テレビをこじらせた東京福袋が書いたノンキなテレビコラム集。

令和のアングラ芸人の貴重な受け皿「有田ジェネレーション」

フィットネス

有田ジェネレーション☆アングラ芸人予選大会☆」(2020年2月24日 / TBSテレビ)。

「アングラ芸人」として桐野安生とスルメを激推ししてきた「有ジェネ」だが、1月の「アングラ芸人2020 下克上ネタバトル」で彗星のごとく現れた「ムラムラタムラ」の登場でアングラ芸人推しの方針はより強まった模様。
ジェラードン、ダニエルズ、納言、ネルソンズといった実力派のレギュラー陣ほったらかしで隙あらばアングラ芸人をぐいぐい推してくる。

これまでいかにも賞レースで結果を残しそうなコンビ、トリオをレギュラーに採用してきたこの番組。
しかし、番組を卒業させた松陰寺太勇(ぺこぱ)が2019年のM-1グランプリのファイナリストになり、下剋上バトルで番組を去ったインディアンスも2019年のM-1グランプリに出場、番組の方針と折り合わず降板したゆにばーすは2017年、2018年とM-1グランプリ出場、前身の「有田チルドレン」では「我こそは“ぶちゃいく”芸人オーディション」の回(2015年6月2日)でスルーしたメイプル超合金がその年末のM-1グランプリに出場といった具合に、なんかこう、惜しいところをかすって大魚を逃し続けている感じなのである。
そういえば、若手トリオブームの中、下剋上バトル等で出たり入ったりはあったもののジェラードンとネルソンズをずっとキープしてきたが、2019年のキングオブコントを制したのはハナコだった。

これはテキトーな憶測なのだが、「有田ジェネレーションからお笑い3大賞レースの優勝者を誕生させよう!」という方針から「有田ジェネレーションから人気芸人を誕生させよう!」という方針にシフトチェンジしたのではあるまいか。
他の番組はまだ手をつけていない有ジェネが発掘した芸人を人気者にしよう。
世間にまだ見つかっていない芸人を地下から掘り出そう。

そのターゲットになっていたのが桐野安生なのだと思う。
「フルーツあるある」という持ちネタもトークも何もかもがポンコツな、有ジェネ以外ではまだ見たことがない地下芸人である。
バイト先の「大江戸温泉物語」のロケであるとかスルメと対決させる「アングラ芸人」企画であるとか、手を変え品を変え売り込んでいるのだが残念ながら一向に人気が出る様子がない。

そこに現れたのがムラムラタムラだ。
真っ赤なレオタードにヘアバンド姿で「もっこりからのりーもこちゃん」というフレーズを繰り返す謎のネタ。
腰を突き出して「もっこり」からの腰を引いて「りーもこちゃん」。
声のハリ、見た目の若々しさ、キモの座りっぷりが鮮やかだし、シモネタではあるのだがライトというかポップというか躊躇なくゲラゲラ笑える芸風である。

かつて地下芸人は地下芸人の吹き溜まりのような番組でしか見ることができなかった。

地下芸人が見られる番組年表
地下芸人が見られる番組年表

2000年代後半から2010年代なかばにかけて各局でこの手の番組がオンエアされており、永野、ハリウッドザコシショウ、牧野ステテコといったザ・地下芸人の面々が活躍していたが、無茶なシモネタやシュールすぎるネタで大滑りしてMCの東野幸治や濱口優に罵倒される役回りでしかなかった。
しかし、永野が「ラッセン」でブレイクし、さらにハリウッドザコシショウがキングオブコントで優勝して風向きは変わり、地下芸人が地上波で人気者になる可能性が大きく広がった。
今やムラムラタムラがブレイクしても全然不思議ではない状況である。

それなのに地下芸人番組はすっかり減ってしまい、現在、出演者非固定の地上波のレギュラー番組はたぶんこの「有田ジェネレーション」だけ。
地下芸人をもっと見たい我々のような視聴者にとっては本当にありがたい番組なのである。

さて、今回の「アングラ芸人予選大会」に出場した芸人は以下の通り。

  1. アングラ界のわからず屋「けんじ・あいどんのう」(パンプキンショートケーキ・鈴木)
  2. 毒ヘビアングラ330号「滝沢コブラ」(わらふぢなるお・ふぢわら)
  3. 飛び出せ!アングラひきこもり「部屋の中せまし」(フカミドリ・矢巻)
  4. 奏でるアングラ狂想曲「ドヴォルザーク小宮山」(シオマリアッチ)

地下芸人番組が足りないこのビッグチャンスに乗じて、有ジェネはセミレギュラーの「有ジェネ研究生」までを引っ張り出して、来たるべき「アングラ芸人大会」を盛り上げようとしているのであろう。
ピンのシオマリアッチはともかく、それぞれコンビをバラけさせてのアングラ芸人役である。
たとえば、小豆色のヒートテックの上下を着て宇宙海賊コブラのコントを演じたふぢわらが所属するコンビ「わらふぢなるお」は、キングオブコント2017決勝進出、2018準優勝、2019決勝進出、M-1グランプリ2018年、2019年準々決勝という輝かしい戦績を持つ実力派だ。
こういう本格派をエントリーさせてまで「アングラ芸人大会」を盛り上げたいのだと推測する。

いや、本当に売れるといいよね、りーもこちゃん。
正真正銘の有ジェネ発のスターの活躍が見たいよ。

それはともかく、今回一番笑ったシーン。
小峠が「部屋の中せまし」に「なんでこんなへんてこりんな名前にしたんですか?」と質問した時の答え。

部屋の中せまし
「普段はトリオでやらせてもらって…部屋の中せましじゅんこひろしっていうトリオで…」

カズレーザーと同居していることでも知られるフカミドリ矢巻。

2011年結成のフカミドリは漫才も大変面白く、遠からぬ将来のM-1ファイナリスト候補なので、今度こそ有ジェネはしっかりつかまえておいた方がいいと思うよ。【み】

 
 
¥110 (2020/08/05 06:37:52時点 楽天市場調べ-詳細)
出版社: 太田出版
発売日: 2004/7/16
言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)
 
出演: 東野幸治、藤井隆
販売元: よしもとミュージックエンタテインメント
発売日 2014/12/17