タレントの顔の一部が気になってしかたがないことが間々ある。
柳沢慎吾の歯とか、モト冬樹の額とか、そういう本人が売り物にしているようなベタなポイントではない。
一般に美人と認知されている女性タレントの、顔のパーツの一つ一つに注目した時、それが思いもかけぬ、一般に美人の目鼻立ちとされているものとかけはなれた形をしていることがある。ここで述べるのはそうしたケースである。
まず最初は松嶋奈々子である。
鼻の下の溝。あれは何と呼ぶのだろうか。「人中」という名称があるが、それは人相や鍼灸の用語を便宜上転用しているのではないか。「みぞおち」「ぼんのくぼ」「うなじ」にあたるような日本古来の呼称は与えられてないのだろうか。
まあそれはともかく、松嶋菜々子の溝は深い。普通「溝が深い」とは二人以上の人間関係について使う言葉だが、松嶋は一人でも深いのだから大したものだ。
キリン「生茶」のCMで、ドライブしながら生茶を飲む松嶋。ドリンクホルダー替わりにみぞにペットボトルを「ぱちん!」とはめこみ、鼻の下に生茶をぶらさげながら運転する様はまことに壮観である。
次も溝の話だが、松たか子である。
松も松嶋に劣らぬ鼻の下の溝が目立つ溝タレント、略して「みぞっタレ」である。
しかし松のみぞは、その深さよりも、みぞについているホクロがポイントだ。みぞの中央、上唇に近いあたりにごく小さいホクロが一つある。松のデビュー当初からこれが非常に気になり、「みぞぼくろさん」という愛称をつけていたほどである。
ところがこの「みぞぼくろ」、私が気にするほど松は気にしていないようなのだ。
駅の構内などで山崎製パンや資生堂の大きな看板を見ることがあるが、みぞぼくろに対する扱いは一様ではない。ファンデーションによるものか写真の修正の関係か、全く消されているかと思えば、うっすらと残っていたりすることもある。これは松側が、みぞぼくろについては「あってもなくても、どっちでもいいもの」と考えていることを表している。
あんな顔の真中の目立つところにあるものを無視する。不可解な対応である。
そして三人目は田中麗奈。
田中の眉についてこれまで誰か触れているだろうか。全く無視できない形の眉である。眉を剃ってああいう形に描く女性はいるが、田中は最初登場した時からあの眉で、どうやら生来のもののようである。
ぴーんと急傾斜で伸びあがる形は、一種昆虫の触角を思わせる。松の「みぞぼくろさん」に対し、田中は「触角さん」と我々は勝手に呼びならわしている。普段は風にそよそよとなびき、怒るとピンと立ち、いざという時は相手を刺す武器にもなる、そんなことを想像させる。
そのほかにも梅宮アンナの口元のしわ、後藤真希の口元の黒ずみ、なども気になるところである。
こうした特徴は、一見彼女達にとってマイナスにも思えるが、実はこれが彼女達の容貌を個性豊かな…と綺麗にまとめるのは面白くないのでやめる。でもけなしているわけじゃないので、ファンの方々、カミソリ入りのメールなどは送ってこないでね。【吉】