渋谷公会堂|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

渋谷公会堂

東京都渋谷区渋谷3-19
東京都渋谷区にある多目的ホール。略称は「渋公」。施設命名権により、2006年から2011年にかけて「渋谷C.C.Lemonホール」に名称変更。2015年10月、建て替えのため閉館。新ホールは2019年10月に開館。通称「LINE CUBE SHIBUYA」。コトバンク

目次

映画「大冒険」

1965
大冒険

悦子(団令子)がニセ札偽造団に誘拐され、植松(植木等)と谷井(谷啓)は悦子のコンパクトに仕込んだ発信機の信号を追って森垣金融にたどりつく。森垣金融の社屋は「渋谷公会堂」だ。

大冒険

森垣金融に駆け込もうとしている後ろ姿のオレンジのスーツの男性は植木等。

作品データ

映画「大冒険」
監督:古澤憲吾
1965(昭和40)年/東宝
出演:植木等、谷啓、団令子、ハナ肇、犬塚弘、石橋エータロー、桜井センリ、安田伸、越路吹雪

国際的なニセ札偽造団が問題になっていた。週刊トップの記者植松唯人(植木等)と隣人の発明家谷井哲介(谷啓)は日本にもニセ札が上陸しているのを発見、植松の書いた記事は大スクープになった。一方警察の花井刑事部長(ハナ肇)、乾刑事(犬塚弘)、市橋刑事(石橋エータロー)は植松が知らずに使った一万円札がニセ札だったことから偽造団の一味と勘違いして植松の追跡を開始する。偽造団の東京地区の責任者、金融会社森垣金融の森垣久美子(越路吹雪)は植松の命を狙う一方日本からの撤退を図り、人質として警察のスパイの疑いがある谷井の妹悦子(団令子)を拉致して移動を始める。植松と谷井は悦子のコンパクトに仕込んでいた発信機の信号を追って名古屋、神戸、さらには偽造団の潜水艦の艦内と移動、警察がこれを追う。偽造団に発見された植松と谷井は処刑されそうになるがその時……。
クレージー・キャッツ結成10周年記念映画だけに予算が潤沢、アクションシーンや特撮がたっぷりの見応えのある作品。【福】

映画「君は恋人」

1967
君は恋人

劇中劇のラストシーン、更生して歌手としての才能を見いだされた光夫(浜田光夫)は、「君は恋人」が流れる中、雅子(和泉雅子)と手に手をとって渋谷の街を走っていく。ロケ地は国立代々木体育館前の道路。正面右に「渋谷公会堂」、正面左は「渋谷区役所」。その右手は「NHK放送センター」、左側手前の建物「メイジハイツ」は2019年建て替えられ「ラ・トゥール渋谷神南」(神南1-5-14)になった。さらに手前の「桑沢デザイン研究所」は建替えてこの位置に現存。

作品データ

映画「君は恋人」
監督:斎藤武市
1967(昭和42)年/日活
出演:浜田光夫、和泉雅子、克美しげる、林家こん平、清川虹子、舟木一夫、田辺昭知とザ・スパイダース、荒木一郎、ジャニーズ、黛じゅん、岡田真澄、中村八大、坂本九、石原裕次郎、小林旭、浅丘ルリ子、芦川いづみ、高橋英樹、渡哲也、松原智恵子、山本陽子、山内賢、和田浩治、川地民夫、葉山良二、深江章喜、郷鍈治、太田雅子、宍戸錠、二谷英明、吉永小百合

工員の光夫(浜田光夫)は工場を辞め、より高収入を求めてやくざの宍戸組に入るためチンピラのこん平(林家こん平)の手伝いをしながら何らかのチャンスを求めていた。そこへ宍戸組と対立する深江組の組長(深江章喜)暗殺の話が起こり、光夫は名乗りをあげる。なんとか自らの手は汚さずに済んだ光夫だったが、組の中での地位はぐんと上がる。次の光夫への指示は流しで光夫に想いを寄せる雅子(和泉雅子)の兄、井上(克美しげる)を刺殺することだった。光夫は井上を刺すが自らも負傷してしまい一命を落とす……というシナリオの暗いストーリーに不満を感じたザ・スパイダース(本人役)の面々は脚本家の赤井(渡哲也)に強引に書き直しを迫る。
浜田光夫の右目負傷からの復帰第一作という現実と、浜田が演じるやくざ組織に入ろうとする「光夫」のストーリーが並行して進められる珍しい構成の映画。浜田の復帰を祝して日活のスターが一同に会する豪華大作。【福】

映画「その人は遠く」

1963
その人は遠く

量介(山内賢)は母(小夜福子)の事故がきっかけで旅館の娘井波恵以子(和泉雅子)と出会う。しばらくはうまくいった量介と恵以子だが、量介の心がまだ奈津子(芦川いづみ)にあることを知り傷心の彼女は家出し渋谷の花屋に勤める。量介と奈津子が恵以子を迎えにいくシーン。
渋谷の花屋とされているのは神南1-15にあった「レストラン ナカタニ」(現「中谷ビル」)。映画中に映る店名で場所を特定。隣接地では「渋谷区総合庁舎」と「公会堂」が建設中。残念ながら工事中の様子は映っていない。

作品データ

映画「その人は遠く」
監督:堀池清
1963(昭和38)年/日活
出演:芦川いづみ、和泉雅子、山内賢

受験生の岡田量介(山内賢)は母(小夜福子)と二人暮らし。ある日遠縁の親戚が亡くなり、そこの一人娘細川奈津子(芦川いづみ)が岡田家で暮らすことになる。美しく成長した奈津子に量介の心は動く。奈津子は量介の心を知ってか知らずか彼に親密に接し、量介の想いは日に日に募るのだった。そして合格発表の朝、親戚から奈津子の縁談の手紙が舞い込む。心穏やかではない量介は…。
奈津子が量介の心を翻弄し、それに最後彼が愛想をつかしたように見えてしまうのは多分描き方がうまくないのだろう。【福】

映画「処女喪失」

1965
処女喪失

天野(川地民夫)が送られてきたアンケート中最も悲惨な経験を持つ桃井ミキ(柏木優子)を取材するため彼女が巫女として勤める結婚式場東都会館に行くと、実はそれは創作で彼女自身はまだ処女だという。しかし彼女はアンケートの回答者の一人、看護師の今西すえ子(填洋子)のその後を知っていた。
結婚式場東都会館として使われているのは「渋谷公会堂」(現「LINE CUBE SHIBUYA」宇田川町1-1)。

処女喪失

結婚式場東都会館の屋上で話を聞く天野。結婚式場東都会館のとして使われているのは「渋谷公会堂」(現「LINE CUBE SHIBUYA」宇田川町1-1)。奥には「国立代々木競技場」、右手に「岸体育館」が見える。

作品データ

映画「処女喪失」
監督:井田探
1965(昭和40)年/日活
出演:川地民夫、和田浩治、柏木優子、藤江リカ、内田高子、槇洋子

船員の山岸(和田浩治)は婚約者橋本(藤江リカ)の自死の理由を探るうち、彼女が女性文化科学研究所の性に関するアンケートに答えていたことを知る。同研究所を訪れた山岸に編集者の天野(川地民夫)は彼女のアンケートを見せる。そこには山岸の長い航海中に彼女が薬問屋の店員から売春婦になるまでの経緯が綴られていた。アンケート後面談に来なかった女性の方にドラマがあると感じた天野は、4人の女性についてその後の追跡調査を行う。
竹中労「処女喪失―未婚女性の性行動」(1965)をもとに映画化した珍作。処女を失うと結婚はできないという当時の純潔主義の壁の高さと一方でそれを乗り越える男女の姿も描く。映画として処女性についてどう考えるかというスタンスは曖昧になってしまっている。【福】

映画「顔役」

1965
顔役

関東城政会幹部会が開催され、ホテルにやくざが大量に集結する冒頭のシーン。ホテルとして使われている左の建物が「渋谷区役所」、右が「渋谷公会堂」。区役所をよくやくざ映画に開放したものだと思うが、区役所がこの場所に移転したのがこの映画が公開された1965年なので、建設直後で区役所として稼働する前にロケしたのだろうか。

作品データ

映画「顔役」
監督:石井輝男
1965(昭和40)年/東映
出演:鶴田浩二、佐久間良子、藤純子、三田佳子、江原真二郎、アイ・ジョージ、長門裕之、待田京介、曽根晴美、佐々木孝丸、神田隆、安部徹、内田朝雄、遠藤辰雄、潮健児、大村文武、曽我廼家明蝶、天知茂、大木実、高倉健

関東のやくざの幹部が一同に集まる関東城政会幹部会が開かれ、地方に飛ばされていた檜山会の幹部中神(鶴田浩二)と早見(高倉健)が東京に帰ってきた。新山市の酪農用地造成工事について関西同志会の関東進出を阻止するため、会長檜山(安部徹)の指名で中神、早見、宮田(江原真二郎)、染谷(待田京介)、桑原(アイ・ジョージ)、安積(曽根晴美)が現地に駐在することになる。早見が新山市長(神田隆)を脅迫し関東勢が無事工事を入札したが、工事を進めるうち埋立用の土が草木一本生えない質の悪い土であることが判明する。中神は檜山会長に改善を申し入れるが……。【福】

映画「恋のつむじ風」

1969
恋のつむじ風

アカネ(松原智恵子)がアオイ(太田雅子)、ミドリ(長谷川照子)と暮らすマンションに別れを告げにくる俊平(杉良太郎)とそれについてきた妹(丘みつ子)。背後右側は「NHK放送センター」、左側は「渋谷公会堂」とその前の時計塔。「グリーンマンション」というマンションの設定の建物は「近江美容室」(現「アップル近江東京」神南1-5)。

作品データ

映画「恋のつむじ風」
監督:鍛冶昇
1969(昭和44)年/日活
出演:松原智恵子、長谷川照子、山本陽子、杉良太郎、川口恒、和田浩治、太田雅子、沖雅也

北海道の開拓村。一ノ瀬俊平(杉良太郎)と松山アカネ(松原智恵子)の披露宴が行われている最中にアカネの友人竹野アオイ(太田雅子)が乱入、結婚に異議を唱える。また俊平に妊娠させられたという女性(斎藤チヤ子)も登場し、アカネは俊平を残してアオイとともに東京に向かい、アオイと梅村ミドリ(長谷川照子)の部屋で暮らし始める。田舎育ちのアカネにとってアオイやミドリとの生活は刺激的なものだった。ある日アカネは大会社の若き副社長双見安彦(川口恒)に気に入られ、デートを重ねる。一方俊平もアカネを追って上京してきた。【福】

映画「二人の銀座」

1967
二人の銀座

ラスト、ジャズフェスティバルで村木健一(山内賢)らのバンド「ヤング&フレッシュ」と瀬川マコ(和泉雅子)が演奏する中、会場の外で瀬川玲子(小林哲子)がかつての恋人戸田周一郎(新田昌玄)と再会する。会場の外観は「渋谷公会堂」。階段の特徴や、これに続くシーンで「渋谷区役所」や特徴ある地下へのスロープが映ったことから特定。

作品データ

映画「二人の銀座」
監督:鍛冶昇
1967(昭和42)年/日活
出演:山内賢、和泉雅子、和田浩治、片山明彦、新田昌玄

瀬川マコ(和泉雅子)は姉玲子(小林哲子)が大事にしていた楽譜を公衆電話で落としてしまう。これを拾ったのは東南大学のアマチュアバンドのメンバー、村木健一(山内賢)。村木がジャズ喫茶の支配人小泉(片山明彦)に新曲を求められ、苦しまぎれに拾った楽譜を演奏したところ観客に大変うけ、これがもとでプロへの道を歩みはじめることになった。しかしこの曲は玲子のかつての恋人戸田周一郎(新田昌玄)が作曲したものだった。【福】

映画「ごろつき」

1968
ごろつき

キックボクシングジムの場所を教えもらって以来交流をしていた新聞配達の少年弘(吉井永二)に大場勇(高倉健)は試合のチケットを渡す。しかしその直後、弘は浅川正義(石山健二郎)と敵対する唐沢重吉(渡辺文雄)の乗る車にはねられてしまう。背景に「渋谷区役所」、右に「渋谷公会堂」(現「LINE CUBE SHIBUYA」)が見える。

作品データ

映画「ごろつき」
監督:マキノ雅弘
1968(昭和43)年/東映
出演:高倉健、吉村実子、菅原文太

炭鉱町で苦労しながら家族を養っていた大場勇(高倉健)。後輩の山川一郎(菅原文太)は喧嘩が強い彼にキックボクシングの道を勧め、二人は東京に出る。道場が見つからず、金もなく道で寝ていた二人に、屋台にいた老紳士がおでんをふるまい、名も告げず去っていく。翌日二人は沢村忠(本人)が所属するキックボクシングジムを訪れ、大場は家事手伝いをしながらの入門を認められ、山川は近所の裕福な家の犬の世話の仕事につく。大場のトレーニングが順調に進む中、ある日盛り場でやくざに乱暴されていた流しを助ける。流しの元締は以前おでんをおごってくれたあの老紳士浅川正義(石山健二郎)だった。【福】


東京福袋の吉野 忍が 2002年に渋谷で撮影した写真とその20年後の2022年に同じ場所で撮影した写真をまとめた「東京些末観光:渋谷定点観測02-22」も併せてどうぞ。

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