円山町|映像の中の渋谷

古い映画やドラマの中から
昭和の渋谷の風景を探しています。

円山町

東京都渋谷区円山町

渋谷のラブホテル街。かつては花街として栄えた。

現在はラブホテル街だが、大正2(1913)年に三業地指定を受けた花街で芸者さんがたくさんいた。戦後、建物の一部を部屋貸しにする旅館を営み始め、64年の東京オリンピックの頃には、連れ込みに特化した宿が多数できたらしい。そのうちに建物が木造から鉄筋コンクリート造などに更新され、現在のようなホテル街が形成されたのだという。(「渋谷、知られざる驚きの歴史…独自の発展を遂げ続けた“秘密”」
目次

映画「恋文」(1953)

真弓礼吉(森雅之)の弟の洋(道三重三)はとんかつ屋の軒下で古本を売ることを思いつく。派出所に出店の許可を得にいく洋。
場所は「道玄坂上巡査派出所」(円山町3-6 / 現存)。ただし当時の住宅地図と周辺の店舗の名称が違うので、本当の道玄坂上交番での撮影ではないかもしれない。

作品データ
映画「恋文」
監督:田中絹代

1953(昭和28)年/新東宝

出演:森雅之、久我美子、宇野重吉、香川京子

終戦後帰国した真弓礼吉(森雅之)は弟の洋(道三重三)と暮らしている。生活力のある洋に対し、礼吉は定職にもつかず日々街に出かけては戦時中愛しあいながら他人の妻になった久保田道子(久我美子)の姿を探す毎日だった。ある日渋谷に出かけた礼吉は旧友の山路直人(宇野重吉)と再会する。山路は英文の代書屋を営んでおり、礼吉もその店で働くことになった。ある日店の裏で休んでいた礼吉の耳に、店の客の声が届いた。それは長年探していた道子の声だった。【福】

映画「青春怪談」(1955)

宇都宮慎一(三橋達也)が自ら経営するパチンコ屋へ向かうシーン。円山町15あたり。電柱に広告がある料亭「夢想庵」は現在マンション「エル・アルカサル夢想庵」になっている。

宇都宮が経営するパチンコ屋「小鳩」。円山町5-14付近。手前の「しる古あざみ」から場所が特定できた。

作品データ
映画「青春怪談」
監督:市川崑

1955(昭和30)年/日活

出演:山村聰、北原三枝、轟夕起子、三橋達也、山根寿子、瑳峨三智子、芦川いづみ、滝沢修

徹底的な合理主義者の宇都宮慎一(三橋達也)とその幼馴染でバレエダンサーの奥村千春(北原三枝)。千春の独立のため二人はそれぞれ伴侶を亡くしている慎一の母(轟夕起子)と千春の父(山村聰)を結婚させようとたくらみ、そのためにまず自分達が結婚する計画をたてる。そこに慎一を慕うバーのマダム(山根寿子)や芸者筆駒(瑳峨三智子)、千春を姉と慕うバレエ教室のシンデ(芦川いづみ)が関わり、さまざまな事件が起こっていく。獅子文六原作。1955年4月19日に新東宝版とこの日活版が同時に公開された。【福】
日活
青春怪談 | 映画 | 日活 6大スター競演で描く現代の恋と欲望!獅子文六の評判小説を才匠・市川崑が描く、青春波乱のメロドラマ。

映画「太陽をぶち落せ」(1958)

青野洋介(宍戸錠)は夫の禎蔵(菅井一郎)に二人の過去をばらすと蘭子(南田洋子)を脅し、料理屋に連れ込む。一方吾郎(川地民夫)の仲間小島三郎(杉幸彦)と斎藤美恵子(稲垣美穂子)は健(高品格)の一味に強要され、カップルを脅迫するための写真を撮影していた。吾郎の母が乗っているとも知らず近づく車を狙う三郎と美恵子。
青野と蘭子が密会する「割烹 君の家」は実在した店。現「ハーベストハウスⅡ」(円山町8-8)。向かいの看板「一力」は現クラブ「WOMB」(円山町2-16)。

三郎(杉幸彦)と美恵子(稲垣美穂子)に警察が来たことを小石を投げて知らせる監視役のテツ(柳瀬志郎)。三郎と美恵子が隠れているのは現「ナチュラルエリップス」(円山町7-1)のかど。左側「梅月」の看板は現「ホテルゼロスリー」(円山町2-15)。

警察が来たのに乗じて逃げる三郎(杉幸彦)。右側の「きん時」は現「ホテルゼロ2ダッシュ」(円山町7-2)。

作品データ
映画「太陽をぶち落せ」
監督:野口博志

1958(昭和33)年/日活

出演:川地民夫、菅井一郎、南田洋子、宍戸錠、水島道太郎

大須賀禎蔵(菅井一郎)の息子吾郎(川地民夫)は謎の自殺をとげた母親のことが忘れられず、新しい母親蘭子(南田洋子)に異性としての愛情を感じつつことごとく反抗していた。蘭子の昔の恋人で、蘭子を奪い返す機会をうかがっていた禎蔵の部下青野洋介(宍戸錠)はある日二人の過去をばらすと脅し蘭子と料理屋で密会した。たまたまカップルを脅迫するため写真を撮影するバイトをしていた仲間からの連絡を受け、吾郎は蘭子と青野が密会する旅館へ乗り込む。吾郎はそこで青野から禎蔵は吾郎の実の父親ではないと聞かされ、激しく動揺する。吾郎は父親の日記から古市(水島道太郎)という男の存在を知り、古市を探し始める。【福】
日活
太陽をぶち落せ | 映画 | 日活 真実の愛を求めて彷徨し、苦悩する少年の叫びと姿を通して、現代のモラルと多感な思春期の群像を描くもの

映画「夫婦百景」(1958)

毎日外出する大川蒼馬(大坂志郎)の浮気を怪しんで姪の倉田ノリ子(浅丘ルリ子)とその夫の倉田達夫(岡田眞澄)は彼の後をつける。
大川が下車したのは小田急線参宮橋駅(背後に「開花ホテル」「みやこホテル」など同駅周辺にあったホテルの広告や「参宮橋」の表示が見える)。駅を出てからのシーンは円山町に飛ぶ。
坂沿いに電気店があること、この後のシーンで「料亭万なを」(現「ライオンズマンション渋谷」円山町12-2)が映ることから住宅地図で東急文化村と道玄坂上をつなぐいわゆる「ランブリング・ストリート」であると特定した。
電気店(日新電機工業所)があるのは現「クラブエイジア」(円山町1-8)横の駐車場。大川が誉田松江(山根寿子)と待ち合わせる「喫茶シ・ボンヌ」は「ユーロスペース」のある現「Kinohaus」(円山町1-5)。
なお「喫茶シ・ボンヌ」は住宅地図や商工名簿で確認できず、住宅地図では「美容ワタナベ」となっている。なるほど外観は美容室のようにも見え、美容室の外に看板を立てて喫茶店に見せたのではないか。

叔父の後をつけてきた倉田ノリ子(浅丘ルリ子)と倉田達夫(岡田眞澄)夫妻が隠れているのは「テアトルマンション」(現「ユーロスペース」向かいの駐車場/道玄坂2-21)横。背後の「福田医院」は現「ホテルウィル渋谷」(道玄坂2-22-5)。

大川蒼馬(大坂志郎)は喫茶店で待ち合わせた誉田松江(山根寿子)と円山町を歩く。
前後のシーンから円山町10と円山町11の間の坂道と特定。二人の背後の建物は現マンション「ランドステージ渋谷」(円山町10-12)、手前の建物は現「ホテル ゼロ マルヤマ」(円山町9-9)。

大川は喫茶店で待ち合わせた誉田松江(山根寿子)と料亭「万なを」に入っていく。後をつけてきた姪の倉田ノリ子(浅丘ルリ子)とその夫の倉田達夫(岡田眞澄)がその様子を見ている。
料亭「万なを」は現「ライオンズマンション渋谷」(円山町12-2)。住宅地図で特定した。

作品データ
映画「夫婦百景」
監督:井上梅次

1958(昭和33)年/日活

出演:月丘夢路、大坂志郎、浅丘ルリ子

大川みはる(月丘夢路)は女性誌の編集長、夫の蒼馬(大坂志郎)は売れない童話作家。ある日下宿を追い出された姪夫婦(浅丘ルリ子、岡田真澄)が空き部屋に転がり込んでくる。一方みはるの元には年下の使用人の河内明(青山恭二)と駆け落ちをしてきた従姉妹の誉田松江(山根寿子)が現れる。みはるは松江を空き部屋に住まわせようと考える。帰宅し勝手に姪夫婦が住み着いていることに怒ったみはるは家を飛び出し姉夫婦(初井言栄、二本柳寛)の元へ身を寄せる。そこで熱烈な恋愛の末結ばれた岡崎夫妻(楠田薫、安部徹)と知り合う。
失格夫婦(大坂志郎、月丘夢路)、学生夫婦(岡田真澄、浅丘ルリ子)、母親夫婦(青山恭二、山根寿子)、十八歳の夫婦(丘野美子、長門裕之)、中間夫婦(初井言栄、二本柳寛)、恋愛夫婦(楠田薫、安部徹)の6組の夫婦の関係をフランキー堺の解説で描く。【福】【福】
日活
夫婦百景 | 映画 | 日活 獅子文六の人気小説を『嵐を呼ぶ男』の井上梅次のメガホンで映画化したホームコメディ。豪華キャストの競演で、6組の夫婦の喜怒哀楽を風刺とユーモアで描く。

映画「俺は情婦を殺す」(1958)

仲次(長門裕之)と親しい玉枝(南風夕子)が彼と接触するとにらんだ警察は彼女を尾行する。
坂の左側、玉枝のアパートは神泉2-2(現「国際文化理容美容専門学校渋谷校」)。坂の上にある「旅荘霧島」は現「サンハイツ霧島」(神泉1-10)。「渋谷区商工名簿1970」より特定。
坂を下り右折した右側は神泉2-2(現「国際文化理容美容専門学校渋谷校」)。左側は円山町16。

作品データ
映画「俺は情婦を殺す」
監督:野口博志

1958(昭和33)年/日活

出演:長門裕之、南風夕子、水島道太郎

親分の倉三(伊藤寿章)の身代わりとして刑務所に入っていた仲次(長門裕之)が出所してきた。忠実な子分だった仲次は、服役中に倉三が妻の礼子(月玲子)に手を出したという噂を耳にして復讐心に燃えていた。倉三は仲次ともみあううちに銃が偶発して死亡。仲次は弟分の岡健(弘松三郎)の助けを得て逃亡しながら、次に自分を裏切った妻を殺そうと狙うのだった。【福】
日活
俺は情婦を殺す | 映画 | 日活 弟分の仕組んだわなに落ちたとも知らず、狂ったように血を求めるやくざの男を迫真のカメラで描いた異色活劇篇。

映画「安藤昇のわが逃亡とSEXの記録」(1976)

極東船舶社長早川哲司(近藤宏)への襲撃に対し指名手配をうけた安藤昇(本人)はまず愛人である山辺泰子(萩野まゆみ)のアパートを潜伏先に選ぶ。
山辺のアパートがあるのは円山町。右側の階段は円山町12と14の間にある階段。左側の現存する「東京保全建設(株)」の住所(円山町13)から判明。

山辺のアパートの窓から見える風景。中央に看板が見える料亭「真砂」は現「三光ハイム」(円山町14-4)。

安藤昇(本人)は山辺泰子(萩野まゆみ)のアパートから妻の元へ潜伏先を移す。安藤を見送る山辺泰子。
階段は円山町14と15の間にある階段。階段上の建物は「料亭真砂」(現「三光ハイム」円山町14-4)。

安藤昇(本人)の愛人田代文子(ひろみ麻耶) が家を出ると遠巻きに刑事が張り込みをしている。
円山町11と13の間の道。つきあたりは「Bunkamura」から松濤2丁目交差点へ抜ける道。画面内に映った住居表示板から判明。

安藤昇の愛人田代文子(ひろみ麻耶) が歩いてくるのは円山町11と13の間の道。手前の道は「Bunkamura」から松濤2丁目交差点へ抜ける道。画面内に映った住居表示板から判明。

安藤昇の愛人田代文子が家を出ると、安藤の友人田所が声をかけ車に乗せて安藤が潜伏中の田所宅に向かう。それを追いかける刑事。
「Bunkamura」から松濤2丁目交差点へ抜ける道。右側が円山町13、左側は松濤1-26。画面内に映った住居表示板から判明。

作品データ
映画「安藤昇のわが逃亡とSEXの記録」
監督:田中登

1976(昭和51)年/東映

出演:安藤昇、中島葵、ひろみ麻耶、石橋蓮司、蟹江敬三、近藤宏

安藤興業社長安藤昇(本人)は極東船舶社長早川哲司(近藤宏)を襲撃した。警察は安藤らを指名手配したが、安藤は愛人宅や友人宅を転々として潜伏を続けた。1958年に実際に起きた事件を本人が再現した作品。【福】

映画「Let’s 豪徳寺!」(1987)

狛江百合(三田寛子)と大蔵利通(羽賀研二)が渋谷で飲んだ後ラブホテルに向かうシーン。
ホテル「渋谷の街の物語」は現「ホテル・ブランシュ」(円山町2-22)、「ホテル ル・ペイ・ブラン」は現存(円山町2-8)。
狛江と大蔵が入る「ホテル トゥーウェイ」も現存(円山町15-2)。

作品データ
映画「Let’s 豪徳寺!」
監督:前田陽一

1987(昭和62)年/松竹

出演:三田寛子、紺野美沙子、岡安由美子、鈴木保奈美、岸田今日子、村上弘明、羽賀研二

狛江百合(三田寛子)は友人の豪徳寺咲姫(鈴木保奈美)に頼まれ、豪徳寺家で家政婦として働くことになる。超富裕層の豪徳寺家の家族は大奥様の香(南美江)、奥様の雅(岸田今日子)、仕事一徹の長女美姫(紺野美沙子)、男性関係が華やかな舞姫(岡安由美子)など個性豊かな者ばかりだった。【福】
松竹株式会社
Let’s 豪徳寺! 松竹株式会社の公式サイトです。当社配給の映画作品やアニメ・特撮の劇場作品、OVAおよびテレビ作品の情報をご紹介しています。

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