古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
渋谷二丁目地区
東京都渋谷区渋谷3-19
宮益坂・青山通りと六本木通りにはさまれた、渋谷駅および金王坂を含む地区。
映画「敗れざるもの」

木崎医師(大坂志郎)の再診の結果俊夫(小倉一郎)の脳に異常がありそうなことが判明し、一家は橋本(石原裕次郎)が運転する車で脳外科へ向かう。
車は宮益坂の宮益坂上交差点付近を青山方面に走っている。背景で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「仁丹ビル」はビル前面がネオンで光る建物だった。その右の赤いネオンが見えているビルは「千代田生命渋谷第二営業所」(現「あいおいニッセイ同和損保渋谷ビル」渋谷2-14-18)。右端に見えている歩道橋は金王坂上歩道橋(現存)。
映画「敗れざるもの」
監督:松尾昭典
1964(昭和39)年/日活
出演:石原裕次郎、十朱幸代、小倉一郎
橋本鉄哉(石原裕次郎)は高村家のお抱え運転手。彼は中学生の息子俊夫(小倉一郎)の世話をよくし、俊夫も彼になついていた。ある日俊夫が新しく買った天体望遠鏡で観測している最中ガレージから落ち怪我をする。往診に来た木崎医師(大坂志郎)は一度は心配ないとの診断をするが、帰りの車中を運転手の橋本から俊夫は目が見えにくい様子だったことを聞くと急いで高村家へ引き返す。再度診断をした結果俊夫は急遽脳外科に入院することになり、脳腫瘍であることが判明する。俊夫は開頭手術を受け、手術は成功したかに見えたが、橋本は病院で俊夫は治癒の見込みがないという話を耳にしてしまう。【福】
映画「ファンキーハットの快男児」

日の丸建設の株を大量に買う桜井とも子(八代万智子)を見かけた境野みどり(中原ひとみ)はタクシーで桜井の後を追う。
「安田生命」のビルは宮益坂上(現「Toc第1ビル」渋谷1-8-3)にあった。宮益坂上交差点を南の渋谷2丁目側からみた角度。

車は右側の道に入り桜井の住む「マンション■■」前でとまる。

天下一郎(千葉真一)は境野みどり(中原ひとみ)を処分する依頼を受けた保釈の虎(潮健児)を追う。
中央の道は六本木通り。まだ青山学院の手前までしか開通していない。道路左の小屋が並ぶ部分は高速3号線の用地。背後の右端に「東急文化会館」のプラネタリウムのドームが見える。左端の建物は1956年建築のマンション「金王高桑ビル」(現「プライア渋谷」渋谷3-6-4)。その横の「住友生命」は渋谷区渋谷3-6-1、現「イースト渋谷ビル」。
映画「ファンキーハットの快男児」
監督:深作欣二
1961(昭和36)年/ニュー東映
出演:千葉真一、中原ひとみ、岡本四郎、新井茂子、花沢徳衛
探偵天下清助(花沢徳衛)の息子・天下一郎(千葉真一)は相棒の茂(岡本四郎)とナンパに出掛け、投資家の境野みどり(中原ひとみ)と出会う。一方、茂は国産省の局長木暮家の女中ルメ(新井茂子)と知り合った。ある日小暮家の令息靖幸(くさかべ雅人)が誘拐され身代金500万円が要求される。一方みどりは日の丸建設の株を大量に買う女性を発見。日の丸建設は国産省が建設計画中の産業会館の入札をめぐり大下組と激しく争っていたことから、一郎は誘拐事件と日の丸建設が何か関係あるとにらむ。
今では考えられないが千葉真一が軽いノリの主人公を演じている。色々リアリティある演出で深作欣二を再評価。なおファンキーハットとは冒頭一郎と茂が学生帽を脱ぎ捨ててかぶったパナマ帽のこと。【福】
映画「日本一の若大将」

田沼雄一(加山雄三)が出場している全日本マラソン大会のシーン。青山通りを青山方面から走ってきた選手たちが宮益坂上交差点を左折する。遠方のビルは都電の青山車庫前にあった公団青葉町住宅(現「国際連合大学本部」神宮前5-53-70)。手前に看板が見える「大同生命」は現「青山ダイヤモンドビル」(渋谷1-1-8)の位置にあった。
映画「日本一の若大将」
監督:福田純
1962(昭和37)年/東宝
出演:加山雄三、星由里子、田中邦衛、田村奈己
老舗のすきやき屋「田能久」の一人息子、若大将こと田沼雄一(加山雄三)は京南大学の4年生でマラソン部のキャプテン。マネージャーの江口(江原達怡)が仕送りを止められ田能久で働くことになったことから、青大将こと石山(田中邦衛)がマネージャーを引き継ぐことになる。ある日スポーツ店の店員中里澄子(星由里子)にいいところを見せようと石山は400万円のボートを買い、それが親にばれて勘当されたため雄一は祖母に頼んで家の貯金をおろしてもらい残金を肩代わりしてやった。一方江口は雄一の妹照子(中真千子)と恋仲に。照子の縁談を止めようと一芝居打った雄一だがこれが父親(有島一郎)の逆鱗に触れ、貯金を無断でおろしていたこともばれて雄一も勘当されてしまう。
若大将は女性にモテるがそれを意識しないところが爽やかということなのだろうが、今回は中里澄子につれなさすぎて逆に嫌な奴に見える。モデル役の北あけみを除いて若い女性のキャラクターにあまり差がない。【福】
映画「怪獣大戦争」

グレン(ニック・アダムス)と恋に落ちた世界教育社の波川女史(水野久美)がドライブにいくシーン。
右側の「埼玉銀行」は現「渋谷東口ビル」(渋谷2-22-3)。その向こうの灰色のビルは「名取ビル」(渋谷2-22-8)、正面の住友銀行の看板があるビルは「渋谷東急ビル」(のちの「東急プラザ渋谷」、現「渋谷フクラス」道玄坂1-2-2)、左側上部に見える「SCH」の看板は「BOSCH」(「ボッシュビル渋谷」渋谷3-6-7)。
映画「怪獣大戦争」
監督:本多猪四郎
1965(昭和40)年/東宝
出演:宝田明、ニック・アダムス、水野久美
宇宙飛行士の富士一夫(宝田明)とグレン(ニック・アダムス)は新しく誕生した惑星「X星」の調査におもむく。X星の地下にはX星人が住んでおり、2人に接触してきたX星人はキングギドラの襲来に悩まされていること、キングギドラの退治のため地球のゴジラとラドンを貸してほしい旨申し入れた。地球に帰った2人にX星人の意向を伝えられた地球側はこの提案を受け入れる。だがこれはX星人の謀略であった。
映画「シン・ゴジラ」で使用された伊福部昭の「怪獣大戦争マーチ」が勇壮に流れるオープニングに胸躍るが、いざドラマが始まるとあまり胸躍らなかった。【福】
映画「クレージー作戦 先手必勝」

会社をクビになった上田ヒトシ(植木等)が会社を出てとぼとぼと歩くシーン。植木が歩くのは金王坂、植木が出てきた右側の「フクヤマピアノ」と表記のある建物は現「渋谷アイビスビル」(渋谷2-17-3)。正面左の看板のある建物が形状から渋谷3-6-1にあった「住友生命渋谷支店」と推定、金王坂周辺の住宅地図から「フクヤマピアノ」を発見し特定した。
映画「クレージー作戦 先手必勝」
監督:久松静児
1963(昭和38)年/東宝
出演:植木等、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、安田伸、桜井センリ、石橋エータロー、池内淳子、中尾ミエ、加東大介、淡路恵子、柳家金語楼、八波むと志、上原ゆかり、松村達雄、沢村貞子、沢村いき雄、坂本九、如月寛多
口八丁手八丁の男上田ヒトシ(植木等)が始めた商売は喧嘩や揉め事を何でも解決する「よろずまとめや」。国定忠治のひ孫を自称する任侠に生きる男花木ハジメ(ハナ肇)、泣き落としの名人谷村啓太郎(谷啓)、なよなよして頼りないが法科を出ているので法律に強いという石山英太郎(石橋エータロー)、同業者の示談屋コンビの犬養弘(犬塚弘)と佐倉千里(桜井センリ)、チンピラの安井真(安田伸)を仲間に加えて会社をスタートさせるが、なかなか割の良い仕事が入ってこない。そこへ突然会社に現れた少女中山ミエ(中尾ミエ)が持ち込んできた団地マダムと商店街のいさかいを解決したところ仕事の依頼が殺到し会社は急成長。
おなじみののブワーッといく植木等ではなく人情喜劇調のクレージー映画。ドラマはゆったりしんみり進行する。その中でひとり気を吐いていたのが公開当時弱冠17歳の中尾ミエ。明朗快活な達者な演技ととても17歳には見えない貫禄で彼女が出るシーンはぐっと盛り上がる。【福】
映画「野獣の青春」

かつての同僚広川(鈴木瑞穂)に会った水野錠次(宍戸錠)が自分が今の境遇に至った経緯と野本興行に入った理由を語るシーン。
水野の背後の道は宮益坂。宮益坂上にあった「日本石油渋谷給油所」(現「Daiwa 渋谷宮益坂ビル」渋谷2-16-1)が見える。

かつての同僚広川(鈴木瑞穂)とタクシーで移動する水野錠次(宍戸錠)。背後に建設中の「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)が見える。
映画「野獣の青春」
監督:鈴木清順
1963(昭和38)年/日活
出演:宍戸錠、渡辺美佐子、川地民夫、小林昭二、信欣三、金子信雄、江角英明、鈴木瑞穂
連れ込み宿で男女が死んでいた。男の竹下公一(木島一郎)は現職刑事で、事件は情死として処理された。後日繁華街でやくざの野本興行の組員を次々に袋叩きにする男が現れた。その男水野錠次(宍戸錠)は不敵にも野本組の本拠地であるキャバレーに現れ自分を雇えという。社長宅に連れられた水野は社長の野本達夫(小林昭二)と、組員三波五郎(江角英明)に出会う。水野は三波と組み野本興行と敵対する三光組傘下の企業を襲うなど、野本からの信頼を得ていった。そんなある日、水野は昔の仲間の法事に向かった。向かった先は……。【福】
映画「青春前期 青い果実」

河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)と椎ノ木武志(太田博之)が武志の叔父中瀬安芸男(内藤武敏)が働く乗馬クラブへ馬を見に行く約束をするシーン。
宮益坂(奥)と金王坂(手前)が合流する宮益坂上交差点の歩道橋(現存)。この映画の主要な場所として何度も登場する。宮益坂と金王坂に挟まれた敷地は「日本石油渋谷給油所」(現「Daiwa 渋谷宮益坂ビル」渋谷2-16-1)。歩道橋の下に給油機が見える。

河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)と椎ノ木武志(太田博之)が武志の叔父中瀬安芸男(内藤武敏)が働く乗馬クラブへ馬を見に行く約束をするシーン。宮益坂上交差点の歩道橋(現存)から駅方向を見ている。奥に首都高速3号線が見える。左側の空地にのちに「東邦生命ビル」(現「渋谷クロスタワー」渋谷2-15-1)が建つことになる。

約束の時間になっても来ない河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)を待つ椎ノ木武志(太田博之)。宮益坂上交差点の歩道橋(現存)から青山方向をみている。武志の右で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「仁丹ビル」はビル前面がネオンで光る建物だった。

暴行されたことを責める母親に反発し家を出た河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)を探す教師の青戸閨子(吉村実子)は宮益坂上交差点の歩道橋で奈津子を見つける。二人の背後に見える「シンガーミシン」のネオンは「シンガーミシン渋谷営業所」(現「Daiwa 渋谷宮益坂ビル」渋谷2-16-1)。

河合奈津子が乱暴された件が学校中に広まった元凶は教師の国信高子(初井言榮)であることを知った椎ノ木武志(太田博之)は国信をしつこくつけ回し責め立てる。武志の中で燃える怒りを表現したシーンで武志の背景で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「仁丹ビル」はビル前面がネオンで光る建物だった。
映画「青春前期 青い果実」
監督:堀池清
1965(昭和40)年/日活
出演:太田博之、太田雅子(現梶芽衣子)、吉村実子、山岡久乃、初井言榮、高橋とよ、佐野浅夫、内藤武敏
広島から転校してきた椎ノ木武志(太田博之)は無口で笑顔を見せない影のある少年。同級生の河合奈津子(太田雅子=梶芽衣子)はそんな彼に惹かれていた。やがて親しくなった二人は、武志の叔父中瀬安芸男(内藤武敏)が働く乗馬クラブへ馬を見に行く約束をする。母親(山岡久乃)に夜間の外出を厳しく止められた奈津子は家を抜け出して約束の場所へ向かうが、そこで3人の大学生に暴行されてしまう。奈津子は事件を忘れようとするが、教師(初井言栄)から親たち、親たちから生徒たちに噂が広まっていく。【福】
映画「明日を賭ける男」

宝くじを売る小林典子の父(横山運平)にくじを確認してもらう男。
典子の父が宝くじを売っているのは「東急文化会館」(現「渋谷ヒカリエ」渋谷2-21-12)の横の道。背後の「厚生醫院」は現「春日ビル」(渋谷2-22-14)。
映画「明日を賭ける男」
監督:西河克己
1958(昭和33)年/日活
出演:浅丘ルリ子、川地民夫、大坂志郎、中原早苗
美容学校の講師白藤守彦(岡田眞澄)と学生の梅林ルカ(中原早苗)は連れ込み旅館の女中小林典子(浅丘ルリ子)に宝くじの当落を確認しに行ってもらう。典子は宝くじ売り場で働く父(横山運平)に当落を確認してもらい、10等の50円を受け取る。だがこれは見間違いで、実は1等の200万円が当選していたのだ。父親がそれに気づいて典子が勤める旅館に連絡するも時すでに遅く、守彦とルカは箱根に旅立ってしまった後だった。典子の父は誰かに取られるのを恐れ、胸につけたお守りの中に当たりくじを隠した。
一方守彦が勤める美容学校では理事長の白藤賢良(十朱久雄)が学校の拡張を目論んでいたが、土地が弟で用務員を勤める元ボクサー大四郎(大坂志郎)の名義になっていることがハードルとなっていた。大四郎は生き別れになった息子が帰ってきた時のことを考えて土地を持ち続けていたのだ。
そんな時、大四郎のもとに生き別れの息子が大阪でボクサーをしているとの知らせが入る。薫(川地民夫)の試合を見た大四郎はひと目で自分の息子だと確信する。彼は美容学校の自分の土地にジムを建てることを夢見るようになる。【福】
映画「東京アンタッチャブル」

脱走した川本五郎(丹波哲郎)の一味が興行会社から運び出される金をねらって移動する。一味が走っているのは金王坂。金王坂上から渋谷駅方面に下っている。右に見える「シンガーミシン」は「シンガーミシン渋谷営業所」、手前のガソリンスタンドは宮益坂と金王坂の合流地点にあった「日本石油渋谷給油所」。ともに現在「Daiwa 渋谷宮益坂ビル」(渋谷2-16-1)になっている。その左側が「東京生命渋谷支社」(「太陽生命渋谷ビル」渋谷2-17-2)と「南塚ビル」(「渋谷アイビスビル」渋谷2-17-3)。ともに2024年まで渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業で工事中。
映画「東京アンタッチャブル」
監督:村山新治
1962(昭和37)年/東映
出演:三國連太郎、高倉健、渡辺美佐子、三田佳子、丹波哲郎、筑波久子
宝石の強奪犯川本五郎(丹波哲郎)が刑務所から脱走した。川本は関西方面へ逃亡したとの情報があったが、当時川本を逮捕した西山刑事(三國連太郎)は、川本が宝石をどこかに隠しており、必ず管内に戻ってくると確信していた。そんな時興行会社の社員が襲われ現金を強奪された上に射殺されるという事件が起き、一味に川本が加わっているということがわかった。奪われた金には、ある会社がたびたび起こる盗難の犯人探しのために紛れ込ませた連番の札が含まれていた。西山刑事と部下の原田刑事(高倉健)により、窃盗の犯人の守衛から共犯者をたどり、川本を逮捕するための捜査が始まった。【福】
東京福袋の吉野 忍が 2002年に渋谷で撮影した写真とその20年後の2022年に同じ場所で撮影した写真をまとめた「東京些末観光:渋谷定点観測02-22」も併せてどうぞ。