関東ではなかなか簡単に見られない「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)。
Sky-Aでの放送とテレビ朝日深夜の不定期な放送を必死に追いかけて見ている。
上岡龍太郎が芸能界を引退したため初代局長(メイン司会)を降板し、現在は西田敏行が2代目局長を務めている。
賢そうだが人を小馬鹿にしたようなしれっとした雰囲気が持ち味の上岡に比べ、西田は一般的に流通している西田のイメージそのまんま。
演技なのか素なのかわからないが、熱血漢で感激屋さんとでもいうのか、とにかく泣く。ひたすら泣く。感動のハードルが著しく低い。
昨日、Sky-Aでオンエアされた放送は、昨年12月にABCで放送されたものの再放送で「恐るべきデコピン」「愛しのオカマさん」「マツタケと老婆」の3本。
1本目は涙なしだったが、2本目の「愛しのオカマさん」で西田号泣。
「愛しのオカマさん」は、「雑居ビルのある店に勤めていた女性が苦労していた頃、同じフロアにあったオカマの店のお姉さん方にいろいろ励まされたのだが、彼女たちにもう一度会いたい」という依頼。
わかっている情報は、その店の名「竿」とお姉さんたちの源氏名のみ。そこで、地元のオカマの大御所のお姉さんに連絡をとり、各地のオカマのお姉さんたちのネットワークを駆使して無事再会を果たしたという結末。
確かに感動的な話ではある。だが、次々と登場する各地のオカマの大御所さんやユニークな源氏名、目を見張るような派手なルックスで待ち合わせ場所に現れた「竿」のママと夕方の駅前で抱き合う依頼者というビジュアルは、単なるいい話ではなくそれなりに笑いどころも満載だったのだが、何枚もティッシュを使って涙を拭く西田の顔ですっかり台無し。
そして3本目は「かつては山で山菜やマツタケをとるのが巧かった70代の姉が足を手術してからは山に行けなくなり寂しそうだから、是非もう一度マツタケとりをさせてあげたい」という60代の女性からの依頼である。この依頼の手紙を秘書役の岡部まりが読み上げた途端、ハンカチを取り出す西田。泣く準備万端である。
レギュラー出演者たちも「西田局長が泣くから」とか「局長、ハンカチの準備はいいですか」などと、普段から盛んに声をかけている。西田、それほどまでに泣くのである。
泣ける話、いい話が嫌いなわけじゃないが、いい話を見て泣いたり感動したいのは視聴者の私だ。他人が感激して泣きじゃくるのを見たいわけじゃない。気持ちが萎える。
依頼のVTR明けに気の利いたボケも吐かず、レギュラー出演者たちにツッコミも入れず、ただただ泣いてばかりの西田はメイン司会者としての機能を果たしているのだろうか。いつもはお茶の間でテレビを見ている泣き虫のお父さんを連れてきちゃってるみたいな場違いな感じ。
たぶん、既に「泣きの西田局長」というパターンが「探偵!ナイトスクープ」の売りの1つになっているのだろうが、そんなモノは要らない。
一切泣くなとは言わないが、もう少しポイントを絞って泣いた方が効果的だと思うぞ。まがりなりにもプロの俳優、泣き顔のコントロールくらい出来ないはずはない。【み】