稲荷橋小路|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

稲荷橋小路

東京都渋谷区渋谷2-24から3-19あたり

稲荷橋の由来となった田中稲荷神社の参道に戦後発達したマーケット。戦災復興の区画整理とともに消滅し、六本木通りおよび渋谷駅東口広場になった。現渋谷スクランブルスクエアの一部。

目次

映画「燃える肉体」(1957)

比沙子(筑波久子)は稲荷橋小路の飲み屋「大河」に勤めることとなる。
「重むら」「入らっしゃいませ」「万字」等の店名、鳥居から場所を特定。

比沙子(筑波久子)が田中稲荷神社で願掛けをしていると、彼女を追ってきた戸上(宍戸錠)の姿を見かける。
稲荷橋小路から東横線高架下に入る箇所。中央は東横線高架の橋脚。上に「稲荷橋小路」の表示がある。

作品データ
映画「燃える肉体」
監督:小杉勇

1957(昭和32)年/日活

出演:水島道太郎、筑波久子、宍戸錠、広岡三栄子

稲葉比沙子(筑波久子)は戸上錠(宍戸錠)から逃れ上京する。孤児院時代世話になった陶芸家島竜一郎(水島道太郎)のもとに一度は身を寄せるが、錠に居場所を知られた比沙子は島のもとを去り、酒場の手伝いや踊り子などを転々とする。
いろいろご都合主義な展開や回収されない伏線などストーリーに問題は多いが、開発まっさかりの50年代渋谷が見られる貴重な作品。【福】
日活
燃える肉体 | 映画 | 日活 心とは裏腹に肉体に宿る激しい愛欲に導かれて彷徨う女性がたどり着く果てとは―。豊満な肢体の筑波久子が薄幸な女性を熱演。

映画「踏みはずした春」(1958)

奎子(左幸子)のもとで更生しようとする笠原(小林旭)だが、子分のトンガリ(野呂圭介)が梶田(宍戸錠)の一派に絡まれているのを見つけ、再び暴力沙汰を起こしてしまう。喧嘩の舞台は東横線の高架と渋谷川にはさまれた稲荷橋小路。前後のシーンに登場する「鳥駒」「青柳」「渋谷棋院」等の看板から場所を特定。中央を歩いているのは左幸子。くるくる模様のバッグが可愛い。

稲荷橋付近の喧嘩のシーン。背後に飲食店が並ぶ。左手に喧嘩を見つめる左幸子。前後のシーンに登場する「鳥駒」「青柳」「渋谷棋院」等の看板から稲荷橋小路と特定。

作品データ
映画「踏みはずした春」
監督:鈴木清順

1958(昭和33)年/日活

出演:左幸子、小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、殿山泰司

日活
踏みはずした春 | 映画 | 日活 一人の非行少年を更生させようとするボランティアの女性が、次第に少年に愛情を抱くようになる…。鈴木清順監督と小林旭が初顔合わせしたほろ苦い青春映画。

映画「おヤエの女中の大将」(1959)

二晩続けて帰宅しなかった英二郎(手塚茂夫)を心配しおヤエ(若水ヤエ子)は繁華街を探し回る。
おヤエが渡っているのは渋谷川の「稲荷橋」(渋谷3-19付近)。背後の「一富士」および右側の男性の顔の看板がある理髪店「髙橋」の間の道は「稲荷橋小路」。現在「セブン-イレブン渋谷駅東口店」がある「渋谷オミビル」(渋谷3-19-1)付近。

作品データ
映画「おヤエの女中の大将」
監督:小杉勇

1959(昭和34)年/日活

出演:若水ヤエ子、沢村みつ子、香月美奈子

女中おヤエ(若水ヤエ子)の奉公先柴崎家は父親と子3人の家族。父親英介(藤村有弘)は地球物理学の権威、長男英一(石丘伸吾)は大学を首席で卒業し、長女絹子(香月美奈子)はテニスの選手というエリート一家だったが次男の英二郎(手塚茂夫)だけは仲間と遊び歩いては警察の厄介になる劣等生で兄や姉にも軽視されていた。そんな英二郎の世話を仰せつかったおヤエは彼と接するうち彼の亡き母親への思いを知ることになる。【福】
日活
おヤエの女中の大将 | 映画 | 日活 好評おヤエシリーズ第六弾。人の好い庶民の代表おヤエさんが、笑いと涙の連続で描く爆笑人情喜劇。

映画「狂熱の季節」(1960)

明(川地民夫)の朝の様子が描かれる。牛乳配達夫が配達した牛乳をポストから盗んで次々と飲み干すシーンの背後に「東急文化会館」が映っている。明がいるのは渋谷駅の南東、渋谷川に近い田中稲荷神社参道沿いの稲荷橋小路(渋谷2-24から3-19あたり)。戦災復興の区画整理とともに消滅し、六本木通りおよび渋谷駅東口広場になった。現「渋谷スクランブルスクエア」の一部。一連のシーンで映る「鳥駒」「青柳すし」「よしこ」「トキ」「重むら」等の店名、鳥居から場所を特定。

明(川地民夫)が稲荷橋小路を歩くシーン。一連のシーンで映る「鳥駒」「青柳すし」「よ志古」「トキ」「重むら」等の店名、鳥居から場所を特定。

作品データ
映画「狂熱の季節」
監督:蔵原惟繕

1960(昭和35)年/日活

出演:川地民夫、郷鍈治、松本典子、千代侑子、長門裕之

鑑別所帰りの明が富裕層の文子と出会ったことで、彼女の人生に再生不能な傷跡を残していく。刹那的に生きる明と難しい理屈で自らを追い詰めていく文子の対比。
富裕層の描き方がカリカチュアライズされすぎで、明の過剰に奔放な演技と併せて滑稽に見えてしまう点はあるが勢いのある映画だ。戦災復興とオリンピックで建設まっさかりの渋谷、いたるところが工事中だ。【福】
日活
狂熱の季節 | 映画 | 日活 インテリ族とビート族、二組の若い男女の対比の中に虚しく燃焼する青春の狂態を、鋭い感覚で描破する異色問題篇。

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