のんべい横丁|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

のんべい横丁

東京都渋谷区渋谷1-25-9〜10

1950〜53年に渋谷川と山手線の間、渋谷中央マーケットの奥に形成されたマーケット。現存。

目次

映画「アリバイ」(1963)

殺人に使われた米軍から流出した銃を追う警察は、拳銃ブローカーの大野(小高雄二)が渋谷で数丁処分したことを知り、渋谷に向かう。組事務所で冷蔵庫に隠した拳銃が見つかり組員の佐久間は外に逃げる。
佐久間が逃げた場所は「のんべい横丁」(渋谷区渋谷1-25、一部現存)。「紀文」「静」「丹頂」などの店名から判明。

作品データ
映画「アリバイ」
監督:牛原陽一

1963(昭和38)年/日活

出演:二谷英明、 小高雄二、 渡辺美佐

経理士が自宅で銃殺され、現場から100万円の小切手が紛失した。畑中部長刑事(二谷英明)は拳銃の出どころを追ううち拳銃ブローカーの大野(小高雄二)という男に行き着く。警察は大野が犯人と目星をつけるが、大野には同時刻にある薬局にいたという目撃者がおり、また店内からは大野の指紋も検出された。一方小切手の発行主から汚職担当の捜査二課が長年目をつけていた中央貿易公司社長の呉羽(陶隆)が浮かび上がり、事件は複雑さを増していった。
警視庁協力のもと作られた本作は当局に配慮したためか堅実さはあっても今ひとつスリルに欠ける。【福】
日活
アリバイ | 映画 | 日活 偽装されたアリバイ工作を崩すべく、必死の努力を傾ける捜査担当刑事の活躍を描く。

ドラマ「特別機動捜査隊 第136話『エゴイスト』」(1964)

立石主任(波島進)率いる立石班は被害者の財布から金を抜き取り捨てたというルミ(松浦波路)を伴い現場付近で財布を捜索する。その直前に現場付近の俯瞰がインサートされる。
現場は渋谷駅付近。
「三和銀行」一帯は現「MAGNET by SHIBUYA 109」(神南1-23-10)。中央の高いビルは「住友信託銀行渋谷支店」か。その右手に9月の完成に向け建設中の「国立代々木競技場」の屋根が見える。
右下の「寿司幸」などの看板がある木造建物群は「渋谷中央マーケット」(現「渋谷パークサイド共同ビル」渋谷1-25-6)とその背後に続く「のんべい横丁」(現存)。

左側の「珈琲」の看板がある木造建物群は「渋谷中央マーケット」(現「渋谷パークサイド共同ビル」渋谷1-25-6)とその背後に続く「のんべい横丁」(現存)。
その右側が渋谷川。その右側の建物は「富士銀行渋谷支店」(現在「みずほ銀行」がある「みずほ銀行 遠州屋共同ビル」渋谷1-24-12)。

作品データ
ドラマ「特別機動捜査隊 第136話『エゴイスト』」
監督:伊賀山正光

1964(昭和39)年/NET

出演:波島進、南川直、岩上瑛、鈴木志郎、仲原新二、上田侑嗣、館敬介、植田譲、松風はる美、松浦浪路、岡野耕作、斉藤英雄、春江ふかみ、加藤澄江、進藤幸、水沢摩耶

路地裏で頭から血を流し死んでいる男が発見され、警視庁捜査一課の立石主任(波島進)率いる立石班は現場へ急行した。現場付近で挙動不審だった売春婦ルミ(松浦波路)に事情聴取すると、彼女は現場から慌てて立ち去った男を見ていること、その後被害者の財布から現金を抜き取り財布を捨てたことが判明した。翌日、現場付近の川から発見された財布からドライブクラブの会員証が発見され、被害者の氏名は谷隆かと思われたが、前日に谷が会員証を友人の田端利夫に貸したことがわかった。またルミの証言から重要参考人である現場から立ち去った男のモンタージュが作られた。
なお、ドライブクラブというのは現在のレンタカー。【福】

映画「妻二人」(1967)

永井利恵(江波杏子)との結婚をもくろむ小林(伊藤孝雄)は利恵の姉道子(若尾文子)と話し合うため電話で呼び出す。
電話ボックスの背後はのんべい横丁。「オアシス」の背後の店舗「モンクール」がのんべい横丁にあったことを「渋谷区商工名簿1970」で確認。

小林(伊藤孝雄)が電話で呼び出した道子(若尾文子)と話しているのは宮下公園。右手にのんべい横丁の屋根が見える。左側の看板は「渋谷全線座」。

作品データ
映画「妻二人」
監督:増村保造

1967(昭和42)年/大映

出演:若尾文子、三島雅夫、江波杏子、伊藤孝雄、岡田茉莉子

雑誌社の部長として社会福祉に尽くす社会正義と善意の人永井道子(若尾文子)。その夫柴田健二(高橋幸治)はある日不遇にあえぐかつての恋人雨宮順子(岡田茉莉子)と再会し、愛情が再燃する。道子の妹利恵(江波杏子)は堅苦しい家風に反発し気ままに暮らしているが、ある日恋仲になった男小林(伊藤孝雄)は実は雨宮の現在の恋人だった。小林は雨宮を捨て資産家の娘利恵と結婚するため、結婚に反対する道子を会社や家族のスキャンダルを材料に脅迫しはじめる。【福】

映画「実録・私設銀座警察」(1973)

米国兵を傷つけて逃亡した渡会(渡瀬恒彦)を捜索するMP(Military Police:アメリカ陸軍の憲兵)。
あからさまに「のんべい横丁」の看板が映っているので容易に特定できた。

銀座を支配する中根組殲滅のため、池谷(安藤昇)らは中根譲(待田京介)をおびき出し川で銃殺する。池谷らの根拠地「BAR キティ」へ向かう中根。2009年に吉野@東京福袋が「のんべい横丁」で撮影した写真に画像と同じ「榮川」「会津」「鳥重」の看板が写っていたことから「のんべい横丁」と特定。

作品データ
映画「実録・私設銀座警察」
監督:佐藤純弥

1973(昭和48)年/東映

出演:安藤昇、梅宮辰夫、佐藤蛾次郎、小林稔侍、三上真一郎、葉山良二、室田日出男、渡瀬恒彦、待田京介

戦後新橋の闇市で池谷三郎(安藤昇)、樋口勝(梅宮辰夫)、宇佐美義一(葉山良二)、岩下敏之(室田日出男)が出会う。在日外国人が住む集落を襲撃した彼らは「私設銀座警察」を名乗る。米国兵を傷つけて逃亡してきた渡会菊夫(渡瀬恒彦)がこれに加わる。彼らは銀座を支配する中根組を壊滅し、銀座を制圧する。しかし宇佐美と池谷が公金を横領した役人と中国人福山をそれぞれゆすったことから次第に内部に亀裂が入っていく。【福】

映画「十代 恵子の場合」(1979)

鉄(三浦洋一)と寝たと誤解された恵子(森下愛子)は鉄の愛人“山の手のお竜”(吉岡ひとみ)に拉致され暴行を受ける。
暴行を受けている場所は「のんべい横丁」(現存、渋谷1-25)。「のんべい横丁」の看板のほか、「ふじ」「まかん・ぶっさーる」「淡路」「一力」「水車」など当時の店の名前を住宅地図で確認して特定。

作品データ
映画「十代 恵子の場合」
監督:内藤誠

1979(昭和54)年/東映

出演:森下愛子、三浦洋一、風間杜夫、殿山泰司

高校2年の恵子(森下愛子)の家庭は父母のいさかいが絶えず、また最近学業も振るわず行き詰まっていた。ある日図書館で声をかけてきた高校生のたまり場へ行き、そこでチケットを買わされたパーティに向かうとそこでは麻薬と性が蔓延していた。襲われそうになった恵子はやくざの鉄(三浦洋一)に助けられ、鉄とつきあうようになった恵子は鉄と組んで美人局まで行うようになっていた。ある時上納金が原因のもめ事で兄貴分の石黒(成瀬正)を傷つけてしまった鉄は恵子を連れて地方へ逃げる。恵子がトルコ風呂で働き、鉄は博打にのめりこみ、覚醒剤漬けの日々が始まった。
恵子が想定内の流れで身を落とし想定内の結末が待っている、何もひねりのないストーリーに音楽も安っぽいムード音楽ながら、1979年の渋谷の風景をふんだんに観ることができるありがたい作品。つかこうへいの「熱海殺人事件」で木村伝兵衛を演じた三浦洋一(初代)と風間杜夫(二代目)が出演しているのが演劇ファンにとってはちょっと嬉しいポイント。【福】

映画「太陽を盗んだ男」(1979)

警察に5億円を要求した城戸誠(沢田研二)はメーデーに湧く街をカバンに原爆を入れて持ち歩く。
公園通りを進むメーデーのデモ隊の空撮。
右側の線路が山手線、その背後に黒い屋根ののんべい横丁が見える。
「明光証券」の看板は「渋谷住友信託ビル」(神南1-22-3 / 現在「KCA渋谷プロジェクト」が2025年7月の完成に向けて建設中)、その背後が「宮下公園」。
背後の「東急イン」は現「渋谷東急REIホテル」(渋谷1-24-10)。

作品データ
映画「太陽を盗んだ男」
監督:長谷川和彦

1979(昭和54)年/キティ・フィルム

出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子、風間杜夫、伊藤雄之助

中学の理科教師城戸誠(沢田研二)は原爆を作ることをひそかに計画していた。彼は交番を襲って拳銃を奪い、原発に侵入して入手したプルトニウムを使い自宅で原爆を完成させた。彼はまず国会議事堂に原爆のレプリカを置き、警察庁長官に知らせることで自分が原爆をつくる能力があることを示した。その上で自分との窓口に捜査一課の山下警部(菅原文太)を指定した。城戸はかつてバスジャック事件をきっかけに山下警部(菅原文太)を知ったのだ。城戸は原爆を材料にナイターの放送延長を要求する。【福】

映画「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」(1980)

オープニングで、斑島祥介(中村雅俊)と樺屋隆治(勝野洋)が犯人(佐藤蛾次郎)を追う。「のんべい横丁」前の山手線沿いの道。背後に見える「三和銀行」は現「MAGNET by SHIBUYA109」(神南1-23-10)。「テクニクス」の看板は「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。

作品データ
映画「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」
監督:斎藤光正

1980(昭和55)年/角川春樹事務所=東映

出演:中村雅俊、勝野洋、大楠道代

斑島祥介(中村雅俊)と樺屋隆治(勝野洋)の二人組は出来の悪い刑事。ある日銀行強盗の訓練で強盗に扮した二人が現金入りのジュラルミンケースを奪って逃走中にそれを何者かに奪われてしまう。【福】

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