ロンハー的フレンチキス

2月5日の「ロンドンハーツ」の企画は「格付けし合う女芸人たち」。
出演は、オアシズ(光浦靖子、大久保佳代子)、青木さやか、南海キャンディーズ・しずちゃん、森三中(村上知子、黒沢かずこ)、にしおかすみこ、柳原可奈子、ハリセンボン(箕輪はるか、近藤春菜)だった。
この日のお題は「一般男性100人に聞いた実はキスが上手そうな女」。
芸人達がおのおののセックスライフやキス観を赤裸々に語るというなんとも気恥ずかしい企画である。さすがPTAの「子どもに見せたくない番組」に毎年上位にランキングされる番組。

「キスはテクニックが重要」「頬へのキスでは物足りないんです」「お前ドMだな」「ありえない舌使いってこうですかね」等々、21時台の番組とは思えないぶっちゃけ方だ。この程度のぶっちゃけ方に驚いていては今どきバラエティ番組なんて見ていられないのかもしれないが、この「ロンハー」の生臭さは群を抜いている。
一度も男性経験がないのは森三中とハリセンボンだの新婚の青木さやかの性生活だの、家族と一緒に見聞きするにはあまりに気まずい情報満載である。
これは「子どもに見せたくない番組」というよりも、むしろ「親が子どもと見たくない番組」「子どもが親と見たくない番組」だ。

いつのまにか、浅い時間帯でも「セックス」「オナニー」「S」「M」「寝る」「やる」といったそのものズバリのセクシャルなフレーズを使うのが当たり前になってきているが、その一方、女性のヌードは以前に比べてかなり厳しく制限されているように思う。滅多なことでは女性の乳首を映さなくなった。
出版や映画の世界ではとっくの昔にアンダーヘアまでオープンになっているのに、テレビが必死に乳首を隠しているのが不思議だ。その割には、中身がはみだしそうな極小のビキニを身にまとったグラマーな娘さんが飛んだり跳ねたりして巨乳を揺らすような着エロ系の表現は全く規制されていないのも不思議。

それはそうと、今回のお題「実はキスが上手そうな女」の格付けで青木さやかを3位に選んだ男性からの「フレンチ→フレンチ→ディープみたいな独自のリズムで攻めてきそう」というコメントが紹介された。
MCのロンドンブーツ1号2号の淳が「(軽く手を叩きながら)パン、パン、(素早く手を前に突き出しつつ)ガッ!みたいな」と言えば、この日、キスのテクニックについて語り倒していたオアシズ大久保が「うーん、それではちょっとリズムに乗り過ぎなんですね。(軽く手を叩いて)タン!いったでしょ? タン! 2拍おいて感情高めて…(強く手を叩きつつ)ドーーン!」だの「ちょっと想像してみてください。トン、トン……ドーン!」だの独自のキスリズム論を披露。

番組を見た人ならわかるはずだが、紹介された青木さやかへのコメントもオアシズ大久保もロンブー淳も、明らかに「フレンチ」を「軽めのキス」とか「浅いキス」として話を進めている。
言うまでもないが、フレンチキスはディープキスの別称だ。
フレンチというフワフワした字面や語感、ほんのり甘いフレンチトーストから連想されるイメージあたりがこの勘違いを招いているのではないかと推測するが、確かこの番組は以前も同じ間違いをしていた覚えがある。誰か教えてやれよ。
オアシズは2人揃って国立大卒のインテリコンビなわけだが、この場合、「フレンチキスとディープキスって同じ意味ですよ」とマジメに間違いを訂正するよりも話の流れに乗っかっていく方が芸人的には正しい。まあ、本当に勘違いしてた可能性もあるけど。

話の流れに棹さすわけにはいかない芸人達はともかく、テレビ局には一流の大学を出た人材や外国語に堪能な人材や芸人に比べれば一般常識の備わった人材は幾らでもいるだろう。「ロンハー」スタッフはいいかげんフレンチキスとディープキスは同じモノだということを覚えてくれ。「面白ければちょっとくらい間違っててもいいだろう」とか思うなよ。わかっててわざと間違っているならなおさらタチが悪い。
まさかとは思うが、こんな間違った情報をゴールデンタイムにお茶の間にバラまいておいて、自局の雑学・うんちく系の番組で「フレンチキスとは軽いキスではなくて本当はディープキスのことである」とか紹介するんじゃないぞ。なんのマッチポンプだ。【み】

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