古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
神南地区
JR山手線と公園通りの間、及びNHK放送センター、国立代々木競技場を含む地区。
映画「穴」(1957)
タクシー運転手(浜村純)を利用し千木(船越英二)を連れ出した北(京マチ子)は、人気のない場所で千木に彼の命が狙われていると忠告する。
背景左端は「宮益坂ビルディング」(現「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」渋谷2-19-15)、中央左に「東急文化会館」(現「渋谷ヒカリエ」渋谷2-21-12)と屋上の「五島プラネタリウム」、中央の大きなビルは看板から「日本生命渋谷支店」(現「日本生命渋谷ビル」神南1-21-1)、右に「東急百貨店東横店」、「渋谷松竹」(現「西武渋谷店A館」宇田川町21-1)のタワーが見える。
これらの建物の位置関係から撮影場所は現「日本生命渋谷ビル」の北側と推定する。1957年当時この場所は戦災復興区画整理事業のため道路(パルコ前からタワーレコードに抜ける道路)を建設中であったことから、道路建設のため空地になった場所を撮影に使ったと推定される。
なお本作では「第億銀行渋谷支店」が登場するが、銀行の周辺が映るシーンで「池袋公共職業安定所」の看板があることから実際には池袋と判断した。
1957(昭和32)年/大映東京
出演:京マチ子、船越英二、山村聡、菅原謙二、北林谷栄
映画「おヤエの女中と幽霊」(1959)
奉公先のご隠居が亡くなってしまったおヤエ(若水ヤエ子)は次の奉公先を探す。
おヤエが訪れたのは「渋谷公共職業安定所」(現「ハローワーク渋谷」神南1-3-5)。
1959(昭和34)年/日活
出演:若水ヤエ子、飯田蝶子、森川信、新井麗子、香月美奈子、藤村有弘
ドラマ「特別機動捜査隊 第001話『最後の犯人を追え』」(1961)
犯人3人組は駐車中の車を盗み第2の犯行現場へ向かう。
犯人が車を停めるのは「東京都渋谷税務事務所」(現在「渋谷PARCO」のはす向かいにある「都営神南1丁目アパート」神南1-19-8)前。
犯人が襲う「東日開発商事」は実在の店舗で現在は「エクセルシオール・カフェ」がある「遠山ビル」(神南1-20-12)。「ワイキキ」の看板は「純喫茶ワイキキ」、「渋谷PARCO」向かいの現「神南興業ビル」(神南1-20-10)。当時の住宅地図より特定。
1961(昭和36)年/NET
出演:波島進、佐原広二、南川直、轟謙二、巽秀太郎、神田隆、室田日出男、柳生博、志村妙子(後の太地喜和子)
第001話「最後の犯人(ホシ)を追え」
3人組の男が盗難車を使い民家に押し入り夫を銃で撃つという事件が発生した。警視庁の立石主任(波島進)率いる立石班が捜査を進めるうち第二の事件が発生、犯人は不動産屋に強盗に入り社員を射殺した。犯行の手口から山口(日尾孝司)が容疑者としてあがり、続いて不動産屋への聞き込みから以前同店で働いていた関口(室田日出男)が関与していることがわかった。【福】
映画「望郷の海」(1962)
清(藤竜也)と恵子(松尾嘉代)の死後閉鎖したままの「栄光ジム」を出る雄志(小林旭)。パルコ前からタワーレコード方面へ下る坂。「栄光ジム」として使われているのは現「Gビル渋谷01」(神南1-20-14)の場所にあった倉庫。背景の「住友生命」「教科研究社」の看板と当時の住宅地図から場所を特定。
1962(昭和37)年/日活
出演:小林旭、松原智恵子、深江章喜、楠侑子、郷鍈治、金子信雄、藤竜也、松尾嘉代
映画「灼熱の椅子」(1962)
節(香月美奈子)を監視するため大崎会の組員が尾行する。節は機転をきかせて警官に話しかけることで組員を追い払う。
節が警察官を発見するシーンは「パルコ」前から「タワーレコード」方面へ下る坂。
「望郷の海」(1962)で同じ道が登場することから特定。手前の「務事務所」の看板は「東京都渋谷税務事務所」(現「都営神南1丁目アパート」神南1-19-8)、「住友生命」の看板は現在「渋谷神南郵便局」がある「日本生命渋谷ビル」(神南1-21-1)。この前後で映る道は電柱にある番地からするとまた別の場所のようだ。
1962(昭和37)年/日活
出演:和田浩治、松原智恵子、山内賢
映画「その人は遠く」(1963)
量介(山内賢)は母(小夜福子)の事故がきっかけで旅館の娘井波恵以子(和泉雅子)と出会う。しばらくはうまくいった量介と恵以子だが、量介の心がまだ奈津子(芦川いづみ)にあることを知り傷心の彼女は家出し渋谷の花屋に勤める。量介と奈津子が恵以子を迎えにいくシーン。
渋谷の花屋とされているのは、渋谷区神南1-7-8にあった「レストランナカタニ」(現・渋谷公園通りNNビル / 渋谷区役所の向かい)。映画中に映る店名で場所を特定。前の通りは公園通り。右手にみえる建物は「日本住宅公団宇田川団地」(渋谷区宇田川町2-1 / 現渋谷ホームズ)。
1963(昭和38)年/日活
出演:芦川いづみ、和泉雅子、山内賢
奈津子が量介の心を翻弄し、それに最後彼が愛想をつかしたように見えてしまうのは多分描き方がうまくないのだろう。【福】
ドラマ「特別機動捜査隊 第267話『焔の丘』」(1967)
特捜隊の橘部長刑事(南川直)、桃井刑事(轟謙二)は焼死した秋津芳子(津村悠子)の姉の吉村龍子(荒川さつき)の事務所へ向かう。
吉村龍子の事務所があるのは「番匠ビル」(現存、神南1-9-10)。両刑事の車が走っているのは山手線沿いのいわゆる「ファイアー通り」。右手奥に山手線と当時カナリア色と呼ばれた黄色い車両が見える。左手は「岸記念体育館」(2024年1月現在代々木公園拡張工事中、神南1-1-1)。
1967(昭和42)年/NET
出演:波島進、南川直、轟謙二
第267話「焔の丘」
ある山荘が放火され2つの焼死体が発見される。山荘の主人秋津源三と妻芳子と思われた。芳子は精神を病み、その面倒をみるため看護婦波岡幸子が同居していたが事件後浪岡の消息は不明となっていた。火災の現場へ姉夫婦と同居していた暎子が現れる。暎子は事件の前日長姉の龍子から呼ばれ東京に向かい火災を免れたのだが、龍子に会ってみると彼女は暎子を呼んだ覚えがないと言ったという。【福】
映画「勝負犬」(1967)
貿易商中沢道彦(永田靖)の娘律子(姿美千子)は鴨井大介(田宮二郎)の拳銃の腕を見込んで、中沢父娘のボディガードになってくれるよう依頼をする。その最中鴨井は小畑(藤山浩二)に狙撃されそうになる。
鴨井と律子が会食しているのは渋谷区役所の向かいにあった「レストランナカタニ」(現「渋谷公園通りNnビル」神南1-7-8)。窓の外に渋谷区役所が見える。
1967(昭和42)年/大映
出演:田宮二郎、天知茂、坂本スミ子
映画「反逆」(1967)
礼治(渡哲也)は街なかで兄敬太(高橋昌也)が女性を脅し暴力をふるっているのを見かける。
「ボルシチの店」は現在「スターバックス」がある「公園通りNビルディング」(神南1-7-6)、「ドライクリーニング」の看板は「岩瀬クリーニング」(現「YUASAビル」神南1-15-9)。
この後のシーンから公園通り沿いとあたりをつけ当時の住宅地から特定。
手前は「ホテル千春」。現在デニーズのある「ブル・ヴァール」(神南1-16-3)。道の向こうは「東京恵比寿食糧協同組合」。「ミスタードーナツ」のあった「丸恵ビル」を経て現在「パークウェースクエア2」(神南1-19-10)。
「歌う暴れん坊」(1962)の、この場所を逆方向から撮影したシーンで特定済。
背後は公園通りを隔てて「東京都住宅公社宇田川町ビル」(現「アトラス渋谷公園通り」宇田川町3-3)。左は「東京恵比寿食糧協同組合」。「ミスタードーナツ」のあった「丸恵ビル」を経て現在「パークウェースクエア2」(神南1-19-10)。
前者は「特別機動捜査隊 #1 最後の犯人を追え」(1961)で 同じ外観の建物を特定済。後者は「歌う暴れん坊」(1962)のこの付近を撮影したシーンで特定済。
1967(昭和42)年/日活
出演:渡哲也、高橋昌也、曽我迺家明蝶
映画「裸でだっこ」(1970)
恋人の武志(青山良彦)に呼び出されたユミ(渥美マリ)はラブホテルへ向かう。
ユミが向かう坂の上のラブホテルは公園通りと神宮通りの間にあった「ホテル渋谷ヒルトップ」(現「フリークスストア渋谷店」神南1-13-1)。当時の住宅地図から特定した。
1970(昭和45)年/大映
出演:渥美マリ、古今亭志ん朝、青山良彦、松原マモル、大谷直、梅津栄、大泉滉
映画「モナリザお京」(1971)
大阪からやってきたスリのガチャ子(正司敏江)がお京(渥美マリ)へ弟子入りを迫り追い回すシーン。
二人が横断するのは公園通り。左側が宇田川町、右側が神南神南1-20付近。左上隅に「東京山手教会」(宇田川町19-5、現存)の看板が見える。右側「Cabin」の看板が見えるのは「根本ビル」(楽天モバイルがある現「マ・メゾンしぶや公園通りビル」神南1-20-6)。「渋谷区商工名簿1980」で特定。
「渋谷パルコ」出店前なので街灯も舗装も普通の町並み。
大阪からやってきたスリのガチャ子(正司敏江)がお京(渥美マリ)へ弟子入りを迫って追い回し、その途中で老刑事のデカヒゲ(早川雄三)のサイフをスリ取る。
デカヒゲが電話をかけている洋品店「シオツボ」と「ポタセル」がある建物は渋谷1-20-7の現「川原ビル」。「渋谷区商工名簿1980」で特定。
「シオツボ」についてはネット上の情報によれば喫茶店もあったようだ。
スリのガチャ子(正司敏江)が追い回しているお京(渥美マリ)の後ろ姿。
左側「RESTAURANT」の表示がある「レストラン・ココノエ」があるのは現「Vort渋谷 Briller」(神南1-20-4)、その向こう「高木證券」は根本ビル(楽天モバイルがある現「マ・メゾンしぶや公園通りビル」神南1-20-6)。正面に見えるのは「丸井渋谷店本館」(神宮1-22-6)。当時の住宅地図で特定。
1971(昭和46)年/大映
出演:渥美マリ、川津祐介、早川雄三、正司敏江、菅野直行
映画「夜の手配師 すけ千人斬り」(1971)
オープニング、優雅にクルーザーを楽しんだ足立卓也(梅宮辰夫)が高級車で東京に戻ってくる。
足立が走っているのは「国立代々木競技場」の南側の通り。右側が「国立代々木競技場」の駐車場、つきあたりが「渋谷区役所」と「渋谷公会堂」、その背後の白い建物が1970年建設の「原宿パークマンション」(現存 / 宇田川町6-11)、左側は「北谷神社」、「桑沢デザイン研究所」(現存、2005年新校舎に建替え / 神南1-4-17)と背後の「メイジハイツ」(現「ラ・トゥール渋谷神南」神南1-5-14)。
1971(昭和46)年/東映
出演:梅宮辰夫、川口浩、榊ひろみ、賀川雪絵、松井康子、石井富子、円山理英子、正司歌江、サリー・メイ、松尾和子、園井啓介、小池朝雄 、室田日出男、小松方正、由利徹、南利明
映画「安藤組外伝 人斬り舎弟」(1974)
安藤組の事務所として「安藤興行」の看板が設置されているのは「タワーレコード」から「パルコ」に上る坂沿いにあった「川津ビル」(現「BC JINNAN PROPERTY」神南1-20-17)。画像のシーンの直前に映っていたビルの袖看板「東洋証券」を手がかりに「証券業報 (昭和63.9)」で「東洋証券渋谷支店」の位置を特定。
安藤組が拠点としていたバーの前の道としても使われ、冒頭、渋谷駅前で安藤昇(安藤昇)にぶつかった日向謙(菅原文太)が歩き去っていく昭和24年のシーンでも使われているのは、「三千里薬品神南店」が入っている現「MAGNET by SHIBUYA」(神南1-23-10)裏の山手線との間の路地。左側が山手線、つきあたりに「東急百貨店東横店」が見えている。24年当時のシーンで映っていたバー「のあーる」の看板から位置を特定した。
1974(昭和49)年/東映
出演:安藤昇、梅宮辰夫、室田日出男、渡瀬恒彦 、前田吟、安岡力也、菅原文太
二人は米軍からの流出品をめぐり白系ロシア人の人斬りジム(安岡力也)と争いになり、津吹は人斬りジムを斬殺するかわりに片腕を失う。日向は刑務所に服役した。
日向と入れ替わりに安藤組に入ったのが野田。その頃から安藤組は渋谷で勢力を伸ばしていく。
昭和29年には組の事務所を開設するが、この頃から日向の暴力的な奇行が目立つようになり、また橋本(藤山浩二)の子分木谷(郷鍈治)の扱いをめぐって野田と日向の対立が深まる。
主人公の菅原文太が意味もなく暴れ過ぎでなんら感情移入できない一作。【福】
映画「Let’s 豪徳寺!」(1987)
狛江百合(三田寛子)と大蔵利通(羽賀研二)が渋谷で飲んだ後ラブホテルに向かうシーン。
「バリバリ渋谷本店」は「河原ビル」(現存 / 神南1-20-7)。「高木証券」は「根本ビル」(現在「楽天モバイル」がある「マ・メゾンしぶや公園通りビル」神南1-20-6)。
1987(昭和62)年/松竹
出演:三田寛子、紺野美沙子、岡安由美子、鈴木保奈美、岸田今日子、村上弘明、羽賀研二
映画「極道渡世の素敵な面々」(1988)
次第に生活が荒れていく中川(日下武史)から「雀荘に金を持ってこい」という連絡を受けた亮(陣内孝則)は中川を諭しに向かう。
雀荘「天和」があるのは渋谷駅北側線路沿いの現「丸大ビル」(神南1-23-13)。その左は「三和銀行渋谷支店」(現「MAGNET by SHIBUYA109」神南1-23-10)。「天和」の看板の上に「PACHINKO MARUDAI」のネオンがあり、「三和銀行」の壁面は現在もそのままであることから特定。
不動産屋から金をせしめた亮(陣内孝則)と木戸(成田三樹夫)が公園で打ち合わせる。公園は公園通りの東側にある「北谷公園」(神南1-7-3)。不動産屋の隣の老朽化した民家を我々が過去に撮影していたことから特定。民家は現「南部ビル」(神南1-14-8)、二人が出てくる不動産屋のビルは現「ワイズ神南ビル」(神南1-14-8)。「D.D.PLAYERS」の看板は現「ドレステリア」(神南1-6-5)。
1988(昭和63)年/東映
出演:陣内孝則、麻生祐未、室田日出男
元暴力団員で後に作家となった安部譲二原作の同名小説の映画化。原作者の安部譲二とかつてこの作品に登場する渋谷界隈で「安藤組」の組長だった安藤昇も出演している。【福】
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