映画の感想文「31(サーティワン)」

「マーダー・ライド・ショー」のロブ・ゾンビ監督「31(サーティワン)」。
ゾンビ監督の奥さん、シェリ・ムーン・ゾンビ主演。
主催者側に「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェル。68歳ながらチェーンソーで戦うメグ・フォスターがかっこいい。

殺人ピエロ集団に監禁された若者たちが、生死を懸けた最狂ゲームを強いられる!というU-NEXTの惹句を見て、「ああ、『さあゲームを始めよう』っていうアレ系のよくあるパターンのスリラーね」と侮りつつたいして期待もせず見たのだが、これがなかなかのヒット。凡百の殺人ゲーム映画のような薄っぺらなものではなかった。見る者の精神をえぐる映像美。

何者かに拉致されたサーカス団の若者達が連れてこられたのは、フランス貴族のような扮装の人々とヤバい殺人者集団がいる謎の館。
貴族達は年に一度この館で殺人ゲームを楽しんでいるらしい。誰が生き残るか賭けまでしている。フランス貴族一味のリーダーの男を演じているのは「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェル(ウィッグをかぶり真っ白にお化粧しているので誰だかわからなかった!)。
どうして殺人ゲームをするのか。どうしてこの若者達が選ばれたのか。どうしてアメリカなのにフランス貴族がいるのか。
すべての謎は明かされぬまま若者達はひたすら悲惨な目にあうのだった。
血まみれの夜は明け、朝になるとフランス貴族達がウィッグや衣装を脱ぎ普段着に着替えて帰っていく描写にグッときた。
殺人ゲームを楽しんでいたフランス貴族達は、フランス革命でギロチンで処刑された貴族の亡霊などではなくこの屋敷にとりついた悪霊でもなく黒魔術で呼び出された悪魔でもなく、ただの人間だったのだ。

エンディング・テーマが気に入っちゃった。John 5 & ボブ・マーレット「The Show Must Go On」。映画の雰囲気とはうってかわってギター1本の穏やかな曲。【福】

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