古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
宮下公園
東京都渋谷区渋谷1-26-5
約2万坪とも言われた旧皇族「梨本宮家」の邸宅地に隣接していたことから「宮下町」と呼ばれていた地域に1953年に開設された区立公園。その後1966年に東京初の屋上公園として整備される。2011年に再整備され「MIYASHITA PARK」の屋上に移設。(参考:渋谷区立宮下公園)
映画「純愛物語」(1953)
医師(木村功)から病状について重大な事実を告げられたミツ子(中原ひとみ)と小島教官(楠田薫)はひとまず公園で休む。
この公園はこの後のシーンで「東急百貨店東横店」が見えること、横を鉄道が走っていることから「宮下公園」と特定した。
公園から見る山手線。背後の「常盤相互銀行」は神宮通り沿い「渋谷マルイ店」の北、現「サンクスビル」(神南1-22)のあたり。
右が山手線側、左が明治通り側。背後に「東急百貨店東横店」が見える。
背後の赤と黒の看板(石原歯科)は明治通り沿いの現「渋谷宮下パークビル」(渋谷1-24-7)。当時の住宅地図から特定。
ミツ子をベンチに残したまま席を外した小島教官(楠田薫)が戻るとミツ子は消えていた。ミツ子を探す小島教官。
公園の向こうの交差点は明治通りと美竹通りが交差する宮下公園交差点。
ミツ子を探す小島教官(楠田薫)。
背後のガードは山手線の上渋谷ガード。
1953(昭和28)年/東映
出演:江原眞二郎、中原ひとみ、岡田英次、木村功、加藤嘉、宮口精二、東野英治郎、長岡輝子、楠田薫、藤里まゆみ、小林トシ子、岸輝子
映画「どうせ拾った恋だもの」(1958)
秋山医師(安井昌二)が石川道子(香月美奈子)に結婚を申し込むが石川は自分の過去を考え身を引くというシーンの直前、二人がいる公園からの眺望が映る。
当時の航空写真から左端遠方の建物は旧渋谷区役所(現「東京電力渋谷支社」「シダックス・カルチャーホール(旧渋谷電力館)」「ニトリ渋谷公園通り店」神南1-12)、中央近くの塔は渋谷消防署(現存、神南1-8-3)、右手遠方の建物群は「ワシントンハイツ」(現「代々木公園」)、その右手の森は「明治神宮」、中央列車が走行中の鉄道は山手線、その手前の空地は「宮下公園」と推定。撮影場所は「美竹公園」と推定。
1958(昭和33)年/日活
出演:安井昌二、香月美奈子、コロムビア・ローズ、高品格
初代コロンビア・ローズの同名の曲をベースにした歌謡映画で彼女自身も看護師を演じ、歌う(意外と演技も巧い)。非常にシンプルなメロドラマ。婦長役新井麗子がわかりやすい悪役を好演。【福】
映画「太陽をぶち落せ」(1958)
健(高品格)の一派は大須賀吾郎(川地民夫)の仲間小島三郎(杉幸彦)と斎藤美恵子(稲垣美穂子)にホテル街での盗撮のバイトを強要する。健の仲間に捕まる斎藤美恵子(稲垣美穂子)。1966年駐車場の上に移される前の、地面レベルの時代の「宮下公園」。背後は山手線。
健(高品格)に詰め寄られる三郎(杉幸彦)。1966年駐車場の上に移される前の、地面レベルの時代の「宮下公園」。遊具も置いてある。背後は山手線。
健(高品格)の一派は大須賀吾郎(川地民夫)の仲間小島三郎(杉幸彦)と斎藤美恵子(稲垣美穂子)にホテル街での盗撮のバイトを強要する。テツ(柳瀬志郎)に詰め寄られる三郎。
1958(昭和33)年/日活
出演:川地民夫、菅井一郎、南田洋子、宍戸錠、水島道太郎
映画「無言の乱斗」(1959)
ラスト、木下昌夫(和田浩治)が芝(波多野憲)と対決する。
対決シーンは「中渋谷ガード」から「のんべい横丁」、「宮下公園」一帯で撮影されている。
背後の「戦艦ポチョムキン」の看板は「渋谷全線座」(現「渋谷東急REIホテル」渋谷1-24-10)。記録によれば1959年11月5日から10日まで「渋谷全線座」で「戦艦ポチョムキン」が上映されていた(小川佐和子「二重の神話化:日本における 『戦艦ポチョムキン』 上映史」)ので、その時期のロケと思われる。背後の「トルコ」は「全線座」が経営していた「浮世風呂トルコ」(現「渋谷東急REIホテル」渋谷1-24-10)。
1959(昭和34)年/日活
出演:葉山良二、清水まゆみ、和田浩治、白木マリ
映画「男の怒りをぶちまけろ」(1960)
三沢十郎(赤木圭一郎)がトラック運転手小泉(木浦佑三 )の妹章子(浅丘ルリ子)に話を聞こうとするが、章子から自分だけ助かったことを責められるシーン。
場所は「日活」の公式サイトにより宮下公園と特定。
赤木圭一郎の右後方に看板が見える建物は、「東京 消えた街角」(1992年/玄同社)に掲載されていた空中写真から「丸井百貨店」(現「渋谷モディ」神南1-21-3)と推定。
1960(昭和35)年/日活
出演:赤木圭一郎、浅丘ルリ子、二谷英明
旅客機から被害者を突き落とすシーンや、車から落ちた男が後続車に轢き殺されるシーンなど結構残忍な暴力描写がある。犯人側のトップ筧順造(西村晃)の情婦役渡辺美佐子が普通のおばさんで振るわない。【福】
TVドラマ「特別機動捜査隊 第001話『最後の犯人を追え』」(1961)
パトカーが逃走した犯人が乗り捨てた車を発見する。
場所は明治通りの宮下公園交差点。正面の左右が「宮下公園」、線路は山手線、ガードは上渋谷ガード。「純愛物語」で同地点が映っており「東急百貨店」など周囲の建物から特定済み。
中央に伸びているのは美竹通り、その左の樹木は美竹公園。「純愛物語」で同地点が映っており「東急百貨店」など周囲の建物から特定済み。
1961(昭和36)年/NET
出演:波島進、佐原広二、南川直、轟謙二、巽秀太郎、神田隆、室田日出男、柳生博、志村妙子(後の太地喜和子)
第001話「最後の犯人(ホシ)を追え」
3人組の男が盗難車を使い民家に押し入り夫を銃で撃つという事件が発生した。警視庁の立石主任(波島進)率いる立石班が捜査を進めるうち第二の事件が発生、犯人は不動産屋に強盗に入り社員を射殺した。犯行の手口から山口(日尾孝司)が容疑者としてあがり、続いて不動産屋への聞き込みから以前同店で働いていた関口(室田日出男)が関与していることがわかった。【福】
映画「ゴー!ゴー!若大将」(1967)
澄子(星由里子)が石山(田中邦衛)に、「雄一(加山雄三)は京奴(浜木綿子)と結婚することになった」と告げるシーンは「宮下公園」。「安田信託銀行」の看板は宮益坂下交差点に面して現存する「小林ビル」(渋谷1-14-11)。
澄子(星由里子)から想いを告げられた後の、雄一(加山雄三)の心象風景的なシーン。まわりにいたカップル達が突然踊り出す中、加山が「幻のアマリリア」を歌う。
1967(昭和42)年/東宝
出演:加山雄三、飯田蝶子、有島一郎、中真千子、星由里子、田中邦衛、北竜二、江原達怡、浜木綿子
緊張感のないラリーのシーンの後、これで終わりかと思うとまたひと悶着ある。あれは蛇足。【福】
映画「その人は昔」(1967)
デートをする青年(舟木一夫)と洋子(内藤洋子)。だがこの後不良に絡まれることになる。二人がいるのは「宮下公園」の南端の階段。後ろにみえる映画館は「全線座」(現「渋谷全線座ビル」渋谷1-24-10)。
1967(昭和42)年/東宝
出演:舟木一夫、内藤洋子、山中康司、大木徹三
内藤洋子のヒット曲「白馬のルンバ」が聴ける。脳を揺らすような摩訶不思議なデュエット曲「恋のホロッポ」はクセになる。原作が「レコードドラマ」(音楽と音声のドラマでストーリーを構成したものか?)であったせいか、全体的にストーリーが希薄でイメージビデオのような印象。音楽担当の船村徹の演歌調のテイストが全編を支配し、ロック調やジャズ調の曲も垢抜けなさがぬぐえない。【福】
TVドラマ「特別機動捜査隊 第267話『焔の丘』」(1967)
特捜隊の橘部長刑事(南川直)、桃井刑事(轟謙二)は焼死した秋津芳子(津村悠子)の姉の吉村龍子(荒川さつき)に事情を聞く。
3人が歩いているのは「宮下公園」(現「MIYASHITA PARK」神宮前6-20-10)。左端に岸記念体育館(2023年現在代々木公園拡張工事中、神南1-1-1)が見える。
左端の「渋谷メデカルビル」は明治通り沿いの現「渋谷ワールドイーストビル」(渋谷1-23-18)。その背後の「東京都児童会館」は2012年に閉館し2024年1月現在隣接する「美竹公園」と一体的に開発中。
1967(昭和42)年/NET
出演:波島進、南川直、轟謙二
第267話「焔の丘」
ある山荘が放火され2つの焼死体が発見される。山荘の主人秋津源三と妻芳子と思われた。芳子は精神を病み、その面倒をみるため看護婦波岡幸子が同居していたが事件後浪岡の消息は不明となっていた。火災の現場へ姉夫婦と同居していた暎子が現れる。暎子は事件の前日長姉の龍子から呼ばれ東京に向かい火災を免れたのだが、龍子に会ってみると彼女は暎子を呼んだ覚えがないと言ったという。【福】
TVドラマ「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ 第16話『これぞヤマトダマシイでござる』」(1967)
公園の遊具を独占する大葉組の組員にハットリくんが怒り、退治する。
組員が遊んでいる公園は「宮下公園」(現「MIYASHITA PARK」神宮前6-20-10)。左遠方に「岸記念体育館」(2024年1月現在代々木公園拡張工事中、神南1-1-1)が見える。
1967(昭和42)年/NET
出演:市村俊幸、関千恵子、松坂慶子、江原一哉、堺駿二、由利徹、熊倉一雄(声)、丸山裕子(声)
第16話「これぞヤマトダマシイでござる」
公園を独占していたところをハットリくんに退治されたやくざの大場組の組員たちはハットリくんへの復讐をたくらむ。一方大場組組長(由利徹)の息子にいじめられていたフジ夫(江原一哉)に、げたよ婆さん(堺駿二)はボクシングを通じ大和魂を教えようとする。ここに組長の息子とフジ夫のボクシング対決が行われることになる。【福】
映画「クレージーメキシコ大作戦」(1968)
鈴木三郎(谷啓)には相川雪子(園まり)という恋人がいたが、大林常務(十朱久雄)の娘令子(浦山珠実)との結婚の話を進めてしまう。鈴木が令子と一緒にいるところを見てしまった雪子が鈴木を責めるシーン。場所は宮下公園。あずまやに座る谷啓の後方に丸井渋谷店(現「渋谷モディ」神南1-21-3)の看板が見える。
「眞野美容院」の看板があるのは明治通り沿いの現「トラスティ渋谷ビル」(渋谷1−24-1)。
後方に見えるのは明治通り沿いの「都営宮下町アパート」(現「渋谷キャスト」渋谷1-23-21)。
1968(昭和43)年/東宝
出演:植木等、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、石橋エータロー、桜井センリ、安田伸、浜美枝、園まり、大空真弓、春川ますみ、田武謙三、十朱久雄、藤岡琢也、中丸忠雄、藤田まこと、人見明、ザ・ドリフターズ(いかりや長介、加藤茶、荒井注、仲本工事、高木ブー)
メキシコオリンピックに向けて撮影された作品で、サンフランシスコやメキシコでのロケは豪勢だが、だらだらと長い作品。【福】
映画「コント55号 人類の大弱点」(1969)
宮下第1歩道橋をわたり宮下公園側から明治通りを渡る大垂欽一(萩本欽一)。後方右に宮下公園、中央に渋谷川。左側のビルは明治通り沿いの現「トラスティ渋谷ビル」(渋谷1−24-1)。
1969(昭和44)年/東宝
出演:萩本欽一、坂上二郎、岡田可愛、小林夕岐子、宮地晴子、白川由美、いしだあゆみ、チコとビーグルス
当時多くの国民が感じていたコント55号への愛着があってはじめて成立するドラマ。意外と萩本欽一が愛嬌に乏しく楽しみにくい。【福】
映画「私が棄てた女」(1969)
女工時代からの友人深井しま子(夏海千佳子)のもとに一度は身を寄せた森田ミツ(小林トシ江 )だが、しま子は情夫(江角英明)と同居し売春の斡旋をしていたため荷物を持ち早朝アパートを去る。
遠方に国立代々木競技場。ミツが昇った階段は国立代々木競技場や線路の位置関係、手摺のデザインから「宮下公園」と特定。
1969(昭和44)年/日活
出演:河原崎長一郎、浅丘ルリ子、小林トシエ、小沢昭一、加藤武、岸輝子、辰巳柳太郎、加藤治子、夏海千佳子、佐野浅夫、露口茂、早野寿郎、大滝秀治、江守徹
無教養だが自らを犠牲にして人を愛するミツと、地位と献身的な愛の間で悩む吉岡の姿を描く。
ドラマでは情けない役どころが多い印象の河原崎だが本作では美しい浅丘ルリ子に愛される役。小林トシ江が地方出身の素朴な女工の献身的な愛をみごとに演じている。パートカラーで製作されており、吉岡の回想シーンは緑のフィルター、ミツの回想シーンは赤のフィルターがかかり、ミツが「新相馬節」を歌うシーンで映る相馬野馬追の様子とラストのシークエンスのみカラー映像になる。原作は遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」。【福】
映画「女子学園 ヤバい卒業」(1970)
ストーリーとは無関係に「青春の詩」を吉田拓郎本人が歌うシーンが挿入される。吉田の背後に「丸井」と「日本生命」。「日本生命」は神南1-21-1に現存、「丸井」は神南1-21-3、現「渋谷モディ」の位置にあった。
1970(昭和45)年/日活
出演:夏純子、岡崎二朗、城野ゆき、応蘭芳、河津清三郎、玉川伊佐男、藤圭子
他愛もないストーリーで、ピンク要素もそれほどなく映画としては見るべきものはない。夏純子が中学生という設定も無理筋だが、柳家金語楼の娘有崎由見子、唐突に歌謡ショーのシーンがはさまる藤圭子、宮下公園で歌う吉田拓郎が見られるのは収穫。【福】
映画「不良少女魔子」(1971)
魔子(夏純子)のグループが東急本店で万引した女子高生達をカツアゲするシーン。渋谷1-26あたりと思われる。
1971(昭和46)年/日活
出演:夏純子、藤竜也、小野寺昭、岡崎二朗、宍戸錠
映画「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」(1980)
オープニングで、斑島祥介(中村雅俊)と樺屋隆治(勝野洋)が犯人(佐藤蛾次郎)を取り逃がす。背後に「宮下公園」(現「MIYASHITA PARK」)。
1980(昭和55)年/角川春樹事務所=東映
出演:中村雅俊、勝野洋、大楠道代
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