日頃、お笑い番組ばかり見て暮らしている我々東京福袋だが、昨年の収穫は「あらびき団」(TBS)と「モヤモヤさまぁ~ず」(テレビ東京)と「復活!世界一奇妙なクイズ(世界一キモいクイズ)」(テレビ朝日)であった。
この3つの番組に共通するキーワードは「脱力」。無論、しっかりと作り込まれたコントや名人達人のトークもいいが、思わず「これは酷い」と笑いながら叫んでしまうような番組の魅力も捨てがたい。
中でも、「あらびき団」の(良い意味での)酷さは他に類を見ない。
「あらびき団」の「あらびき」は「荒挽き」であって、粒が荒く芸がこなれていないパフォーマー達を紹介するという意味らしい。
番組オフィシャルページには「東野幸治・藤井隆の2人が主宰するニューカマーズ・サーカス”あらびき団”。ゴールデン進出と日本全国ツアーを目指して、2人は一芸をもったパフォーマーをオーディション」とあるが、どう贔屓目に見てもゴールデン進出はありえない芸人続出。
とはいえ、たとえば「エンタの神様」だって随分とあらびきな芸人が出演しているし、「爆笑ピンクカーペット」とか「インパクト!」とか「笑いの金メダル」の「ワンミニッツショー!」とか、あらびきな番組はこれまでも数々放送されてきた。
だが、これらの番組と「あらびき団」が決定的に違うのは、芸人達がネタを披露している最中に、その映像を見ながらMCの東野幸治と藤井隆が遠慮なく感想を述べているところ。
椅子から転げ落ちるほど大笑いすることもあれば、「なんでや」「もう出すな」などと文句を言うこともある。
駄目なものにはハッキリ駄目と言う面白さ。駄目過ぎる余りにかえって笑えるものを褒める面白さ。
東野と藤井の笑いに対するセンスに信頼を置く我々は、彼らの鋭いけれども肩の力がいい具合に抜けたコメント込みであらびき芸人達のネタを見るのが楽しい。
いわば我が家のお茶の間に東野と藤井を迎えて一緒にテレビを見ている感覚。頭の回転の速いオモロい友達が家に遊びにきてくれたみたい。
この2人がMC席でごちゃごちゃ言っている限り、どんな酷い芸人も無駄に滑ることはない。東野と藤井のコメント芸を堪能する番組といえよう。
また、あらびきなお笑い芸人だけでなく、ビックリするような素晴らしい芸を持った大道芸人や歌手、なぜか水着姿のグラビアアイドル、果ては分類不能なタレントも登場するのもナイスだ。まさに玉石混淆。主に石ばっかりだけど。
というわけで、東京福袋オススメのあらびき芸人のベスト5を選んでみた。
- ガリガリガリクソン
リアルなオタク系ルックス、陽気で闊達な雰囲気、滑舌の良い達者な喋り。東京福袋2008年イチオシ芸人。 - ジュニー・ザ・ピンボール
東野と藤井のコメント込みで見てこそ楽しめるこの番組ならではの愛すべき芸人。1月16日の放送で東野命名の「ふとっちょカウボーイ」に改名するとのことだが、意味不明な「ジュニー・ザ・ピンボール」のままでいてほしい。 - ハリウッドザコシショウ
あらびき系芸人としてのインパクトはピカイチ。素直に「こりゃひでぇ〜〜!」と叫びながら見るべし。 - 長江もみ
静かな声で淡々と富山県の魅力を語るメガネ女芸人。地味な雰囲気でインパクトこそないもののじわじわと面白い。 - はるな愛
喋りの達者な美人系ニューハーフタレントとしては既にメジャーながら、この番組で披露した「エアあやや」(松浦亜弥のライブの音源の声にピッタリ口や動きをシンクロさせるモノマネ)のインパクトはスゴい。何度見ても飽きない。
この他にも「なにもかもがあまりにも酷過ぎて唖然として思わず笑っちゃう」というタイプのいわゆる滑り芸系の芸人でプロフィールを見ると1976年生まれとあるのだが到底40歳以下には見えない熟成したルックスと声の持ち主メグちゃんや、なぜかセーラー服を身にまといよく響く声で古めかしいがなかなか素敵なメロディの自作曲を唄い上げる謎のおじさん
あと、あらびきではない本格的な大道芸等のパフォーマーが登場する時に、なぜか実況を担当するとろサーモン村田のあらびきなナレーターぶりも見逃せない。
お茶の間に東野幸治と藤井隆が遊びにくるのがイヤでなければ、ぜひ一度ご覧になることをオススメしたい。毎週水曜日深夜11:55からTBSでオンエア中。【み】