古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
映画「恋文」(1953)

真弓礼吉(森雅之)の弟の洋(道三重三)はとんかつ屋の軒下で古本を売ることを思いつく。派出所に出店の許可を得にいく洋。
場所は「道玄坂上巡査派出所」(円山町3-6 / 現存)。ただし当時の住宅地図と周辺の店舗の名称が違うので、本当の道玄坂上交番での撮影ではないかもしれない。
1953(昭和28)年/新東宝
出演:森雅之、久我美子、宇野重吉、香川京子
映画「銀座二十四帖」(1955)

若い頃は不良だったが今は銀座で花屋を営んでいる“花売コニイ”こと三室戸完(三橋達也)。ハンチングをかぶったしゃれたヤツ。朝になると彼は花を運んでくるオート三輪に同乗して生花市場に向かう。三室戸がオート三輪を拾うのは道玄坂、道玄坂小路出口(渋谷区道玄坂2-28-2)あたり。背景の「三井信託銀行」、このショットの後に映る「帽子 カワシマ」の位置から場所を特定。

右に見えるのは「渋谷東宝劇場」「渋谷スカラ座」「渋谷文化劇場」が入っていたビル(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。遠方に宮益坂下の「渋谷東映劇場」(現「渋谷Toeiプラザ」)が見える。前のシーンから撮影場所を道玄坂小路出口(道玄坂2-28-2)あたりと特定し外観から建物を特定。
1955(昭和30)年/日活
出演:三橋達也、河津清三郎、月丘夢路、北原三枝、浅丘ルリ子、大坂志郎
映画「踏みはずした春」(1958)

笠原(小林旭)の子分トンガリ(野呂圭介)達がバイクで道玄坂を蛇行運転するシーン。左に「道玄坂百貨街」(道玄坂2-29/現渋谷109、渋谷プライム一帯)、右に住友銀行(道玄坂2-6-16/現井門道玄坂ビル)の看板が見える。

少年院帰りの笠原(小林旭)が子分トンガリ(野呂圭介)達と再会するシーンは現在のSHIBUYA109前の道玄坂下交差点(道玄坂2-29-1)。向かって左が渋谷駅方面。中央の笑顔の男性が野呂圭介。
1958(昭和33)年/日活
出演:左幸子、小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、殿山泰司
映画「浮気の季節」(1959)

オープニングで、テレビ局に勤める桐野マキ(中原早苗)とカメラマン(近江大介)が殺人容疑者を8ミリカメラで盗撮する。
殺人容疑者(弘松三郎)が歩いているのは道玄坂、道玄坂小路入口付近。「三和テーラー」「ワキタ鞄店」は現「道玄坂センタービル」(道玄坂2-29-7)、道玄坂小路入口をはさんで「銀座屋洋装店」は現「Mmビル」(道玄坂2-28-2)。当時の住宅地図から特定。
1959(昭和34)年/日活
出演:益田喜頓、岡田真澄、赤木圭一郎
映画「俺は挑戦する」(1959)

ライト級タイトルマッチで勝利をおさめた直後、須貝慎一(小林旭)は宮脇(二本柳寛)の一味にとらわれている織井哲也(小高雄二)を救いにバイクを走らせる。
須貝がバイクを走らせるのは道玄坂。奥に小さく渋谷駅前付近の七店街ビル(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22−1)の「宮田の家具」のネオンが、中央上方に栄蘭ビル(現「マツモトキヨシ 渋谷Part2店」宇田川町23-4)の明治チョコレートのネオンが見える。左側にかすかに、「踏みはずした春」(1958)に映っていた「道玄坂百貨街」(現「SHIBUYA109」「渋谷プライム」一帯 / 道玄坂2-29)の看板が映っていることから道玄坂と特定。
1959(昭和34)年/日活
出演:小林旭、浅丘ルリ子、小高雄二
映画「狂熱の季節」(1960)

道玄坂にある洋服店の店員をショーウィンドウ越しにからかう明(川地民夫)。

文子(松本典子)に責められた明(川地民夫)は文子を刺そうとするがギル(チコ・ローランド)に止められる。ギルは店を飛び出した明を捕まえ、車で海へ連れていく。この場所は道玄坂小路を文化村通り側へ出た道玄坂2-29-17あたり。
1960(昭和35)年/日活
出演:川地民夫、郷鍈治、松本典子、千代侑子、長門裕之
富裕層の描き方がカリカチュアライズされすぎで、明の過剰に奔放な演技と併せて滑稽に見えてしまう点はあるが勢いのある映画だ。戦災復興とオリンピックで建設まっさかりの渋谷、いたるところが工事中だ。【福】
ドラマ「特別機動捜査隊 第001話『最後の犯人を追え』」(1961)

強盗傷害事件発生の通報を受け、パトカーが現場へ向かう。
パトカーは道玄坂を駅から道玄坂上方向に向かう。中央の丸が3つ光っている広告は道玄坂下にあった洋品店「ミツマル」(現「渋谷109」道玄坂2-29-1)。


逃走する犯人の山口(日尾孝司)を追う刑事達。「スカラ座」(現「TOHOシネマズ 渋谷」道玄坂2-6-17)前。
この後のシーンは五反田駅前の撮影となる。
1961(昭和36)年/NET
出演:波島進、佐原広二、南川直、轟謙二、巽秀太郎、神田隆、室田日出男、柳生博、志村妙子(後の太地喜和子)
第001話「最後の犯人(ホシ)を追え」
3人組の男が盗難車を使い民家に押し入り夫を銃で撃つという事件が発生した。警視庁の立石主任(波島進)率いる立石班が捜査を進めるうち第二の事件が発生、犯人は不動産屋に強盗に入り社員を射殺した。犯行の手口から山口(日尾孝司)が容疑者としてあがり、続いて不動産屋への聞き込みから以前同店で働いていた関口(室田日出男)が関与していることがわかった。【福】
映画「闘いつづける男」(1961)

オープニング、由良二郎(和田浩治)が自転車で道玄坂を下るシーケンスが続く。
右側の曲がり角は道玄坂から百軒店に上る道。音楽喫茶「ライオン」の看板なども見える。茶色い看板は「高葉屋呉服店」(現「高葉屋ビル」道玄坂2-16-3)。左側の茶色の建物は昭和初期建てられた看板建築で2015年頃まで残っていた。2025年2月現在この一帯は道玄坂二丁目南地区第一種再開発事業で工事中。

右側の「三井信託銀行」は現在「焼鳥屋すみれ」がある「井門ビル」(道玄坂2-28)付近。右側の曲がり角は道玄坂小路の入口。道玄坂小路に現存するそば屋「福田屋」の看板がある。

左側の「アカシア洋装店」はその後「新大宗ビル」が立ち並ぶ一帯となり、2025年2月現在は道玄坂二丁目南地区第一種再開発事業で工事中。

右側に見える赤い看板の「エース靴店」一帯は現「道玄坂センタービル」(道玄坂2-29-8)。

右端の店「うなぎ東家」よりうしろはその後「緑屋」を経て現「渋谷プライム」(道玄坂2-29-5)、「うなぎ東家」より手前は「SHIBUYA109」(道玄坂2-29-1)になった。

右側一帯は現「SHIBUYA109」(道玄坂2-29-1)。左側奥から「千野時計店」の看板は現在「ファミリーマート」がある「ユニ道玄坂ビル」(道玄坂2-6-15)付近。「スズイ薬局」の看板は現在「ファミリーマート」の隣にある「鈴井ビル」(道玄坂2-6-15)。「住友銀行」は現在パチンコ屋「楽園」がある「井門道玄坂ビル」(道玄坂2-6-16)。赤と青の看板は「渋谷東宝劇場・渋谷スカラ座」(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。
1961(昭和36)年/日活
出演:和田浩治、吉永小百合、葉山良二、白木マリ、郷鍈治、殿山泰司、神山繁、金子信雄、佐野浅夫、高品格、井上昭文、千代侑子、三崎千恵子、大森義夫、紀原土耕、青木富夫、木島一郎、黒田剛、水木京二、二木草之助
映画「銀座の若大将」(1962)

マネージャー江口敏(江原達怡)の伴走で田沼雄一(加山雄三)がロードワークをするシーン。奥に現「SHIBUYA109」の先端の土地にあった洋装店「三丸」が見えることから、道玄坂下交差点と特定。奥に伸びる道が道玄坂。
1962(昭和37)年/東宝
出演:加山雄三、有島一郎、中真千子、飯田蝶子、星由里子、団令子、田中邦衛
映画「泥だらけの純情」(1963)

次郎(浜田光夫)が真美(吉永小百合)とボクシング観戦後に夜の街を歩いているシーンは道玄坂。

百軒店入口付近にあった「中野」という果物屋でみかんを買い、三井信託銀行(現「井門ビル」道玄坂2-28付近)の前を通り道玄坂小路の入口あたりまでを歩く。
1963(昭和38)年/日活
出演:浜田光夫、吉永小百合、小池朝雄、和泉雅子、滝沢修、細川ちか子

映画「黒い太陽」(1964)

ギル(チコ・ローランド)から機関銃を奪い優勢になった明(川地民夫)は、ギルの顔をピエロのように白く塗りトランペットを吹かせながら車で渋谷を巡る。
左の道が道玄坂、右は「東急本店通り」。「三丸」と看板にあるのが現「SHIBUYA109」の先端の土地にあった洋装店「三丸」。
1964(昭和39)年/日活
出演:川地民夫、チコ・ローラント、藤竜也
登場人物の名前とキャスト、ジャズをベースにした点など「狂熱の季節」の兄弟的な位置づけの作品だが、前作に比べ暴力的な要素は少ない。【福】
映画「愛しながらの別れ」(1964)

強盗と間違えられた勝太(浜田光夫)は人々から追われる。逃げる勝太は道玄坂に出る。
背後に「なみき」「みはと屋」の看板。「なみき」「みはと屋」は現「渋谷プライム」(道玄坂2-29-5)。当時の住宅地図により特定。

逃げる勝太(浜田光夫)は道玄坂を上る。背後に「東亜」「道玄坂百貨街」の看板。
「東亜」は東急本店通り沿いの現在「アディダス ブランドコアストア渋谷」がある「FPGリンクス渋谷道玄坂」(宇田川町23-5)。「道玄坂百貨街」の看板は現「渋谷プライム」(道玄坂2-29-5のあたり)。当時の住宅地図により特定。

強盗と間違えられた勝太(浜田光夫)は人々から追われるが最後には警官に確保される。
場所は現「SHIBUYA109」前の道玄坂下交差点。109前から渋谷駅方面を見ている角度。左側「第一銀行」の看板は現在の「みずほ銀行渋谷中央支店」(宇田川町23-3)、「家具の宮田」は「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-2)。右手に「東急百貨店東横店」。
1964(昭和39)年/日活
出演:浜田光夫、和泉雅子、山内賢

ドラマ「ウルトラマンA 第5話『大蟻超獣対ウルトラ兄弟』」(1972)

冒頭、超獣アリブンタが獲物となる女性を探すシーン。現在の道玄坂方面から駅前交差点までが映し出される。
丸に大の字の赤い看板は「井門」の前身の「大丸百貨店」(現「井門道玄坂ビル」道玄坂2-6-16)。その手前の赤いビルは「渋谷東宝劇場・渋谷スカラ座」(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。

「マルナン」の看板は洋裁生地店「マルナン」(現「サンドラッグ 渋谷道玄坂下店」道玄坂2-5-1)。真正面のビルは「渋谷駅前ビル」(現存 / 道玄坂2-3-1)。「ロシア料理モスクワ」「中野タイピスト学院」「バロン」「ファミリア」「大井」などの看板が見える。

「渋谷駅前ビル」の左が渋谷駅前交差点。その背後に京王井の頭線とJRの連絡路、営団地下鉄銀座線が見える。
位置関係から「峯岸ビル」(現「QFRONT」宇田川町21-6)屋上からの撮影で、隣の屋上に緑の看板があるビルは「七店街ビル」(現「渋谷西村總本店ビル」宇田川町22-1)と思われる。
1972(昭和47)年/TBS
出演:高峰圭二、星光子、瑳川哲朗、沖田駿一、山本正明、西恵子、佐野光洋、中山克己、梅津昭典、宮野リエ
ドラマ「ウルトラマンA 第33話『復活!ウルトラの父』」(1972)

冒頭で北斗(高峰圭二)が梅津香代子(宮野リエ)とダン(梅津昭典)の姉弟とプレゼントを買う建物は「道玄坂センタービル」(現存 / 道玄坂2-29-8)。
1972(昭和47)年/TBS
出演:高峰圭二、星光子、瑳川哲朗、沖田駿一、山本正明、西恵子、佐野光洋、中山克己、梅津昭典、宮野リエ
映画「太陽を盗んだ男」(1979)

警察に5億円を要求した城戸誠(沢田研二)はメーデーに湧く街をカバンに原爆を入れて持ち歩く。
沢田研二が歩いているのは道玄坂。
右側「林檎の樹」の看板は「ファッションコミュニティー109」(現・SHIBUYA109)。その右側に大きく109の表示がある。
奥の「ヌード寄席 道頓堀劇場」は現存する「道頓堀劇場」(道玄坂2-28-7)への看板、その上「パルゴ」は現「JMFビル渋谷03」(道玄坂2-11)の場所にあった「ホテルパルゴ」への看板。
左端は「渋谷東宝劇場」(現「渋東シネタワー」道玄坂2-6-17)。その右「インテリア井門」は現在パチンコ店「楽園」がある「井門道玄坂ビル」(道玄坂2-6-16)。
1979(昭和54)年/キティ・フィルム
出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子、風間杜夫、伊藤雄之助
映画「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」(1980)

最後に複数の事件を一気に解決した斑島祥介(中村雅俊)と樺屋隆治(勝野洋)は警視総監の表彰を受けた後渋谷へ出る。
場所は歩行者天国実施中の道玄坂。背後に「三千里薬品」の看板が見える。

歩行者天国実施中の道玄坂。背後に「緑屋」(現「渋谷プライム」道玄坂2-29-5)。

左に看板が見える「山崎靴店」は現「HYビル」(道玄坂6-14)。

樺屋隆治(勝野洋)と同じアパートの知人健坊(森川正太)と出会う。健坊が立っているのは歩行者天国実施中の道玄坂、現在「ロッテリア」がある「ホマレヤビル」(道玄坂2-6-14)前。

ラスト、斑島祥介(中村雅俊)と樺屋隆治(勝野洋)、健坊(森川正太)を中心にズームアウトし道玄坂の風景になる。「八千代信用金庫」は百軒店入り口に近い現「野村不動産渋谷道玄坂ビル」(道玄坂2-16-4)。右は「世界堂ビル」(2024年1月現在「道玄坂二丁目南地区市街地再開発事業」で工事中 / 道玄坂2-10-10)。
1980(昭和55)年/角川春樹事務所=東映
出演:中村雅俊、勝野洋、大楠道代
映画「BU・SU」(1987)

ある日麦子(富田靖子)は一人で電車に乗りあてどなく渋谷をさまよう。
麦子が立っているのは「ファッションコミュニティ109(現・SHIBUYA109)」前。「109」前から渋谷駅方面を見ている。山手線越しに見える正面の茶色の建物は宮益坂下の「りそな銀行」がある「渋谷協和ビル」(現存、渋谷2-20-11)、その右は「東急百貨店東横店」。右側「マルナン」の看板は2013年閉店した「洋裁生地店マルナン」(現「スギ薬局」道玄坂2-5-1)。

渋谷をさまよう麦子(富田靖子)はサラリーマン(峯のぼる)に声をかけられ喫茶店に入った後、街を歩く。2人が歩いているのは道玄坂上近く。後に見える「成霞堂書店」は現「JMFビル渋谷03」(道玄坂2-11)。
1987(昭和62)年/東宝映画=日本テレビ放送網
出演:富田靖子、大楠道代、伊藤かずえ、高嶋政宏
映画「極道渡世の素敵な面々」(1988)

事務所開きの日、ブティックで見かけた服を買うために保(長倉大介)は一人店に寄る。
右側ビルはブティックの貼り紙にある「Paris」という店名、階段背後の「ワキタ」という店名から当時の住宅地図で「道玄坂センタービル」(現存 / 道玄坂2-29-8)と特定。道玄坂の道玄坂小路入口のあたり。
1988(昭和63)年/東映
出演:陣内孝則、麻生祐未、室田日出男
元暴力団員で後に作家となった安部譲二原作の同名小説の映画化。原作者の安部譲二とかつてこの作品に登場する渋谷界隈で「安藤組」の組長だった安藤昇も出演している。【福】
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