守るパネラー達。改めてアンガールズ田中の身体を見て「田中……即死やないか」とその死を確認する浜田。
浜田とパネラー達は「たまりに行こう」と言って、スタジオから出ていく。
※「たまり」というのは「前室」とも呼ばれるスタジオ手前の控室のようなスペースの業界用語
スタジオにアンガールズ田中の嘘死体と共に残された津田。
「ちょ、ちょっと待って! ちょっと待って!」と一同を引き留めようとしたのだが、皆、津田に構わず“たまり”に行ってしまったのだ。
ひとり残され、困った津田は「どうしたらいいの! おい!」と叫ぶ。
スタジオの奥からは「えらいこっちゃなこれ」「こんなことが起きるなんて…」などと浜田達が話す声が聞こえてくる。
ここで、アンガールズ田中の嘘死体の映像をバックに「名探偵津田 第3話」というテロップが表示されたのだった。
いや、なんという鮮やかな探偵イン!
先程までの卒アル探しのほんわかムードから一変してスタジオは緊迫した空気に包まれた。
そしてテレビの前の「水曜日のダウンタウン」ファンは、皆「そうきたか!」「ここでくるか!」とニヤニヤしていたはずである。このブログを作っている我々東京福袋はニヤニヤが止まらなかったよ!
今後の方針を浜田達に説明する番組ディレクターの松沢孝一と番組プロデューサーの倉田則行。
たぶんふたりとも俳優さんが演じているニセのスタッフ。
「プロデューサーの倉田です」と挨拶された途端、津田は「こんな人ちゃうわ!」と無益なツッコミを入れていた。それを見て笑いをこらえる浜田。
今、目の前でアンガールズ田中が殺されたばかりという深刻な状況なので、仕掛け人の浜田やパネラー達は笑うわけにはいかないのだ。
浜田達がカンペを見ながらセリフを言っているのを見た津田は文句を言うが、皆知らん顔である。
津田が「警察を呼べ」とわめくが、皆、あれやこれやと理由をつけて通報しない。そしていつものパターンで津田、いや、名探偵津田に事件の解決を任せるのだった。
名探偵津田 第3話、いよいよ開幕
「卒アル探し」からアンガールズ田中の突然の死、そして津田が探偵に任命されるプロローグが終わると、スタジオのパネラーは麒麟川島、ヒコロヒー、伊集院光、今田耕司にチェンジ。
第1弾、第2弾でプレゼンターとして名探偵津田の活躍をニヤニヤと見守ってきたバカリズムが、今回もプレゼンターとして登場。
さて、ここから本日の2番目の説のスタートである。
なお、「名探偵津田」は通称で、正式な説のタイトルは「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」。
第1の説「有名人の卒業アルバム、その地元に行けば意外とすんなり手に入る説」のパネラー(というか仕掛人)の面々も豪華だったが、こちらのパネラー達もかなりの重量級である。「水曜日のダウンタウン」が「名探偵津田」に力を入れているのがよくわかる。
さて、名探偵津田第1弾、第2弾と同様に、津田の推理を導く助手役の人物が登場する。
今回はアンガールズ田中のマネージャー(という設定の)根岸渚という女性だ。
有無を言わさず津田をアンガールズ田中の楽屋へ連れていき、田中のカバンの中身を確認させるマネージャー根岸渚。
カバンには1000万円の札束、謎のメモ、美術品オークションの招待状が入っていた。
さらに、新潟行きの新幹線のチケットを見つけた津田はげんなりする。
ここに新潟行きのチケットがあるということは、この後、自分も新潟に行かなければならない。
なにせ名探偵なので先のことまでスラスラっと推理してしまうのである。
マネージャー根岸渚に新潟行きをうながされるが、頑なに拒む津田。
彼は、翌日から沖縄で一泊二日の浜田と共演するCM撮影(ギャラ1000万円!)があると聞かされており、この日は沖縄の気候に合わせて半袖の着替えをカバンに詰めウキウキと「水曜日のダウンタウン」にやってきていたのだった。
「長袖がいります」と津田。「そんなヒマないです」と断固拒否するマネージャー根岸渚。
「ボクは今ちょっと喉が痛いです。上着をください!」と食い下がる津田。
「お願いします。長袖を取りに行かせてください!」「そんなヒマないです。すぐに向かいましょう」「じゃあユニクロに寄ってください!」「いや、そんなヒマはないです」「あります!」「ないです」という防寒をめぐる切羽詰まった応酬の後、津田はゆっくり一呼吸置いて「長袖をください」と静かに訴えかけたのだった。
今日イチの名台詞炸裂。スタジオで見ていた浜田もバカリズムもパネラー達も大爆笑。
そして、沖縄ロケ用に準備した半袖シャツを着た津田は、車に乗せられ5時間ほどかけて目的地の新潟のホテルに到着した。
なぜか東京から新潟への車の中のシーンは一切流れないという「水曜日のダウンタウン」流のあんまりな編集。津田は腰が痛いとぼやいている。
さて、これからどうなる……?
というところで、今回はここまで。続きは年末のスペシャルで放送されるという。
早く続きが見たくてうずうずしているのだが、そもそも年末スペシャルっていつオンエア? 番組中で言ってた? 大晦日から元旦までのぶっ通しならいいのに!
……と思ったら、次週12月12日がスペシャル回だった。
TBSの番組表によれば、いつもより1時間早く始まる2時間スペシャル!
卒アルVTRに潜む謎
ところで、相方の吉野は「卒アルロケ中に映り込んだ新聞の見出しに『ダイヤ』云々とあったのだがその文体も含めて何だか気になった」のだという。
録画を見たところ、「卒アルは多分ないなさすがに」と答えている長髪の男性にカメラが寄ろうとすると、春日がスッと左に避けて新聞がはっきり見えるようになった。
相方の吉野が気になったという新聞の見出しは「またもや怪盗ダイアによる犯行か」。
怪盗ってルパンか。これは確かに非常に不自然。まるで昭和の探偵小説に出てくる新聞の見出しだ。
そして、怪盗の名前が「ダイア」。「ダイヤ」ではなく「ダイア」。
もしや、このVTRが終わるとダイアン津田にスポットライトが当たる(あるいはダイアン津田が面倒くさい仕事に無理やり巻き込まれる)というメッセージだったのか?
Twitterを検索すると、同じ箇所が気になった人大量発生中。
さらに、卒アル探しのVTRに映り込んでいた指名手配のポスターの中心に写っていた男性は名探偵津田第2弾で犯人役を演じた人だという情報も数多くツイートされていたし、この他にも謎が隠されていた模様。
みんなスゴいよ! 私はちっとも気がつかなかったよ!
「春日もうちょっとペースを上げてがんばれよ」とか「むつみ荘の大家さんが見られて嬉しい」とか「みなみかわえらく強運だな」とか、マジメに卒アル探しを見ていたよ! これじゃ完全に「水曜日のダウンタウン」のいいお客さんじゃん!
ただ、今思えば、いくつも違和感があった。
冒頭にも書いたが、ロケ時間の短さはちょっとヘンだった。
この頑丈そうなメンツを揃えて卒アル探すだけでたったの10時間? 敗者に過酷な罰ゲーム的なモノもなし?
埼玉生まれで中学時代から都内の学校に通っていた春日、目黒区出身の酒井、大阪出身であり2009年まで大阪を拠点に活動していたみなみかわ。
どう考えても東京に土地勘のある春日と酒井に有利なゲーム。みなみかわは不利だろう。
しかし、予想に反して優勝はみなみかわだった。有名人が写っている卒業アルバムを次々とゲットし、パネラーの野呂佳代の同級生にまで会っている。このかすかな違和感。
そういえば、酒井ばかりが「現物なし・画像のみ」だったのもちょっと不思議。春日とみなみかわは「現物なし・画像のみ」OKのルールを知らなかったのだろうか?
そもそもプレゼンターが津田であったこと。
ダイアンふたりではなく津田単独。ここでまず軽く違和感を覚えていたのだった。
まさか「卒アル探し説」は「名探偵津田」のフリだったとは……。
となると、「卒アル探し」のロケはどこまでリアルだったのか。
名探偵津田第2弾の犯人役の俳優が写っている指名手配ポスターが偶然映り込むはずがない。
だが、卒アルロケのくだりがすべて「名探偵津田」への仕掛けだったとも思えないのだ。
では、野呂佳代の同級生の女性はホンモノ?(野呂佳代は彼女の記憶が一切ない模様)
現在、母校で教えているという春日の同級生の男性はホンモノ? もしや春日も仕掛け人?
酒井が卒アル現物を1冊もゲットできなかったのは事件に何か関係ある?
もう一度最初から全部見直したら他にもいろいろ「謎」が発見できそうな気がする。
見直したほうが完結編を楽しめるのか、見直さないほうが次回あれこれビックリできて楽しいのか、ここはかなり迷うところだ。
TBSのサイトには何も予告がないが、次週はおそらく「名探偵津田」と「電気イスゲームトーナメント」という最強の二本立てだろう。
見る前にハードルを上げすぎると「それほどでもなかった」とがっかりすることも多いから要注意だが、これを期待するなというほうが無理である。
TBS公式サイトの番組表では次週の内容がまだわからないのだが、最高に面白いスペシャルが見られることを期待している。【み】