古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
渋谷全線座
東京都渋谷区渋谷1-24-10
1956年に開館した2本立ての名画座。ヘルスセンター「浮世風呂」を併設。1979年「全線座ビル」に建替え。
映画「東京暮色」(1957)
冒頭、杉山周吉(笠智衆)が酒場「小松」で呑むシーンの前に渋谷の風景が挿入される。
「渋谷東映」は現「渋谷Toeiプラザ」(渋谷1-24-12)、「浮世風呂」「全線座」とあるのは現「全線座ビル」(渋谷1-24-10)、背後の「富士フィルム」「マツダランプ」は「宮益坂ビルディング」(現「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」渋谷2-19-15)、手前右「山手随一大弓場 丸大」とあるのは現「片倉コープアグリ株式会社 渋谷ビル」(神南1-23-14)、「丸大遊技場」(現「丸大ビル」(神南1-23-13)。「西武渋谷店A館B館」の向かいから山手線越しに明治通り方面を見ていることになる。
映画看板の「始めに罪あり」は1956年ドイツ・ユーゴスラビア製作、「街の仁義」は1956年フランス製作の作品。
1957(昭和32)年/松竹
出演:笠智衆、有馬稲子、信欣三、原節子、中村伸郎、山田五十鈴、杉村春子、山村聡
原節子も有馬稲子も終始不機嫌。小津が常に場面にミスマッチな音楽を流し続けるのは何故。【福】
映画「無言の乱斗」(1959)
ラスト、木下昌夫(和田浩治)が芝(波多野憲)と対決する。
対決シーンは「中渋谷ガード」から「のんべい横丁」、「宮下公園」一帯で撮影されている。
背後の「戦艦ポチョムキン」の看板は「渋谷全線座」(現「渋谷東急REIホテル」渋谷1-24-10)。記録によれば1959年11月5日から10日まで「渋谷全線座」で「戦艦ポチョムキン」が上映されていた(小川佐和子「二重の神話化:日本における 『戦艦ポチョムキン』 上映史」)ので、その時期のロケと思われる。
1959(昭和34)年/日活
出演:葉山良二、清水まゆみ、和田浩治、白木マリ
映画「おヤエの女中と幽霊」(1959)
恋人との結婚を考えるが資金難で悩んでいる鍋山桃子(香月美奈子)のために、おヤエ(若水ヤエ子)は前に勤めていたご隠居の形見の指輪を売ろうと二人で渋谷へ出る。
宮益坂下交差点で明治通りを渋谷駅方面から宮益坂方面に渡る2人。1枚目左に宮益ガード、2枚目の背後に「渋谷東映」(現「渋谷Toeiプラザ」渋谷1-24-12)、「渋谷全線座」(現「渋谷全線座ビル」渋谷1-24-10)が見える。
1959(昭和34)年/日活
出演:若水ヤエ子、飯田蝶子、森川信、新井麗子、香月美奈子、藤村有弘
映画「その人は昔」(1967)
デートをする青年(舟木一夫)と洋子(内藤洋子)。だがこの後不良に絡まれることになる。二人がいるのは「宮下公園」の南端の階段。後ろにみえる映画館は「全線座」(現「渋谷全線座ビル」渋谷1-24-10)。
1967(昭和42)年/東宝
出演:舟木一夫、内藤洋子、山中康司、大木徹三
内藤洋子のヒット曲「白馬のルンバ」が聴ける。脳を揺らすような摩訶不思議なデュエット曲「恋のホロッポ」はクセになる。原作が「レコードドラマ」(音楽と音声のドラマでストーリーを構成したものか?)であったせいか、全体的にストーリーが希薄でイメージビデオのような印象。音楽担当の船村徹の演歌調のテイストが全編を支配し、ロック調やジャズ調の曲も垢抜けなさがぬぐえない。【福】
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