古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。
百軒店
東京都渋谷区道玄坂2
関東大震災後、道玄坂の中川伯爵邸跡地を箱根土地開発株式会社が購入し開発した歓楽街。
映画「満員電車」(1957)


茂呂井民雄(川口浩)は映画館に勤める元彼女(久保田紀子)に手紙を書くが、彼女はそれ一読すると噛んでいたガムを包んで捨ててしまう。彼女が勤めている映画館は百軒店にあった「テアトルハイツ」。現「サンモール道玄坂」(道玄坂2-18-11)。
1957(昭和32)年/大映東京
出演:川口浩、笠智衆、杉村春子
映画「太陽をぶち落せ」(1958)

大須賀吾郎(川地民夫)の仲間小島三郎(杉幸彦)と斎藤美恵子(稲垣美穂子)がデートしているところを吾郎らと敵対する健(高品格)の一派に見つかる。健たちがいるのは映画館「テアトル渋谷」(現「ライオンズマンション道玄坂」道玄坂2-19-3)横、「名曲喫茶ライオン」(現存、道玄坂2-19-13)の裏口に通じる通路。左に見える「ノラ公」から位置を特定。ライオンの看板に創業32年とあるが、2023年現在創業97年を迎えている。

右の映画館は「テアトルハイツ」。奥の「ニッカバー ユニオン」、喫茶「門」も含め、現「サンモール道玄坂」(道玄坂2-18-11)。

大須賀吾郎(川地民夫)の仲間小島三郎(杉幸彦)と斎藤美恵子(稲垣美穂子)がデートしているところを吾郎らと敵対する健(高品格)の一派に見つかる。二人に声をかけるテツ(柳瀬志郎)。右端の建物が映画館「テアトル渋谷」。隣の「クラブハイツ」と合わせて現「ライオンズマンション道玄坂」(道玄坂2-19-3)。その奥の店舗群は現「スクエア渋谷」(道玄坂2-19-6)。
1958(昭和33)年/日活
出演:川地民夫、菅井一郎、南田洋子、宍戸錠、水島道太郎
映画「その女を逃がすな」(1958)


刑務所から出所したばかりの五本松の虎吉(垂水悟郎)がなじみの女の家を出て浜野みどり(木城ゆかり)の行方を探す。
垂水悟郎が歩いているのはおそらく百軒店の裏、道玄坂2-17と2-19の間の、現在「とりかつチキン」がある細道。
2枚目の旅館「ほてい荘」の看板や道幅、そして少し広くて人通りのある道と交差してその先が広いまっすぐな道(道玄坂に下る道、右方向が道玄坂)に繋がっていることから推定。
1枚目はその直前のショット。手前側が開け崖沿いの道に見えることもこの細道の特徴によく符合している。垂水悟郎の後ろ、地面においてある看板の字もこの細道沿いにあった店「コンドル」の店名に読めなくもない。
1958(昭和33)年/日活
出演:安井昌二、木城ゆかり、垂水悟郎、松下達夫、下條正巳、大町文夫、日野道夫、草薙幸二郎、中野孝治、佐野浅夫
映画「乾いた湖」(1960)

道玄坂から百軒店に上る坂の途中の横道。右側「餃子大芽園」は現「喜楽」隣の「LOOP the LOOP」(道玄坂2-17-6)、奥の「ほてい荘」は現「とりかつチキン」がある「都路ビル」(道玄坂2-16-19)。「夕霧荘」は住宅地図では確認できなかった。
1960(昭和35)年/松竹
出演:三上真一郎、岩下志麻、高千穂ひづる
映画「女の座」(1962)

三女路子(淡路恵子)が五女雪子(星由里子)がチケット売場で働いている映画館にやってくる。
映画館は百軒店にあったテアトル渋谷(現「ライオンズマンション道玄坂」道玄坂2-19-3)。左に見える同建物内にあったグランドキャバレー「渋谷クラブハイツ」の看板、奥に見える「千代田」の看板、窓の形から特定した。
1962(昭和37)年/東宝
出演:高峰秀子、杉村春子、笠智衆、草笛光子、司葉子、小林桂樹
ある日松代夫婦が経営する下宿に入った六角谷(宝田明)という青年があきの生き別れの息子ということが判明する。長らく独身だった梅子は六角谷に好意を抱くが、一方六角谷は芳子に言い寄っていた。なかなか九州の自宅に帰らず疎まれる路子夫婦、勉学に悩む健、気象庁に勤める青年青山(夏木陽介)に思いを寄せる夏子と雪子、オリンピック道路の開通に伴う立ち退き問題など様々な問題が石川家に起き始める。
いつになく穏やかな杉村春子、一見好男子だが信用がおけない宝田明、悪い人ではないが女性皆に疎まれる三橋達也の演技が冴える。【福】
映画「狼と豚と人間」(1964)

強奪した現金と麻薬を三郎(北大路欣也)が隠す。岩崎組と次郎(高倉健)は三郎がいきつけのジャズ喫茶に預けたとの情報を得て渋谷に向かう。
岩崎組の車が停まる「丸八食堂」、右手の「喫茶ノーブル」はそれぞれ現「丸八ビル」(道玄坂2-19-1)、「モンテ道玄坂」(道玄坂2-20-3)。当時の住宅地図より特定。

中央の映画館「テアトル渋谷」の裏に抜ける道は左のバー「道草」とともに現「小島ビル」(道玄坂2-19-1)あたり。右側の店舗は現「丸八ビル」(道玄坂2-19-1)。当時の住宅地図より特定。舞台となる中央の道沿いのジャズ喫茶「ORNETTE」は住宅地図上では確認できなかった。

岩崎組の木村(室田日出男)らを殴り倒し逃げる次郎。
正面左の「喫茶ノーブル」、その右の「お好み焼き 釜めし 八潮」は現「モンテ道玄坂」(道玄坂2-20-3)。当時の住宅地図より特定。

1964(昭和39)年/東映
出演:高倉健、北大路欣也、江原真二郎、中原早苗、志麻ひろ子、岡崎二朗、沢彰謙、石橋蓮司、越前谷政二、泗水誠一、春日俊二、三国連太郎
ドラマ「特別機動捜査隊 第129話『非行少年』」(1964)


参考人の高校生、成瀬隆志のグループが学校をさぼり、ストリップ劇場から出てきたところを補導される。
ストリップ劇場は百軒店にあった「テアトルSS」(現「ビットデザイン道玄坂第3駐車場」道玄坂2-21-10)。「テアトルSS」は1951年に洋画専門館として開業したが、1962年の雑誌にはすでに「ヌード劇場テアトルSS」という記述がある。看板に「テアトルSS五周年記念ショウ」とあるので、1959年頃業態を変えたのかもしれない。(参考資料:現代評論社「現代の眼」1962.11)

物陰から成瀬隆志のグループの様子を伺う補導員。
奥に伸びる通りは百軒店の中央の通り、右側の建物は映画館「テアトルハイツ」(現在はマンション「サンモール道玄坂」道玄坂2-18-11)。奥に現存する名曲喫茶「ライオン」の看板が見える。
1964(昭和39)年/NET
出演:波島進、南川直、岩上瑛、轟謙二、滝川潤、鈴木志郎
洋画「ザ・ヤクザ」(1974)

田中健(高倉健)がハリー・キルマー(ロバート・ミッチャム)を連れ出し、神社で田中英子(岸恵子)と安全な場所に身を隠せと忠告するシーン。神社は百軒店にある「千代田稲荷神社」。「赤帽子」「太平壺」など当時の店があることから特定。右側緑色の看板は「名曲喫茶ライオン」(現存 / 道玄坂2-19-13)。

田中健(高倉健)がハリー・キルマー(ロバート・ミッチャム)を連れ出し、神社で田中英子(岸恵子)と安全な場所に身を隠せと忠告するシーン。神社は百軒店にある「千代田稲荷神社」(現存 / 道玄坂2-20)。拝殿の正面に少々手を加えてあるようだ。
1974(昭和49)年/ワーナー・ブラザース
出演:ロバート・ミッチャム、高倉健、ブライアン・キース
映画「胸さわぎの放課後」(1982)

デートの後、桑田一平(ひかる一平)は酒場に沢田知佳(坂上とし恵)を連れて行く。そこは桑田の家だった。
桑田の家がある設定なのは百軒店。右側に「喫茶ライオン」(現存 / 道玄坂2-19-13)が見える。
1982(昭和57)年/東映
出演:ひかる一平、坂上とし恵、山下美樹
映画「ア・ホーマンス」(1986)

山崎(石橋凌)を殺した3人組を見つけた男(松田優作)は3人を追い詰める。カメラは男の視点で街の中を駆け抜ける。
道玄坂2-19と2-20の間の道。左側に「名曲喫茶ライオン」(現存、道玄坂2-19-13)とロック喫茶「B.Y.G」(現存、道玄坂2-19-14)が見える。

道玄坂2-19と2-20の間の道。
遠方右側のラブホテル「ホテル・イースタン」(道玄坂2-21-4)は現存。

道玄坂2-14と2-18の間の道。
右側の「菊水」のあたりは現ライブハウス「Spotify O-Crest」(道玄坂2-14-8)。


道玄坂2-18と2-19の間の道。
右の「ライオンズマンション道玄坂」(道玄坂2-19-3)、左の「サンモール道玄坂」(道玄坂2-18-11)ともに現存。正面は「ホテルサンエイト」(現「ピットデザイン道玄坂第3駐車場」道玄坂2-21-10)。

道玄坂2-14と2-21の間の道。
左側は現ライブハウス「Spotify O-Crest」(道玄坂2-14-8)、右側は現「クラブネバーランド東京」(道玄坂2-21-7)。右側後方は現「クラブエイジア」(円山町1-8)、左側後方の「ホテルサンレオン」(円山町2-1)は現存。

円山町10と11の間の道。
1986(昭和61)年/東映
出演:松田優作、石橋凌、手塚理美
大島組の山崎(石橋凌)は圧倒的な力を持つこの男に興味を持ち、仕事や棲家を世話してやる。そんな時大島組組長が旭会に射殺されるという事件が起き、山崎も、そして男もこの争いに巻き込まれていく。【福】
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