仁丹ビル|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

仁丹ビル

東京都渋谷区渋谷2-10-10

1963年12月完成の森下仁丹東京支社社屋(”光る広告塔”ビル)。「テレビによりオープン式中継放送」があったという(年表|森下仁丹株式会社)。地上17階51メートル。2008年に解体され、跡地には2015年に「徳真会クオーツタワー」が建った。

十七階のビルなどは、法律で建てられないハズじゃないか、と首をかしげる人もあろう。そのとおりだ。このビルは、上から七階分はネオン・サインなのである。しかし、壁面はぶっとおしで十七階になる、という頭のいい設計で、表面は特殊ガラスをつかい、ネオンとしても“日本最初最大”だという。(毎日新聞社「日本の社長」1963)
目次

映画「殺られてたまるか」(1960)

冒頭、車で家に帰る都築敏(二谷英明)。
場所は青山通りの宮益坂上交差点。
右側で光っているのは「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「千代田生命」は現「あいおいニッセイ同和損保渋谷ビル」(渋谷2-14-18)。

作品データ
映画「殺られてたまるか」
監督:若林栄二郎

1960(昭和35)年/第二東映東京

出演:梅宮辰夫、三田佳子、久保菜穂子

刑務所から出所後、故郷に戻った都築敏(二谷英明)。街でやくざに絡まれている桂子(山本陽子)を助けたことから彼は街を仕切る花村組に目をつけられることになる。そんな彼に声をかけてきたのが、花村組の支配を切り崩そうとしている関根(玉川伊佐男)だった。やくざの支配から脱したい地元の商店主や都築は関根のもとに結集する。【福】

映画「野獣の青春」(1963)

かつての同僚広川(鈴木瑞穂)とタクシーで移動する水野錠次(宍戸錠)。背後に建設中の「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)が見える。

作品データ
映画「野獣の青春」
監督:鈴木清順

1963(昭和38)年/日活

出演:宍戸錠、渡辺美佐子、川地民夫、小林昭二、信欣三、金子信雄、江角英明、鈴木瑞穂

連れ込み宿で男女が死んでいた。男の竹下公一(木島一郎)は現職刑事で、事件は情死として処理された。後日繁華街でやくざの野本興行の組員を次々に袋叩きにする男が現れた。その男水野錠次(宍戸錠)は不敵にも野本組の本拠地であるキャバレーに現れ自分を雇えという。社長宅に連れられた水野は社長の野本達夫(小林昭二)と、組員三波五郎(江角英明)に出会う。水野は三波と組み野本興行と敵対する三光組傘下の企業を襲うなど、野本からの信頼を得ていった。そんなある日、水野は昔の仲間の法事に向かった。向かった先は……。【福】
日活
野獣の青春 | 映画 | 日活 暗黒街に単身飛び込んで二つの組織を潰そうとする元刑事の活躍を描いた、鈴木清順監督×宍戸錠によるハードボイルド・アクション。マジックミラー越しのキャバレー、...

映画「敗れざるもの」(1964)

木崎医師(大坂志郎)の再診の結果俊夫(小倉一郎)の脳に異常がありそうなことが判明し、一家は橋本(石原裕次郎)が運転する車で脳外科へ向かう。
車は宮益坂の宮益坂上交差点付近を青山方面に走っている。背景で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「仁丹ビル」はビル前面がネオンで光る建物だった。その右の赤いネオンが見えているビルは「千代田生命渋谷第二営業所」(現「あいおいニッセイ同和損保渋谷ビル」渋谷2-14-18)。右端に見えている歩道橋は金王坂上歩道橋(現存)。

作品データ
映画「敗れざるもの」
監督:松尾昭典

1964(昭和39)年/日活

出演:石原裕次郎、十朱幸代、小倉一郎

橋本鉄哉(石原裕次郎)は高村家のお抱え運転手。彼は中学生の息子俊夫(小倉一郎)の世話をよくし、俊夫も彼になついていた。ある日俊夫が新しく買った天体望遠鏡で観測している最中ガレージから落ち怪我をする。往診に来た木崎医師(大坂志郎)は一度は心配ないとの診断をするが、帰りの車中を運転手の橋本から俊夫は目が見えにくい様子だったことを聞くと急いで高村家へ引き返す。再度診断をした結果俊夫は急遽脳外科に入院することになり、脳腫瘍であることが判明する。俊夫は開頭手術を受け、手術は成功したかに見えたが、橋本は病院で俊夫は治癒の見込みがないという話を耳にしてしまう。【福】
日活
「小さき闘い」より 敗れざるもの | 映画 | 日活 暗い過去を持つ男と、病魔と闘う少年のふれあいを通して生命の尊さを描いた感動作。兄・石原慎太郎の原作を裕次郎主演で映画化した。死と向き合う少年をナイーブに演じてい...

映画「青春前期 青い果実」(1965)

約束の時間になっても来ない河合奈津子(太田雅子=現・梶芽衣子)を待つ椎ノ木武志(太田博之)。宮益坂上交差点の歩道橋(現存)から青山方向をみている。武志の右で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。「仁丹ビル」はビル前面がネオンで光る建物だった。

河合奈津子(太田雅子 / 現・梶芽衣子)が乱暴された件が学校中に広まった元凶は教師の国信高子(初井言榮)であることを知った椎ノ木武志(太田博之)は国信をしつこくつけ回し責め立てる。武志の中で燃える怒りを表現したシーンで武志の背景で光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。

作品データ
映画「青春前期 青い果実」
監督:堀池清

1965(昭和40)年/日活

出演:太田博之、太田雅子(現梶芽衣子)、吉村実子、山岡久乃、初井言榮、高橋とよ、佐野浅夫、内藤武敏

広島から転校してきた椎ノ木武志(太田博之)は無口で笑顔を見せない影のある少年。同級生の河合奈津子(太田雅子=梶芽衣子)はそんな彼に惹かれていた。やがて親しくなった二人は、武志の叔父中瀬安芸男(内藤武敏)が働く乗馬クラブへ馬を見に行く約束をする。母親(山岡久乃)に夜間の外出を厳しく止められた奈津子は家を抜け出して約束の場所へ向かうが、そこで3人の大学生に暴行されてしまう。奈津子は事件を忘れようとするが、教師(初井言栄)から親たち、親たちから生徒たちに噂が広まっていく。【福】
日活
青春前期 青い果実 | 映画 | 日活 セックスによる激しいショックを受けた二人の男女高校生の心の交流をクールなタッチで描いた異色純愛大作。

映画「アジア秘密警察」(1966)

オープニング、首都高3 号線を走る車からのシーン。
左のビルは「ヤマハ音楽教室」「明治生命」の看板があり、「生命保険会社役職員名簿 40年度版」(1965)、「音楽年鑑 昭和41年版」(1965)から「名取ビル」(現存、渋谷2-22-8)と特定。現存しているが外観は変わっている。
中央のビルはGoogleストリートビューの過去の画像から「南塚ビル」(後の「渋谷アイビスビル」渋谷2-7-3、現在隣接する「シオノギ渋谷ビル」等と「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」の施工中)と特定。
その右のマークがついているビルは「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。その右のビルは「岡崎ビル」(渋谷2-14-13)。
南塚ビルと岡崎ビルの間の道路が金王坂。

作品データ
映画「アジア秘密警察」
監督:松尾昭典

1966(昭和41)年/日活

出演:二谷英明、浅丘ルリ子、宍戸錠

でこぼこに傷ついた車が表参道を走ってくる。車を運転していたのは佐伯竜太郎(二谷英明)、後部座席には傷ついた陳(高品格)を載せていた。佐伯は洋服店の裏の隠し部屋に入る。そこはアジア秘密警察の東京支部。彼らは極東貿易が密輸する純金を追い極東貿易の反撃を受けたのだ。佐伯らは密輸ルートを追い香港へと向かう。【福】
日活
アジア秘密警察 | 映画 | 日活 世界的な犯罪組織を追う秘密警察機構のアジア支部―アジアインターポールの活躍を香港長期ロケで描く国際大アクション。シリーズ第一弾。

映画「その人は昔」(1967)

交際していた裕福な男性(山中康司)が既婚者とわかって傷つきひとり歩く洋子(内藤洋子)。
洋子が歩くのは渋谷2丁目。背後で白く光っている建物は「仁丹ビル」(現「徳真会クオーツタワー」渋谷2-10-10)。画面左端に「森下仁丹」と縦型のネオンが光っている。赤いネオンは「渋谷病院」(現「大菅ビルディング」渋谷2-11-8)。

作品データ
映画「その人は昔」
監督:松山善三

1967(昭和42)年/東宝

出演:舟木一夫、内藤洋子、山中康司、大木徹三

北海道の漁村で暮らす青年(舟木一夫)と洋子(内藤洋子)は、貧しい暮らしに嫌気がさし2人で上京する。最初は力を合わせながら暮らしていた2人だったが、青年は賭け事にうつつをぬかし、洋子は裕福な男性(山中康司)と付き合うようになる。結局既婚者であった男性に捨てられた洋子は青年のもとに戻ろうとするが…。
内藤洋子のヒット曲「白馬のルンバ」が聴ける。脳を揺らすような摩訶不思議なデュエット曲「恋のホロッポ」はクセになる。原作が「レコードドラマ」(音楽と音声のドラマでストーリーを構成したものか?)であったせいか、全体的にストーリーが希薄でイメージビデオのような印象。音楽担当の船村徹の演歌調のテイストが全編を支配し、ロック調やジャズ調の曲も垢抜けなさがぬぐえない。【福】

映画「女の意地」(1971)

久美(浜木綿子)が修平(中尾彬)に淳子(松原智恵子)と別れるよう言ったことを知った淳子は店を出て二人が暮らすアパートに向かう。
水色に光っているビルは「仁丹ビル」(現「徳真会 Quartz Tower」渋谷2-10-10)。

作品データ
映画「女の意地」
監督:斉藤光正

1971(昭和46)年/日活

出演:松原智恵子、中尾彬、根上淳

銀座のクラブを経営している久美(浜木綿子)とホステスとして働く腹違いの妹淳子(松原智恵子)。ある日妹と交際している男が住んでいるアパートを訪ねたが、交際している男はかつて久美が交際していた修平(中尾彬)であった。久美は修平に妹と別れるよう頼む。【福】
日活
女の意地 | 映画 | 日活 華やかな夜の世界に生きる女の哀歓を、夜の銀座を背景に美しく、ムードたっぷりに描く女性映画。

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