旅館 一楽|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

旅館 一楽

東京都渋谷区道玄坂1-14-9

道玄坂1-14-9にあった旅館。現「ソシアル道玄坂」。数多くの映画の背景に登場する。

目次

映画「明日を賭ける男」(1958)

父(横山運平)が倒れた知らせを受け、自転車で父のもとに向かおうとする小林典子(浅丘ルリ子)。場所は銀座線渋谷車庫横の坂(現「渋谷マークシティ」道玄坂1-12-1横)。遠方に「東急百貨店東横店」と「五島プラネタリウム」のドームが見える。電柱に多くの映画に映りこんでいる「旅館一楽」の看板が。

作品データ
映画「明日を賭ける男」
監督:西河克己

1958(昭和33)年/日活

出演:浅丘ルリ子、川地民夫、大坂志郎、中原早苗

美容学校の講師白藤守彦(岡田眞澄)と学生の梅林ルカ(中原早苗)は連れ込み旅館の女中小林典子(浅丘ルリ子)に宝くじの当落を確認しに行ってもらう。典子は宝くじ売り場で働く父(横山運平)に当落を確認してもらい、10等の50円を受け取る。だがこれは見間違いで、実は1等の200万円が当選していたのだ。父親がそれに気づいて典子が勤める旅館に連絡するも時すでに遅く、守彦とルカは箱根に旅立ってしまった後だった。典子の父は誰かに取られるのを恐れ、胸につけたお守りの中に当たりくじを隠した。
一方守彦が勤める美容学校では理事長の白藤賢良(十朱久雄)が学校の拡張を目論んでいたが、土地が弟で用務員を勤める元ボクサー大四郎(大坂志郎)の名義になっていることがハードルとなっていた。大四郎は生き別れになった息子が帰ってきた時のことを考えて土地を持ち続けていたのだ。
そんな時、大四郎のもとに生き別れの息子が大阪でボクサーをしているとの知らせが入る。薫(川地民夫)の試合を見た大四郎はひと目で自分の息子だと確信する。彼は美容学校の自分の土地にジムを建てることを夢見るようになる。【福】
日活
読売新聞連載「上と下」より 明日を賭ける男 | 映画 | 日活 拳闘に命を賭ける親子の愛情とボクシングの凄絶さを中心に、二百万円をめぐる人間の哀歓を描く青春アクション篇。

映画「街から街へつむじ風」(1961)

病院の事情に口出しをする正木晋一(石原裕次郎)が疎ましい副院長(小高雄二)は正木を屋上に呼び病院から引き取るように告げる。それを監視するヤクザの杉浦(土方弘)。
「田村医院」(現「大下ビル」道玄坂1-16-5)屋上からの風景という設定だが、周囲の建物の位置関係から道玄坂1-11-4あたりからの撮影と推測される。
左手の「一楽」は現「ソシアル道玄坂」(道玄坂1-14-9)。「あたり荘(「た」は変体仮名)」は現「プリメーラ道玄坂」(道玄坂1-15-3)。

作品データ
映画「街から街へつむじ風」
監督:松尾昭典

1961(昭和36)年/日活

出演:石原裕次郎、芦川いづみ、中原早苗

留学先のドイツから帰ってきた正木晋一(石原裕次郎)は父親(宇野重吉)の薦めで父の友人田村(東野英治郎)の病院を手伝うことになる。晋一が田村医院を訪れると院長は持病に苦しみ、息子の副院長(小高雄二)は過去の手術の失敗で自信を失い、さらにヤクザが副院長の失敗をネタに地上げをしかけてくる有り様。正木は病院をヤクザから守るため活躍する。
ところどころ入れてくる笑いどころは余計だし、いろいろ都合の良いストーリー展開も甘く、気楽に裕次郎のかっこよさを見るための映画。【福】
日活
街から街へつむじ風 | 映画 | 日活 父の旧友が経営する病院に勤務することになった青年医師が様々な障害を乗り越えて医院の再建に奔走する。石原裕次郎が熱血医師に扮した痛快アクション。

映画「銀座の若大将」(1962)

田沼雄一(加山雄三 )がロードワーク中、勤務先のレストランのチーフ・コック(大友伸)がチンピラに乱暴されているところを助けるシーン。場所は道玄坂1-15と1-14の間の道。右側の「料亭まつ葉」のある側は現在「プリメーラ道玄坂」(道玄坂1-15)、左側の「ホテル一楽」のある場所は「ソシアル道玄坂」(道玄坂1-14-9)、その手前の喧嘩が行われる空き地は「地下鉄道玄坂ビル」(道玄坂1-14-1)になっている。

作品データ
映画「銀座の若大将」
監督:杉江敏男

1962(昭和37)年/東宝

出演:加山雄三、有島一郎、中真千子、飯田蝶子、星由里子、団令子、田中邦衛

京南大学の音楽部員田沼雄一(加山雄三 )は新聞部の団野京子(団令子 )に付き合って広告をとりに行った洋裁店らべるで店員の中里澄子(星由里子 )に見初められる。ある日拳闘部のマネージャー江口敏(江原達怡)が他大学との喧嘩に巻き込まれ、雄一がこれを助けたことから雄一は拳闘部に勧誘され、教授(左卜全)や祖母(飯田蝶子)の勧めもあり入部することになる。だが父の久太郎(有島一郎)は雄一がボクシングをすることに反対で、久太郎の友人島川金五郎(上原謙)のレストランに雄一を住み込みで働かせることを強引に決める。雄一のレストラン勤務と拳闘部の合宿の苦しい日々が始まる。一方レストランの隣にあるらべるの店員澄子と雄一は関係が深まっていく。【福】

映画「青春前期 青い果実」(1965)

椎ノ木武志(太田博之)が叔父の中瀬安芸男(内藤武敏)と夕食のすき焼きの買い出しにいった先でこちらを見つめている同じクラスの河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)に気づくシーン。
背後に首都高速3号線の橋脚、その後に渋谷駅南口駅前広場と「東急百貨店東横店」が見える。武志たちが肉を買う店は桜丘町25-1にあった「荒木肉店」(現「荒木ビル」)と思われる。

作品データ
映画「青春前期 青い果実」
監督:堀池清

1965(昭和40)年/日活

出演:太田博之、太田雅子(現梶芽衣子)、吉村実子、山岡久乃、初井言榮、高橋とよ、佐野浅夫、内藤武敏

広島から転校してきた椎ノ木武志(太田博之)は無口で笑顔を見せない影のある少年。同級生の河合奈津子(太田雅子=梶芽衣子)はそんな彼に惹かれていた。やがて親しくなった二人は、武志の叔父中瀬安芸男(内藤武敏)が働く乗馬クラブへ馬を見に行く約束をする。母親(山岡久乃)に夜間の外出を厳しく止められた奈津子は家を抜け出して約束の場所へ向かうが、そこで3人の大学生に暴行されてしまう。奈津子は事件を忘れようとするが、教師(初井言栄)から親たち、親たちから生徒たちに噂が広まっていく。【福】
日活
青春前期 青い果実 | 映画 | 日活 セックスによる激しいショックを受けた二人の男女高校生の心の交流をクールなタッチで描いた異色純愛大作。

映画「やくざと抗争 実録安藤組」(1973)

銀座でドス健(山本麟一)の一味に報復を受け、顔に大きな傷跡を負った矢頭(安藤昇)とその肩を支える加納(江守徹)。「旅館 一楽」の前で矢頭の幼馴染の早苗(藤浩子)と再会する。

作品データ
映画「やくざと抗争 実録安藤組」
監督:佐藤純彌

1973(昭和48)年/東映

出演:安藤昇、袋正、江守徹、北川恵一、安岡力也、小林稔侍、諸角啓二郎、今井健二、佐藤蛾次郎、深江章喜、室田日出男、佐藤晟也、郷鍈治、内田朝雄、渡辺文雄、藤浩子、山本麟一、八名信夫、松井康子、丹波哲郎

学生やくざ矢頭(安藤昇)は銀座の愚連隊のドス健(山本麟一)と揉め事になり、ドス健は矢頭の子分三吉(佐藤蛾次郎)に刺されて死ぬ。この一件で矢頭の顔には大きな傷跡が残ることになる。当時渋谷の闇市は橋場組と十文字組がとりしきっていたが、矢頭は商人を組織化して橋場組の縄張りを奪うことに成功する。これに対し橋場組は矢頭の店にダイナマイトを投げ込むなど報復をしたが、矢頭が手打ちしたと見せかけたところで子分たちが橋場(諸角啓二郎)に瀕死の重傷を負わせ、橋場組は縄張りを矢頭に譲ることになる。ある日大組織関東桜会会長榊原(内田朝雄)の息子勇吉(郷鍈治)を預かることになった矢頭は、榊原は十文字組と自分たちを対決させたところで渋谷の縄張りを乗っ取ろうとしていると見抜き、十文字組と手を組み勇吉を人質にして関東桜会と対立しようとする。だがこれは矢頭が十文字組を潰そうとする作戦だった。しかし十文字組の方にもまた裏の目論見があった。
矢頭と幼馴染早苗のエピソードが並行して語られるが、とってつけたような話。話の展開も妙におセンチ。【福】

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