古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
峯岸ビル
東京都渋谷区宇田川町21-6
宇田川町21-6にあった商業ビル。屋上のナショナルのネオンが特徴。1999年建替えにより「QFRONT」となった。
映画「丘は花ざかり」(1952)
野呂(二谷英明)にふられ、野崎(川地民夫)からもつれなくされた香山美和子(浅丘ルリ子)は同僚の山本(高田敏江)が飲んでいる渋谷のおでん屋に向かう。
渋谷駅前交差点の夜景。左側「週刊サンケイ」と赤い縦書きの「大興証券」の看板は戦後建てられたマーケット「大林百貨店」(現「渋谷駅前ビル」「大外ビル」道玄坂2-3)。その後ろの赤く丸いネオンは道玄坂の「渋谷東宝」(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。白く光っているビルは「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)、「パウリスタ」は「栄蘭ビル」(現「マツモトキヨシ渋谷Part2店」宇田川町23-4)、赤い縦書きの「宮田の家具」、白い「西村フルーツパーラー」「千野時計店」は「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)、「森永の洋菓子」は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
1952(昭和27)年/東宝
出演:杉葉子、池部良、山村聡、小暮実千代、上原謙
香山と野呂・野崎の恋愛、石山と高畑・白川の恋愛が進んでいく中で、現代的な価値観をもつ女性香山美和子は色々なことを学んでいく。
妻を亡くした野呂の家に平気で数日泊まり込む香山の感覚や、ラスト近く香山を諭す野呂のロジックなど色々受け入れ難い点がある。野崎がずっとかわいそう。川地民夫が可愛げのあるさわやかな青年を演じている。【福】
映画「警視庁物語 顔のない女」(1959)
冒頭渋谷の街からハチ公前広場までが映し出される。中央で建設中なのが峯岸ビル(現「QFRONT」宇田川町21-6)。その左が七店街ビル(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)。峯岸ビルの隣が「渋谷日活」と「渋谷松竹」(「現西武渋谷店A館」宇田川町21-1)。右下の三和銀行の一帯は現「MAGNET by SHIBUYA109」(神南1-23-10)。
1959(昭和34)年/東映東京
出演:松本克平、神田隆、堀雄二、南廣、花澤徳衛、山本麟一、須藤健、佐原広二、片山滉、岩上瑛 、佐久間良子、沢村貞子、加藤嘉 、菅井きん
7人の刑事達が足を使ってコツコツ捜査する「警視庁物語」シリーズの第9話。「マニキュアやペディキュアをしている女性は売春婦」という偏見、水上生活者、ダルマ船の酒場、ハンカチタクシーといった当時の風俗が描かれている。車の持ち主の妻に杉村春子、歯科医に加藤嘉、被害者が住んでいたアパートの大家に菅井きん、被害者が愛用していた訪問販売の化粧品会社の販売部長に高橋とよ…と脇役がやけに豪華な一作。【福】
映画「殺られてたまるか」(1960)
ラスト近く、車で家に帰る都築敏(二谷英明)。
渋谷駅前交差点から道玄坂方向の眺め。
右から洋装生地「ミノリ」があるのは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)、「森永の洋菓子」「千野時計店」「西村」「宮田の家具」は「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)、「東亜」のネオンは現在「アディダス」がある「FPGリンクス渋谷道玄坂」(宇田川町23-5)、照明が水平に並んでいるのは「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)、その背後◯に「緑」の看板が「緑屋」(現「渋谷プライム」道玄坂2-29-5)
1960(昭和35)年/第二東映東京
出演:梅宮辰夫、三田佳子、久保菜穂子
映画「真昼の誘拐」(1961)
右端の電光掲示板は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6 )、「うたごえ全集」「週刊朝日」のネオンが並んで光っているビルが「大盛堂書店」が入っている「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22−1)、中央奥の交差点は道玄坂下交差点でその先端にあるのが「洋品店ミツマル」(現「SHIBUYA109 渋谷店」道玄坂2-29-1)、「丸南」は洋裁生地店「マルナン」(現「サンドラッグ渋谷道玄坂下店」道玄坂2-5-1)、その左の色々なネオンがついているのが戦後建てられたマーケット「大林百貨店」(現「渋谷駅前ビル・大外ビル」道玄坂2-3)。
1961(昭和36)年/日活
出演:高橋英樹、中尾彬、沢本忠雄、武内悦子、奈良岡朋子、山内明
映画「宇宙快速船」(1961)
地球人の防御手段「エレキバリヤ」を打破すべく攻撃をしかける海王星人。攻撃されているのは峯岸ビル。
1961(昭和36)年/ニュー東映
出演:千葉真一、水上竜子、小宮光江、江原真二郎
真面目に見るとつっこみどころが多い。映画の出来には期待しないほうがよいが街の破壊シーンの特撮は見もの。【福】
映画「銀座の若大将」(1962)
マネージャー江口敏(江原達怡)の伴走で田沼雄一(加山雄三)がロードワークをするシーン。銀座線渋谷車庫横の坂を上る。左手に銀座線渋谷車庫、左奥のナショナルの広告があるのが「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。中央の赤いビルは京王線渋谷駅、ここから銀座線渋谷車庫の一帯が「渋谷マークシティ」(道玄坂1丁目12−1)となった。その右には「東急百貨店東横店」の赤いマークと「東横」の文字が見える。右手の空き地の遠方には「東急文化会館」(現「渋谷ヒカリエ」渋谷2-21-1)のプラネタリウムのドームが。
1962(昭和37)年/東宝
出演:加山雄三、有島一郎、中真千子、飯田蝶子、星由里子、団令子、田中邦衛
映画「女の座」(1962)
次男次郎(小林桂樹)の経営する中華料理屋に三女路子(淡路恵子)、四女夏子(司葉子)、五女雪子(星由里子)が集まり手伝いもせず青山(夏木陽介)と談笑しているので次郎の妻蘭子(丹阿弥谷津子)が不機嫌になるシーンの後、次郎の店がある設定の渋谷の街が映る。中央のナショナルのネオンが輝くのは峯岸ビル(現「QFRONT」宇田川町21-6)。酒場「東風」は現在のところ場所が特定できていない。
四女夏子(司葉子)の見合いのシーンの前に窓から見た渋谷の街が映る。
渋谷駅西口方面から見たアングル。右端が「東急百貨店東横店」、その左のナショナルのネオンがあるのは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)、その左の塔状の建物は「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22−1)、左端の「タカラヤ」の垂れ幕があるのは「渋谷駅前会館」(現存、道玄坂1-3-1)。中央に車庫に向かう銀座線が見える。
1962(昭和37)年/東宝
出演:高峰秀子、杉村春子、笠智衆、草笛光子、司葉子、小林桂樹
ある日松代夫婦が経営する下宿に入った六角谷(宝田明)という青年があきの生き別れの息子ということが判明する。長らく独身だった梅子は六角谷に好意を抱くが、一方六角谷は芳子に言い寄っていた。なかなか九州の自宅に帰らず疎まれる路子夫婦、勉学に悩む健、気象庁に勤める青年青山(夏木陽介)に思いを寄せる夏子と雪子、オリンピック道路の開通に伴う立ち退き問題など様々な問題が石川家に起き始める。
いつになく穏やかな杉村春子、一見好男子だが信用がおけない宝田明、悪い人ではないが女性皆に疎まれる三橋達也の演技が冴える。【福】
映画「抜き射ち風来坊」(1962)
日本へ梨花(松原智恵子)を連れ帰国した神原(宍戸錠)。二人は日本の休日を楽しむ。
二人が屋上にいるのは「東急百貨店東横店」の屋上にあった時計台の下。シーンの冒頭、井の頭線・銀座線車庫方面から渋谷駅前交差点までの眺望がパンで映される。
宇田川町一帯の俯瞰。左端茶色の建物のあたりがが現「SHIBUYA109」あたり、そこから奥へ延びているのが東急本店通り。奥に「東急本店」建設前の「大向小学校」が見える。その右側は「渋谷センター街」で、中央の白いビルは現在の「BODY SHOP」がある「宇田川町サンクスビル」(宇田川町25-8)一帯。右端ナショナルのネオンが「峯岸ビル」(現「QFRONT」、宇田川町21-6)。1963年の航空写真および平凡社「社会科見学パノラマ図鑑 5 (大都会のいとなみ)」(1958)の「東急百貨店」の図から特定。
1962(昭和37)年/日活
出演:宍戸錠、松原智恵子、金子信雄
映画「警視庁物語 十代の足どり」(1963)
ラストシーン、全ての捜査が完了し署に戻る刑事たち。山手線沿いの道路を恵比寿方面から渋谷に向かう。山手線との高低差から渋谷区東1丁目あたりか。正面に「東急百貨店東横店」のシルエットがみえる。その左、ナショナルのネオンが輝くのは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6 )。
1963(昭和38)年/東映東京
出演:堀雄二、神田隆、花沢徳衛、南廣、須藤健、山本麟一、大木史朗、小川守、新井茂子、田村雪枝
十代の性の問題を題材にした作品。目撃者の本屋の店員役、佐藤晟也が明るい大男を演じていてよい。【福】
映画「アリバイ」(1963)
渋谷駅に出た畑中部長刑事(二谷英明)、佐川刑事(宮口精二)、高橋刑事(高品格)は渋谷駅前で雑誌を売る犠牲者の妻子をみかける。
背後に見えるのは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
ラストシーン。
渋谷駅前交差点の夜景。左側ネオンが集積しているのは戦後建てられたマーケット「大林百貨店」(現「渋谷駅前ビル」「大外ビル」道玄坂2-3)。その後の丸いネオンは道玄坂の「渋谷東宝」(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。「マタンゴ」を上映中のようだ。各階が白く光り屋上に縦長のネオンがあるのは「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)、「東亜」は現「ハイマンテン渋谷ビル」(宇田川町23-5)。「TEXTILE WORLD TOA」と名称を変更し神南で現在も営業中。「渋谷西村」「森永の洋菓子」は「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)、一番右は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
1963(昭和38)年/日活
出演:二谷英明、 小高雄二、 渡辺美佐
警視庁協力のもと作られた本作は当局に配慮したためか堅実さはあっても今ひとつスリルに欠ける。【福】
映画「夜の勲章」(1963)
タイトルバックに東京の繁華街が次々映る中、渋谷駅前交差点の「峯岸ビル」、「大林百貨店」、地下街入口が映る。右側「ナショナル」のネオンのある建物が「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)、「中華料理」「週刊大衆」のネオンのある建物が「大林百貨店」(現「渋谷駅前ビル」道玄坂2-3-1)。地下街入口は現渋谷駅A5b出口。
阿久根(小林旭)は篠村(内田良平)から夏木伸子(二木佑子)との思い出話を聞かされ、彼への疑いを晴らす。
篠村(内田良平)が去っていくのは公園通り。「渋谷区役所」の向かいから駅方向を撮影している。一番右の建物は「渋谷区役所」が建設される前にあった「渋谷社会保険出張所」(現「LINE CUBE SHIBUYA」宇田川町1-1)、その奥が「日本住宅公団宇田川団地」(現「渋谷ホームズ」宇田川町2-1)。左手の奥に「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)のナショナルのネオンが光る。
同一アングルのシーンが「その人は遠く」(1963)にあり、その撮影地点は同映画で店名が写り込んでいた「レストラン ナカタニ」(現「渋谷公園通りNnビル」神南1-7-8)と判明していたため場所を特定した。
1963(昭和38)年/日活
出演:小林旭、小沢昭一、内田良平、星ナオミ、大坂志郎
映画「僕はボデイガード」(1964)
北一平(渥美清)が巡査を務める街として渋谷の道玄坂1丁目付近が映る。
左側のナショナルの看板は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
赤いビルとその下の屋根は京王井の頭線渋谷駅。その手前のオレンジ色の車両が見えるのは銀座線の車庫。中央に東急百貨店東横店、ドームがあるのが「東急文化会館」(現「渋谷ヒカリエ」渋谷2-21-12)。その下のかまぼこ状の屋根が東急東横線渋谷駅。左下にランプがいくつもついているのは「リキ・スポーツパレス」(現「ヒューマックス渋谷ビル」道玄坂1-14-6)の屋上にあった王冠型モニュメント。同ビルの屋上からの撮影と思われる。
北一平(渥美清)は杉浦大臣(京塚昌子)の歓楽街の視察に随行する。大臣の車が上ってくるのは銀座線渋谷車庫(現「渋谷マークシティ」道玄坂1-15)横の坂。左の方に見えるナショナルのネオンは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
1964(昭和39)年/東宝
出演:渥美清、浪花千栄子、浜美枝、笠智衆、団令子、加東大介、清川虹子
映画「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964)
金星人の取材を続ける直子(星由里子)が放送局に連絡するシーン。
直子が電話しているのは渋谷駅前。
左端のビルが「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)、中央が「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)、右が「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
1964(昭和39)年/東宝
出演:夏木陽介、小泉博、星由里子、若林映子、ザ・ピーナッツ
映画「その人は昔」(1967)
青年(舟木一夫)と洋子(内藤洋子)が上京した最初のシーン。渋谷駅前の空撮。左上を横切るのが山手線、画面を横断しているのが銀座線の車庫に向かう路線と井の頭線。赤い屋根が井の頭線渋谷駅。左上の山手線をまたぐ白い建物が「東急百貨店東横店東館・西館」。足元にハチ公前広場が広がる。銀座線の向こうの赤い看板の建物は「渋谷駅前会館」(現存、道玄坂1-3-1)、その向こうが「渋谷東急ビル」(のちに「渋谷東急プラザ」、現「渋谷フクラス」道玄坂1-2-2、)。中央の黄色い「サントリー」の看板は「渋谷駅前ビル」(現存、道玄坂2-3)、ナショナルの看板は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。建設中なのは「西武渋谷店A館」。
1967(昭和42)年/東宝
出演:舟木一夫、内藤洋子、山中康司、大木徹三
内藤洋子のヒット曲「白馬のルンバ」が聴ける。脳を揺らすような摩訶不思議なデュエット曲「恋のホロッポ」はクセになる。原作が「レコードドラマ」(音楽と音声のドラマでストーリーを構成したものか?)であったせいか、全体的にストーリーが希薄でイメージビデオのような印象。音楽担当の船村徹の演歌調のテイストが全編を支配し、ロック調やジャズ調の曲も垢抜けなさがぬぐえない。【福】
映画「俺ら東京さ行ぐだ」(1985)
ラスト、無事両親(植木等、林美智子)が田舎に帰ったあと、元(新藤栄作)と伸子(柏原芳恵)のデートシーンが映る。
場所は渋谷センター街。渋谷駅方向をみるショット。
画面左「パチンコ 白鳥」は現在「カラオケ館」がある「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)。
その背後、黄色と青の看板は「ゲームファンタジア」(宇田川町25-6)、赤い看板は「森永LOVE」(現在「バーガーキング」がある「センタービル」宇田川町25-5)、白地に紫の看板は「ぱすたかん」(現在「ファミリーマート」がある「ダッキープラザ」宇田川町25-4)。
中央の「Technics」のネオンは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
右側の赤い看板は「アートコーヒー」、一番右の星のマークは「マリンバ会館」(現在「ABCマート」がある「渋谷Tビル」宇田川町27-4)にあった「パチンコスター」。
1985(昭和60)年/松竹
出演:新藤栄作、柏原芳恵、植木等、林美智子
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