岸記念体育会館|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

岸記念体育会館

東京都渋谷区神南1-1-1

財団法人日本体育協会が所有する建築物。1934年に第2代会長岸清一の遺族が寄付した80万円の建設基金により1941年に御茶ノ水に完成。1964年に渋谷に移転し地上5階、地下3階建てのビルとなった。2019年に解体され、新宿区の「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」に移転した。

大日本体育協会会長、IOC委員を歴任した岸清一博士の遺言に基づいて建設された岸記念体育会館。1941年に建設された神田・駿河台の初代・岸記念体育会館から、現在の渋谷区神南に移転したのは東京オリンピックの直前、1964年7月のことでした。その後、JOCや日本体育協会、多くの国内競技団体の本部があり、日本スポーツ界の総本山となっています。(岸記念体育会館|JOC – 日本オリンピック委員会
目次

映画「処女喪失」(1965)

結婚式場東都会館の屋上で話を聞く天野。結婚式場東都会館のとして使われているのは「渋谷公会堂」(現「LINE CUBE SHIBUYA」宇田川町1-1)。奥には「国立代々木競技場」、右手に「岸記念体育会館」が見える。

作品データ
映画「処女喪失」
監督:井田探

1965(昭和40)年/日活

出演:川地民夫、和田浩治、柏木優子、藤江リカ、内田高子、槇洋子

船員の山岸(和田浩治)は婚約者橋本(藤江リカ)の自死の理由を探るうち、彼女が女性文化科学研究所の性に関するアンケートに答えていたことを知る。同研究所を訪れた山岸に編集者の天野(川地民夫)は彼女のアンケートを見せる。そこには山岸の長い航海中に彼女が薬問屋の店員から売春婦になるまでの経緯が綴られていた。アンケート後面談に来なかった女性の方にドラマがあると感じた天野は、4人の女性についてその後の追跡調査を行う。
竹中労「処女喪失―未婚女性の性行動」(1965)をもとに映画化した珍作。処女を失うと結婚はできないという当時の純潔主義の壁の高さと一方でそれを乗り越える男女の姿も描く。映画として処女性についてどう考えるかというスタンスは曖昧になってしまっている。【福】
日活
処女喪失 | 映画 | 日活 純潔を奪われる者、捧げる者、様々な女性たちの性行動を生々しく大胆に描いた異色ドラマ。

白石桂(吉永小百合)が大学の友人川瀬(浜田光夫)の家に行った帰り、二人で渋谷を歩く。
国立代々木競技場と代々木公園の間の道。ただしオリンピック選手村であった代々木公園はこの年まだ完成していない。遠方に岸体育館が見える。

映画「君が青春のとき」(1967)

番組を降板させられた木所香(吉永小百合)は自分が傷つけてしまったピン公(山本圭)を一晩中探す。夜が明ける頃にようやく見つける。国立代々木競技場。背後に岸体育館。

作品データ
映画「君が青春のとき」
監督:斎藤武市

1967(昭和42)年/日活

出演:吉永小百合、山本圭、米倉斉加年、内藤武敏、斎藤チヤ子、十朱幸代、仲谷昇

テレビ局の新人ディレクター木所香(吉永小百合)は享楽的な「青山族」の行動を描くドキュメンタリーを企画し、採用された。熟練したスタッフたちは香を甘く見ていたが、小説家の江波良太(仲谷昇)を構成に迎え、制作はスタートした。自らナンパされる役を買って出た香に近づいてきたのは青山族のピン公(山本圭)。番組制作はピン公の隠し撮りで順調に進み始めたが、一方で彼が素朴で気のいい一青年に過ぎないことを知った香は制作を続けることに悩む。【福】
日活
君が青春のとき | 映画 | 日活 原宿族の生態にスポットを当てる活動的な女性ディレクターに吉永、原宿族に山本が扮し、現代の青春と愛の在り方を描く青春巨篇

TVドラマ「特別機動捜査隊 第267話『焔の丘』」(1967)

特捜隊の橘部長刑事(南川直)、桃井刑事(轟謙二)は焼死した秋津芳子(津村悠子)の姉の吉村龍子(荒川さつき)の事務所へ向かう。
吉村龍子の事務所があるのは「番匠ビル」(現存 / 神南1-9-10)。両刑事の車が走っているのは山手線沿いのいわゆる「ファイアー通り」。右手奥に山手線と当時カナリア色と呼ばれた黄色い車両が見える。左手は「岸記念体育館」(2024年1月現在代々木公園拡張工事中 / 神南1-1-1)。

特捜隊の橘部長刑事(南川直)、桃井刑事(轟謙二)は焼死した秋津芳子(津村悠子)の姉の吉村龍子(荒川さつき)に事情を聞く。
3人が歩いているのは「宮下公園」(現「MIYASHITA PARK」神宮前6-20-10)。左端に岸記念体育館(2023年現在代々木公園拡張工事中 / 神南1-1-1)が見える。

作品データ
TVドラマ「特別機動捜査隊 第267話『焔の丘』」
監督:松島稔

1967(昭和42)年/NET

出演:波島進、南川直、轟謙二

1961年10月よりNET(現・テレビ朝日)系にて放送開始。警視庁から資料提供や撮影の全面的バックアップを受けて製作された日本初の連続1時間ドラマ。1977年3月までの15年半にわたり全801話が放送された。(「東映ビデオ」公式ページより)

第267話「焔の丘」
ある山荘が放火され2つの焼死体が発見される。山荘の主人秋津源三と妻芳子と思われた。芳子は精神を病み、その面倒をみるため看護婦波岡幸子が同居していたが事件後浪岡の消息は不明となっていた。火災の現場へ姉夫婦と同居していた暎子が現れる。暎子は事件の前日長姉の龍子から呼ばれ東京に向かい火災を免れたのだが、龍子に会ってみると彼女は暎子を呼んだ覚えがないと言ったという。【福】

TVドラマ「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ 第16話『これぞヤマトダマシイでござる』」(1967)

公園の遊具を独占する大葉組の組員にハットリくんが怒り、退治する。
組員が遊んでいる公園は「宮下公園」(現「MIYASHITA PARK」神宮前6-20-10)。左遠方に「岸記念体育館」(2024年1月現在代々木公園拡張工事中 / 神南1-1-1)が見える。

作品データ
TVドラマ「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ 第16話『これぞヤマトダマシイでござる』」
監督:小山幹夫

1967(昭和42)年/NET

出演:市村俊幸、関千恵子、松坂慶子、江原一哉、堺駿二、由利徹、熊倉一雄(声)、丸山裕子(声)

藤子不二雄A原作の漫画「忍者ハットリくん」の実写版第2作。伊賀忍者・脳屁之斎斎の高弟、ハットリくんが武者修業のため再び山を降りてきた。忍者怪獣・ジッポウとともに、東京のサラリーマン家庭フジノ家に居候することに。(「東映チャンネル」より)

第16話「これぞヤマトダマシイでござる」
公園を独占していたところをハットリくんに退治されたやくざの大場組の組員たちはハットリくんへの復讐をたくらむ。一方大場組組長(由利徹)の息子にいじめられていたフジ夫(江原一哉)に、げたよ婆さん(堺駿二)はボクシングを通じ大和魂を教えようとする。ここに組長の息子とフジ夫のボクシング対決が行われることになる。【福】

映画「日本春歌考」(1967)

中村(荒木一郎)と谷川高子(小山明子)が、大竹(伊丹十三)の葬儀後関係をもった場面の後に墓場のインサートが入る。背後右に「国立代々木競技場」、左に「岸記念体育会館」(2024年現在代々木公園拡張工事中 / 神南1-1-1)。
「国立代々木競技場」と「岸記念体育会館」を見る角度から、山手線を隔てた「長泉寺」(神宮前-25-12)内の墓地と思われる。

作品データ
映画「日本春歌考」
監督:大島渚

1967(昭和42)年/創造社

出演:荒木一郎、田島和子、小山明子、伊丹一三、宮本信子

上京し受験を終えた中村(荒木一郎)、上田(岩淵孝次)、広井(串田和美)、金田(吉田日出子)、里見(宮本信子)はかつての教師大竹(伊丹十三)を訪ねる。大竹は彼らを居酒屋に連れていく。店内には酔客が歌う軍歌が響いていたが、彼はそれに対抗するように春歌を歌い「春歌は抑圧された民衆の声である」と中村たちに教える。その夜、中村が忘れ物を取りに大竹の部屋に入ると、ガスストーブのガスが漏れていた。中村はあえてそのまま自分の部屋に帰る。翌朝大竹がガス中毒で死んでいるのが見つかった。【福】

女工時代からの友人深井しま子(夏海千佳子)のもとに一度は身を寄せた森田ミツ(小林トシ江)だが、しま子は情夫(江角英明)と同居し売春の斡旋をしていたため荷物を持ち早朝アパートを去る。
正面遠方に「国立代々木競技場」と「岸記念体育会館」。右側の「渋谷パーキング」の位置からロケ地は神宮前5-33前の路上と特定。


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