おそば たけや|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

おそば たけや

東京都渋谷区渋谷3-19
現「渋谷THビル」の位置にあったそば屋。坂のつきあたりにある大きな看板が様々な映画に映りこんでいた。SNSによると2011年頃まであった模様。

映画「泥だらけの純情」

1963

一度は東横線改札で別れた真美(吉永小百合)を追って次郎(浜田光夫)はボクシング観戦に誘う。ボクシングの試合が行われていたのは「リキ・スポーツパレス」(現「ヒューマックス渋谷ビル」 道玄坂1-14-6)。坂のつきあたりに「おそば たけや」の看板。

映画「狂熱の季節」

1960
狂熱の季節

ユキ(千代侑子)が堕胎をしに病院にいく。それに付きそう明(川地民夫)。
病院という設定なのは「駒沢大学渋谷校舎」(現「渋谷道玄坂東急ビル」道玄坂1-10-8)。坂のつきあたりに「おそば たけや」の看板。

作品データ

映画「狂熱の季節」
監督:蔵原惟繕
1960(昭和35)年/日活
出演:川地民夫、郷鍈治、松本典子、千代侑子、長門裕之

鑑別所帰りの明が富裕層の文子と出会ったことで、彼女の人生に再生不能な傷跡を残していく。刹那的に生きる明と難しい理屈で自らを追い詰めていく文子の対比。
富裕層の描き方がカリカチュアライズされすぎで、明の過剰に奔放な演技と併せて滑稽に見えてしまう点はあるが勢いのある映画だ。戦災復興とオリンピックで建設まっさかりの渋谷、いたるところが工事中だ。【福】

映画「からっ風野郎」

1960
からっ風野郎

朝比奈武夫(三島由紀夫)は小泉芳江(若尾文子)に子供を堕ろすよう迫り、産婦人科医へ連れて行くが、小泉の抵抗が激しく堕胎は失敗に終わる。
産婦人科医院の外観として使われていた右端の建物は、現在「五島育英会ビル」になっている場所にあった「第一整形外科」(道玄坂1-10-7)。隣にある「パーマ ロン」から場所を特定。つきあたりに「おそば たけや」の看板。

作品データ

映画「からっ風野郎」
監督:増村保造
1960(昭和35)年/大映
出演:三島由紀夫、若尾文子、船越英二、志村喬

敵対する組織相良商事の社長相良雄作(根上淳)を刺し服役していた朝比奈一家の二代目朝比奈武夫(三島由紀夫)が刑務所から出所する。相良は刑務所にまで刺客を差し向けるなど朝比奈を亡き者にしようとつけ狙っていた。朝比奈は昔の女に危険が及ぶことを恐れ香取昌子(水谷良重)と別れ、一家が経営する映画館の二階に潜伏する。朝比奈はそこでもぎりの女小泉芳江(若尾文子)と知り合い、やがて二人は恋仲になる。相良と朝比奈は製薬会社のゆすりの種となる新薬や朝比奈一家が経営するトルコ風呂の権利をめぐり攻防を繰り返す。そんな中小泉芳江の妊娠が明らかになり、子供が自分の弱点になることを嫌った朝比奈は小泉に子供を堕ろすよう迫る。
これが映画初出演の三島の芝居が下手なのは仕方ないが主人公がなんとなく頭が悪く見えてしまうのが難点。【福】

映画「やくざの歌」

1963
やくざの歌

恐喝されているところを助けたことから女子大生北見紀子(本間千代子)とヤクザの新田俊次(千葉真一)はお互い好意をもつようになる。北見と新田がボーリングをした後分かれる場面。左の建物は「リキ・スポーツパレス」(現「ヒューマックス渋谷ビル」道玄坂1-14-6)。看板に「リキ・トルコ」とあるのは同施設内にあったトルコ風呂。右側に色々な映画に映っている「第一整形外科」「パーマ ロン」のネオンが。またつきあたりに「おそば たけや」の看板が見える。

作品データ

映画「やくざの歌」
監督:若林幹
1963(昭和38)年/東映
出演:千葉真一、北島三郎、本間千代子、宮園純子、曽根晴美、十朱久雄、北竜二、谷幹一、佐々木孝丸、村田英雄

新田俊次(千葉真一)はヤクザ組織の構成員。ある日恐喝にあった女子大生北見紀子(本間千代子)を助け、互いに好意を抱くが、彼女は俊次の友人で流しの北見三郎(北見三郎)の妹だった。俊次を信頼しながらもヤクザと妹がつきあうことに苦悩する三郎。一方俊次の組織で預かることになった神戸のボスの息子双葉真(曽根晴美)。粗暴な彼の暴力はやがて三郎にも及び、俊次は組織と友情の板挟みになって苦しむ。【福】

映画「ひとりぼっちの二人だが」

1962
ひとりぼっちの二人だが

英二(高橋英樹)のボクシングの試合にかけつける妹のユキ(吉永小百合)と三郎(浜田光夫)、九太(坂本九)、トモコ(渡辺トモコ )。ボクシングの試合が行われているのは「リキ・スポーツパレス」(現「ヒューマックス渋谷ビル」道玄坂1-14-6)。坂のつきあたりに「おそば たけや」の看板。

作品データ

映画「ひとりぼっちの二人だが」
監督:舛田利雄
1962(昭和37)年/日活
出演:坂本九、吉永小百合、浜田光夫

水揚げ直前に脱走した芸者の田島ユキ(吉永小百合)は、彼女を追っていたやくざの柳橋一家に浅草で捕まりそうになったところを、事情を知らない地元のやくざ吉野組の杉山三郎(浜田光夫)に助けられる。ユキと三郎は幼なじみで、偶然の再会を喜んだ。吉野組の内海(小池朝雄)はユキの件を知ると組に内緒で一儲けすることをたくらみ、三郎にユキを隠すように指示する。ユキと三郎は追手から逃げ込んだストリップ劇場で共通の幼なじみの売れない芸人浅草九太(坂本九)に会い、ユキはしばらくストリップ劇場に隠れることになる。しかしやがて内海のたくらみは組にばれ、内海は三郎にユキを連れてくるよう命令する。三郎はユキへの愛と組への義理の間で悩むことになる。
脚本がご家庭向きで甘く、内田良平も小池朝雄もかたなしだが、浅草の街を昼夜問わず余すことなく映し出している素晴らしい浅草の記録映画となっている。【福】


東京福袋の吉野 忍が 2002年に渋谷で撮影した写真とその20年後の2022年に同じ場所で撮影した写真をまとめた「東京些末観光:渋谷定点観測02-22」も併せてどうぞ。

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