まだ引っ張るか、里香の更生ばなし。
先週までのペースでいったら里香はとっくにジャージを脱いで母と対決し、進路を決め、直子か聡子の店で修行を始めて何か失敗して泣いているところである。
それにしてもこの家、改装したとえいえ古いし広いし天井は高いしでさぞ寒かろうと思うのだが、暖房器具の見当たらない2階でも一切寒そうにしていない糸子おそるべし。
里香が選んだツッパリファッションがこういう事態─暴走族にオハラ洋裁店の窓を割られるトラブルを招いたのだと説く糸子。
ジャージを脱ぐか、東京に戻るか。
ここまでの行動から見るに、里香は格好だけの半端なツッパリ娘。
だから、祖母に優しく説教されただけでツッパリ仕様のジャージファッションはすぐやめてしまうのだが、優子が送ってきた服には手をつけず、2階の子ども部屋の押入れからチョイス。
結果、大きなスキー帽、古ぼけた綿入れ、可愛らしい小花模様のセーター、体操着風ジャージ、厚手の毛糸の靴下…というまるで昭和の下宿学生のようなコーディネートに変身である。
里香にこの珍妙な服装のまま来客にお茶を出させるのだから、オハラ洋装店もずいぶん様変わりしたものである。
仏頂面の糸子にジャージでお茶を出させた時も驚いたが、もしこれがかつての優子だったら、やる気がないなら「裏へ行け」と叱られていたところだね。
「カーネーション」の世界では、爺さん婆さんは孫にはひたすら甘いのである。
里香が頑にジャージにこだわるのは、優子が「ジャージを脱いだら里香を迎えにいく」と言っているからだという。
母親が嫌いではないのに、母親が買い与えてくれた服は一切着たくないし、母親が選んだ学校にも行きたくないと祖母に甘え泣きして訴えるのだ。
ロンドンからの電話で里香と話していて、今、自分のお古のジャージを履いていると聞いて面白がる聡子。あの体操着のようなジャージは聡子の物であった。
聡子が登場するとドラマにフレッシュな風が吹き渡る。
設定としては四十代半ばだが、サッパリとした可愛らしい叔母さんになっていて嬉しい。
こんなほんわかと優しくてしかもロンドンで活躍するカッコイイ叔母さんがいたらいいよねえ。
里香、中途半端にツッパって岸和田のヤンキーの皆さんに喧嘩売ってる場合じゃない。母親や祖母に仏頂面してグズグズしてる場合じゃないよ。
なにしろ里香に大甘、優子には厳しい糸子もいるわけだから、私なら婆ちゃんに旅費を用立てて貰ってとっとと渡英してるね。
一方、100反のエピソードもようやく一段落、自分のブランドを作る話まで進む。
次週予告を見た感じだと、三姉妹と一緒にテレビのトーク番組に出演する様子が描かれるようだ。トーク番組の司会者が気になる!
今後、「イトコ・オハラ」ブランドの発表、ファッションショー、テレビや講演会での活躍、その合間に里香のファッション業界への進出……などが描かれるのだろうが、孫娘更生プロジェクトにこんなにたっぷり時間をかけてしまって大丈夫なのか。ちょっと心配。
体操着風のジャージには「小原聡子」の名札が縫いつけてあったが、派手な配色の靴下には直子の名が。となると可愛らしい上品なセーターは優子のお古なのだろう。もしかしたら綿入れは糸子のお古かな。
それはそうと、岸和田の人間ではない私が言うのはさしでがましいけど、今日の「ジャージ」の発音は糸子も優子も難あり、と思った。【み】