古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
渋谷センター街
東京都渋谷区宇田川町
渋谷駅前交差点付近から、井の頭通りと文化村通りの間を西に進み、スペイン坂付近に通じる道。
映画「悪魔と天使の季節」(1958)
黒木(小林旭)の一派は高校の高価な顕微鏡を盗んで金にしようと企む。宮原(葉山良二)のもとにこの件を密告する匿名の手紙が寄せられ企みは失敗するが、黒木達はこれを千恵子(中原早苗)の仕業と考え千恵子を追う。千恵子は行方をくらまし渋谷のバーに潜伏する。
千恵子のいるバーにシーンが切り替わる際、渋谷のネオンが次々に映る。「花蝶鮨」「トリスバー」「マウンテン」「ニュートーキョー」「純喫茶たんぽぽ」「渋谷会館」等実在の店のネオンから現在の「渋谷センター街」(宇田川町24あたり)と特定。
1958(昭和33)年/日活
出演:葉山良二、中原早苗、小林旭
映画「どうせ拾った恋だもの」(1958)
渋谷の街を歩く秋山医師(安井昌二)。中央「マウンテン」「バー ブリック」「好の鮨」があるのは宇田川町24の一画、正面は宇田川町24の一画。渋谷センター街を駅に向かっている状況。「火災特殊保険地図」(1957)より特定。
渋谷の街を歩く秋山医師(安井昌二)が、伸次の子分(高品格)と佐藤婦長(新井麗子)が喫茶店で取引しているところを偶然目撃する。「渋谷会館」「喫茶たんぽぽ」は現「VIVEL SHIBUYA」(宇田川町23-10)。奥の「白馬車」は現「白馬ビル」(宇田川町26-11)。
伸次の子分と佐藤婦長が取引しているのは、位置関係から見て喫茶「マウンテン」(現「センター244ビル」宇田川町24-4)。
1958(昭和33)年/日活
出演:安井昌二、香月美奈子、コロムビア・ローズ、高品格
初代コロンビア・ローズの同名の曲をベースにした歌謡映画で彼女自身も看護師を演じ、歌う(意外と演技も巧い)。非常にシンプルなメロドラマ。婦長役新井麗子がわかりやすい悪役を好演。【福】
映画「太陽をぶち落せ」(1958)
タイトルバック。センター街から「渋谷ロフト」方面へ抜ける道。中央の「キャバレー渋谷メトロ」「どん底」は林ビル(現「プリンスビル」宇田川町25-3)に入っていた店舗。「1、2階純喫茶」とあるのは1〜4階の「喫茶でんえん」のうち1、2階は通常の喫茶店、3、4階は音楽喫茶という表示だろう。「防災上の問題をなげかけた渋谷駅前混在ビル火災」(東京連合防火協会「防災」1969.4)に同ビルの詳しいフロア構成が記してあった。
1958(昭和33)年/日活
出演:川地民夫、菅井一郎、南田洋子、宍戸錠、水島道太郎
映画「浮気の季節」(1959)
桐野桃子(沢村みつ子)は父省三(益田喜頓)の誕生日を祝うためバースデイケーキを買うが、印堂良平(赤木圭一郎)とぶつかってケーキを落としてしまう。
桃子がケーキを買う店は「ヒサモト」。ヒサモトは「栄通り店」(宇田川町26-6)、「道玄坂店」(円山町5-18)および三軒茶屋店があったが、ロケ地の傾向から渋谷のいずれかの店で撮影したものと推測した。
1959(昭和34)年/日活
出演:益田喜頓、岡田真澄、赤木圭一郎
映画「ニッポン無責任野郎」(1962)
「大松鮨」およびゲーリィが演奏している「グランドキャバレー・メトロ」は現「プリンスビル」(宇田川町25-3)。
1962(昭和37)年/東宝
出演:植木等、団令子、ハナ肇、草笛光子、谷啓、浦辺粂子、藤山陽子、由利徹、犬塚弘、中島そのみ、安田伸、桜井センリ、石橋エータロー、ジェリー伊藤
映画「抜き射ち風来坊」(1962)
日本へ梨花(松原智恵子)を連れ帰国した神原(宍戸錠)。二人は日本の休日を楽しむ。
二人が屋上にいるのは「東急百貨店東横店」の屋上にあった時計台の下。シーンの冒頭、井の頭線・銀座線車庫方面から渋谷駅前交差点までの眺望がパンで映される。
宇田川町一帯の俯瞰。左端茶色の建物のあたりがが現「SHIBUYA109」あたり、そこから奥へ延びているのが東急本店通り。奥に「東急本店」建設前の「大向小学校」が見える。その右側は「渋谷センター街」で、中央の白いビルは現在の「BODY SHOP」がある「宇田川町サンクスビル」(宇田川町25-8)一帯。右端ナショナルのネオンが「峯岸ビル」(現「QFRONT」、宇田川町21-6)。1963年の航空写真および平凡社「社会科見学パノラマ図鑑 5 (大都会のいとなみ)」(1958)の「東急百貨店」の図から特定。
1962(昭和37)年/日活
出演:宍戸錠、松原智恵子、金子信雄
映画「若いふたり」(1962)
行方がわからなくなった庄司俊吉(小高雄二)を探し、佐倉次郎(山内賢)はジャズ喫茶を探し回る。
「喫茶マリンバ」「CLUBコンテッサ」という看板がある「マリンバ会館」は現在「ABC-MART」がある「渋谷Tビル」(宇田川町27-6)。喫茶マリンバは「1階ステレオ音楽喫茶」「2・3・4階バンド演奏喫茶」とある。
「喫茶プリンス」「キャバレーメトロ」「喫茶渋谷でんえん」があるのはセンター街からスペイン坂方面へ出る通り(宇田川町29)。喫茶プリンスは「1・2階純喫茶」「3・4階音楽喫茶」とある。
1962(昭和37)年/日活
出演:山内賢、松尾嘉代、小高雄二
映画「愛しながらの別れ」(1964)
新生会に呼び出され光枝(和泉雅子)と兄の件を組に任せろと迫られた勝太(浜田光夫)は事務所を飛び出し、新生会のやくざと追跡劇をくりひろげる。
右に見える「スカラ館」「白馬車」はかつて「ウェンディーズ」があった現「白馬ビル」(宇田川町26-11)。
右側の「白鳥」は現在「カラオケ館」がある「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)、「マリンバ」は現在「ABCマート」がある「渋谷Tビル」(宇田川町27-4)。
1964(昭和39)年/日活
出演:浜田光夫、和泉雅子、山内賢
映画「青春前期 青い果実」(1965)
暴行されたことを責める母親に反発し家を出た河合奈津子(太田雅子 / 現・梶芽衣子)を探す教師の青戸閨子(吉村実子)。青戸が歩いているのは渋谷センター街。「美容室ラッキー」「らんぷ亭」「南苑」の看板は「ドトールコーヒーショップ 渋谷センター街店」がある現「ニュー渋谷ビル」(宇田川町28-2)。奥の照明が横に並ぶビルは「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)。
河合奈津子(太田雅子 / 現・梶芽衣子)が自殺を図ったことを知った椎ノ木武志(太田博之)は渋谷の街を歩き回り奈津子を襲った大学生3人組を探す。
武志が立っているのは渋谷センター街。「モンブラン」「マリンバ」があったのは「ABC-MART渋谷店」や「カラオケルーム歌広場渋谷センター街本館渋谷」がある現「渋谷Tビル」(宇田川町27-4)。
1965(昭和40)年/日活
出演:太田博之、太田雅子(現梶芽衣子)、吉村実子、山岡久乃、初井言榮、高橋とよ、佐野浅夫、内藤武敏
映画「縄張はもらった」(1968)
狭間組に反旗を翻した寒河江(小林旭)は東京に戻る。渋谷の地下道出口から出た寒河江は道玄坂下、文化村通りを通り途中刺客に襲われながら「長谷川スカイラインビル」に入る(三井生命渋谷支店・東洋火災海上の看板から特定)。
カメラは「長谷川スカイラインビル」(現「ヤマダデンキ LABI 渋谷店」道玄坂2-29-20)内から文化村通り・センター街越しにスペイン坂入口方面を望遠で狙う。画面右の紫の看板「白鳥」は現「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)、左側「焼肉南苑」は「ドトールコーヒーショップ 渋谷センター街店」がある現「ニュー渋谷ビル」(宇田川町28-2)、正面の「レストランせんとるいす」はスペイン坂入口横、現「渋谷ZERO GATE」(宇田川町16-9)、左側の喫茶店(このあとのショットで「純喫茶絵夢」と判明)は現「いちご渋谷文化村通りビル」(宇田川町28-2)。
1968(昭和43)年/日活
出演:小林旭、宍戸錠、二谷英明
映画「恋のつむじ風」(1969)
羽田に着いたアカネ(松原智恵子)とアオイ(太田雅子)はミドリ(長谷川照子)の車でゴーゴー喫茶へ向かう。東京の様々な風景が映る中揺れるカメラで渋谷の夜景も映る。
1969(昭和44)年/日活
出演:松原智恵子、長谷川照子、山本陽子、杉良太郎、川口恒、和田浩治、太田雅子、沖雅也
映画「君が若者なら」(1970)
トラックで事故を起こして以来鈴木麻男(前田吟)は様子がおかしくなる。樋口喜久男(石立鉄男)と清の妹(寺田路恵)が夕食を待つ中飲んだくれて喧嘩する麻男。
麻男が飲み歩いているのは渋谷センター街。右端「さんかぶ」は現「そば処 渋谷更科」(宇田川町22-4)、「クラブ不二」は現「山下本気うどん 渋谷センター街」(宇田川町21-7)、「ニュー・トーキョー」「路地」の一帯は現「ビッグエコー渋谷センター」(宇田川町23-3)、「ブリック」は現「センター244ビル」(宇田川町24-4)。この後麻男は「万葉会館」(IKEAが入る現「高木ビルディング」宇田川町24-1)の看板に倒れかかる。
1970(昭和45)年/松竹
出演:石立鉄男、前田吟、河原崎長一郎、林秀樹、峰岸隆之介、寺田路恵、大地喜和子、藤田弓子、荒木道子、小川真由美
映画「俺ら東京さ行ぐだ」(1985)
ラスト、無事両親(植木等、林美智子)が田舎に帰ったあと、元(新藤栄作)と伸子(柏原芳恵)のデートシーンが映る。
場所は渋谷センター街。渋谷駅方向を見るショット。
画面左「パチンコ 白鳥」は現在「カラオケ館」がある「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)。
その背後、黄色と青の看板は「ゲームファンタジア」(宇田川町25-6)、赤い看板は「森永LOVE」(現在「バーガーキング」がある「センタービル」宇田川町25-5)、白地に紫の看板は「ぱすたかん」(現在「ファミリーマート」がある「ダッキープラザ」宇田川町25-4)。
中央の「Technics」のネオンは「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)。
右側の赤い看板は「アートコーヒー」、一番右の星のマークは「マリンバ会館」(現在「ABCマート」がある「渋谷Tビル」宇田川町27-4)にあった「パチンコスター」。
1985(昭和60)年/松竹
出演:新藤栄作、柏原芳恵、植木等、林美智子
映画「アイドルを探せ」(1987)
岩田晃佑(竹本孝之)が渋谷で友人と遊んでいると、藤谷知香子(菊池桃子)と谷沢等(米山善吉)がデートをしているところを見かける。
岩田たちがいるのは渋谷センター街のスペイン坂方面へのびる道。
右の「パチンコ白鳥」は現在「カラオケ館」がある「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)。
緑・黄色・赤の看板「The Barn」「小学館」「場論」は「野ばらビル」(現在「skechers」がある「シュウ渋谷」宇田川町25-9)。
アーチ状のネオンの入口と左側の赤いネオン「King’s Bench」は スペイン坂下の「パブパルコ」。現「渋谷ZERO GATE」(宇田川町16-9)。
緑・黄色・赤の看板「The Barn」「小学館」「場論」は「野ばらビル」(現在「skechers」がある「シュウ渋谷」宇田川町25-9)。
「4 木乃花」「5 DAVAO」などの看板は スペイン坂下の「パブパルコ」。現「渋谷ZERO GATE」(宇田川町16-9)
珈琲専門店「マイアミ」は「渋谷センター街マイアミビル」(「マイアミ」はないがビルは現存 / 宇田川町29-1)。
角の「LUNCH BOX」は現「マモケバブ」(宇田川町29-3)。
岩田晃佑(竹本孝之)が渋谷センター街から駅方面を見ている。
「ぱすたかん」の看板は現在「ファミリーマート」がある「ダッキープラザ」(宇田川町25-4)。
「森永LOVE」は現在「バーガーキング」がある「センタービル」(宇田川町25-5)。
「酔い処」は現在「atmos」がある「三愛ビル」(宇田川町25-6)。
赤いネオン「パチンコ白鳥」は現在「カラオケ館」がある「渋谷B&Vビル」(宇田川町25-6)。
1987(昭和62)年/松竹
出演:菊池桃子、伊藤かずえ、武田久美子
映画「極道渡世の素敵な面々」(1988)
梶山組と神埼(室田日出男)のグループの抗争。
乱闘が行われている右上にみえる「しずおか園」の看板は現「渋谷Tビル」(宇田川町27-6)前。センター街から東急本店通りに出るあたり。
1988(昭和63)年/東映
出演:陣内孝則、麻生祐未、室田日出男
元暴力団員で後に作家となった安部譲二原作の同名小説の映画化。原作者の安部譲二とかつてこの作品に登場する渋谷界隈で「安藤組」の組長だった安藤昇も出演している。【福】
RELATED LINKS
東京福袋が作成している渋谷と日本映画に関するコンテンツです。こちらもぜひご覧ください。