この1年あまり、夜はだいたいAmazonプライムで昭和時代の日本映画を見ているので、録画しておいた番組の視聴が全然はかどらない。ごはんのお供には30分ものを優先して見ちゃうので、1時間を超える長尺の特番や連続ドラマは後回しにしがち。
そんなわけで「ジョンソン」初回もまだ見ずにこの記事を書いていることをあらかじめお断りしておく。
さて、「ジョンソン」である。
「リンカーン」の後継番組が、なんと10年の空白を経てスタートした。
「リンカーン」が終了したのが2013年9月10日で「ジョンソン」が始まったのが2023年10月23日だから、ほぼぴったり10年。
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの演説の一節である「人民の人民による人民のための政治」をもじった「芸人の芸人による芸人のための番組」がキャッチフレーズだった「リンカーン」。その後継番組だから、第17代アメリカ合衆国大統領アンドリュー・ジョンソンの名前をとって「ジョンソン」という気が利いてるのか利いてないのか判断に迷うタイトルではある。
「リンカーン」はバラエティ界の絶対王者ダウンタウンを中心に、当時中堅どころとして活躍していたさまぁ〜ず、雨上がり決死隊、キャイ〜ン、山口智充(DonDokoDon)らがレギュラーメンバー。
そのほか、セミレギュラーのおぎやはぎ、バナナマン、FUJIWARAらの中堅芸人、もっと若手の芸人たちがさまざまなコーナーに大勢登場していた。
「芸人大運動会」「フレンドリーダウンタウン」「世界ウルリン滞在記」「説教先生」あたりの企画が印象に残っているが、ウィキペディアを確認したところ「リンカーン芸人タワー」とか「巨大化してみよう」とか「リストランテリンカーン」とか、いや、コーナー名を眺めているだけで懐かしい。
大笑いする週もあればガッカリしちゃう週もある振り幅の大きい玉石混交バラエティ。ギャンブルみたいな番組だった。
「リンカーン」が終了した2013年がどういう年だったかというと、映画「テッド」で有吉弘行が主役のテッドの吹替えを担当し、朝ドラ「あまちゃん」がネットで大人気を博し、プロ野球は田中将大の活躍で東北楽天ゴールデンイーグルスが優勝し、「紅白歌合戦」でももいろクローバーZと田中将大が共演し、大トリの北島三郎の「まつり」で盛り上がり、「M-1グランプリ」は開催されておらず、コンテスト形式だった「THE MANZAI」はウーマンラッシュアワーが優勝した。
「YOUは何しに日本へ?」「ジョブチューン アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」「アウト×デラックス」「久保みねヒャダこじらせナイト」「有吉反省会」「有吉ゼミ」がレギュラー放送を開始し、「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」がゴールデン進出したのも2013年。
「リンカーン」は終了したのはこんな感じの年だった。
ウィキペディアの2013年のバラエティ番組の一覧を見ると、くりぃむしちゅーと有吉弘行の活躍が特に目を引く。内村光良とさまぁ~ずとバナナマンも強い。
大勢の芸人が集まってわいわい騒ぐタイプの番組よりも、トーク番組とスタジオで映像を見るモニター系の番組が増えてきたような気がする。「THE MANZAI」では心の隙間は埋められず、「M-1がない」というスカスカした気分が思い出される。ちなみにAKB48のメンバーがスキャンダルを謝罪する動画で丸坊主になったのもこの年。
あれから10年。
有吉弘行はますます絶好調である。
彼がMCを務める「有吉の壁」は、深夜特番を経て誰もが目を疑う19時台のレギュラー放送となりまさかの成功を収めている。
「有吉の壁」のように大勢の芸人が集まってわいわい騒ぐタイプのバラエティがイケる時代到来、とTBSは考えたのではあるまいか。
「ジョンソン」の初回は、「リンカーン」時代に恒例だった「芸人大運動会」だという。
これなら「リンカーン」の後継番組だとアピールできるし、スポーツの秋で季節感もあるし、若手からベテランまで50人だろうが100人だろうがナンボでも芸人集めて盛り上がれるし……という制作サイドの思いが伝わってくるような企画である。
いや、それってちょっと守りすぎ、過去の栄光に頼りすぎ、置きにいきすぎじゃない?
そして、置きにいっているように見える一方、実は無茶なチャレンジをしているようにも感じた。まだ録画見てないけど。
だって「リンカーン」には浜田雅功がいたけど「ジョンソン」には浜田雅功がいないよ!
ハマダのいない「芸人大運動会」というのがちょっと想像できないのである。
後輩芸人たちを睨みつける、脅しつける、ひっぱたく、ぶん殴るという平成のバラエティにおける浜田雅功らしさ全開のバイオレンスなふるまいが核になっていた「芸人大運動会」である。
さらにいえば、「リンカーン」の第1回「芸人大運動会」は、レギュラー放送が始まってからいくつもの企画を経てから放送された記憶がある。
ダウンタウンとその他の芸人たちの関係性、レギュラー陣の関係性をある程度提示してからの企画ではなかっただろうか。
いきなり初回で、しかも浜田雅功抜きで行われる「芸人大運動会」は一体どんな雰囲気になったのだろう。
「ジョンソン」のレギュラーは、かまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨークという若手から中堅にクラスが上がったばかりの活きの良いメンバーである。
この中の誰かがハマダの代わりとなって出場芸人たちをどやしつけたりしたのだろうか。あるいは令和のバラエティらしく和気あいあいと盛り上がったのだろうか。
「有吉の壁」の成功は、現在キー局のバラエティを完璧に席巻している吉本興業所属の芸人と同数もしくはやや多めの人数の“非吉本芸人”が大活躍していることが大きいと思うので、「ジョンソン」もレギュラー陣にもう1組“非吉本芸人”のコンビを入れてみてはどうか。
いやいや、まるで「芸人大運動会」が冴えない結果に終わった感じで話を進めているが、録画をまだ見ていないので実際のところはわからない。
とはいえ、おなじみすぎる「芸人大運動会」なので、おふざけに重きをおいた競技あり無茶をさせる競技あり普通に走るリレーありといった流れと推測。
「ロンドンハーツ」の「スポーツテスト」で発覚したバイきんぐ西村瑞樹の身体能力のように、意外な芸人が足がすごく速くてビックリ!みたいな見方で楽しむべきだろう。
ともあれ浜田雅功のいない「芸人大運動会」に余計な期待は無用である。
既に放送をご覧になった皆様、「ジョンソン」の芸人大運動会どうでした?
面白かったですか? 浜田雅功がいなくても盛り上がっていました? レギュラーの4組は出場芸人たちをいい塩梅に回していましたか?
ごちゃごちゃ言ってるヒマがあったらさっさと録画見ろって? いやホントごもっともです。【み】