「ボクらの時代」(2020年3月15日 / フジテレビ)。
出演は、蛍原徹(雨上がり決死隊)、藤本敏史(FUJIWARA)、星田英利(元ほっしゃん。)という吉本印天然素材トリオ。
蛍原がNSC7期、藤本がNSC8期、星田がNSC9期という養成所の先輩後輩でもある。
さて、今回のトークの目玉は、当然、昨年の闇営業騒動で相方の宮迫博之が謹慎した蛍原だろう。
宮迫についてどう思っているのか、雨上がり決死隊は今後どうしていくつもりなのか。
テレビで余計なことをほとんど喋らない蛍原が、今、何を考えているのか気になるところである。
まあ、3人とも、ね、相方が、ね。離れちゃうみたいな。
何や、お前の相方、そうなん?
そうですね、まあ、嫁さんという相方がね。
ああ、そういうこと。生涯の相方が。生涯の解散した。
開口一番、自分の離婚騒動と宮迫の謹慎について触れる藤本。
その流れで、星田がかつて宮川大輔とチュッパチャップスというコンビを組んでいた話にも触れる。
星田は元ほっしゃん。の人であると同時に、元チュッパチャプスの人でもあるのだ。
京唄子。じゃあ明日誰よ。モト冬樹? じゃあ今誰よ。京・本・政樹。もうわけわかんない。
星田といえば、元ほっしゃん。。
ほっしゃん。時代に第3回R-1ぐらんぷりで優勝した時のネタのこのセリフを思い出すわけだが、今回はピン時代や改名には触れられることなくスルー。
というか、現在の肩書は芸人ではなく俳優の星田は、オシャレなメガネなどかけて本当に俳優さんのようなステキなたたずまいでこの鼎談に参加しているのだった。
相方謹慎の蛍原と離婚したばかりの藤本に対し、星田は傍観者のスタンス。
フジモン流の「相方」ということならばまったくの無傷ではないはずなのだが、こちらもスルー。
一方、子育ての話題はツルツルと気持ちよさげに喋っていたので、星田は離婚いじりNGの人なのだと私は理解したよ。違ってたらごめんね。
天然素材時代はダンスのレッスンを8時間も受けさせられツラかった話とか、デビューして2年ほどで自分は芸人として適性がないと感じたという星田の話などのほか、「宮迫のYoutubeチャンネルに出演するつもりはない」(蛍原)とか、「離婚した今でもユッキーナとは連絡をとっているし、上の子が毎日のように泊まりにくるから寂しくない」(藤本)といった、いかにもネットニュースになりそうなキャッチーな発言も飛び出す。
雨上がり決死隊において蛍原はいわゆる「じゃない方芸人」だ。
全然喋らないとか天然とかポンコツといった扱いをされてきたわけだが、「アメトーーク!」では実は優れたMCだったりする。
蛍原は変人ではあるかもしれないが、決してポンコツではない。
聞きやすい声で実にきれいに番組を進行する。その仕事ぶりは目立たないが、芸人が大勢出演する中、目立たないというのは進行に問題がないということ。
ガーガーとノイズ混じりの派手な声でトークのオイシイところをかっさらい、ひな壇芸人達を差し置いて自分がスポットライトを浴びてしまう癖がある相方の宮迫とは好対照である。
昨年の7月に行われた闇営業騒動の記者会見を受け、松本人志は「松本動きます」とツイートし、明石家さんまは宮迫を自分の事務所に迎え入れた。
おそらく宮迫は先輩に可愛がられるタイプの社交的で器用な人なのだろう。
吉本興業の、というより現在の芸能界の大立者である松本とさんまに守られていれば安心というものだ。
きっとそう考えていたに違いない。
しかし、である。
宮迫の誤算はこれまで蛍原を軽んじていたことではなかろうか。
1月にYoutubeデビューするまで、宮迫は蛍原について何も語っていなかったのではないか?
「じゃない方」の相方を貶めるような言動を繰り返していると、相方の価値は下がっていく。
相方を嫌っていようが見下していようが関心がなかろうが仲が悪かろうがそれは実はどうでもいい。
日頃から戦略的に相方の価値が上がるようにふるまっていれば、今回のような事があった時、相方の発言力も強くなり助け舟を出しやすくなるだろうし、事件を見守る一般の視聴者の感情も良い方向へ動きやすい気がするのだ。
「出来る方」と「じゃない方」のパワーバランスが大きく崩れていたり、何かというと「出来る方」が「じゃない方」を小馬鹿にするような発言をするコンビは要注意。
今売れっ子の第7世代の芸人達はみな賢そうだしメンバー仲も良さそうに見えるので心配ないかもしれないけれど、いつ何が起こるかわからない。
若手のコンビやトリオの皆さんは雨上がり決死隊を他山の石としてほしい。
とかなんとか屁理屈言っちゃってるけど、実は仲良しコンビが好きなだけかもしれない。
若手のコンビが仲良くしている感じもベテランコンビが互いにリスペクトしあっている様子を見るのも大好物。
10年にひとり、いや100年にひとりレベルのとんでもない才能を持つ超天才芸人ならいざ知らず、テレビで活躍する天才、秀才レベルの芸人さん達は相方を罵倒したり見下したりするタイプの古い笑いはひとまずお休みしよう。
「誰も傷つけない笑い」がトレンドの令和時代、仲良きことは美しき哉。【み】
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