安達祐実主演ドラマ「積木くずし」に高まる期待

さあ、いよいよ今夜である。
津波のように押し寄せる期待感に、皆さんもつい立ったり座ったりしていることと思う。
そう、もちろんフジテレビの「積木くずし」だ。
Yahoo!テレビに掲載されている正式タイトルは「金曜エンタテイメント2夜連続SPドラマ『積木くずし真相・あの家族、その後の悲劇〜前編〜空前の大ヒット作に隠された新事実親子の絆、大切さを描く超問題作』」である。長い。長い上に仰々しい。

父親役の館ひろしは余り好きな俳優ではないし、母親を演じる杉田かおるの昨今の露悪的な芸能界活動にはいいかげん辟易しているわけだが、このドラマの目玉はなんといっても娘役のキャスティングに尽きる。
娘役を演じるのは、和製クリスティーナ・リッチ、安達祐実なのだ。
あの安達祐実が「積木くずし」である。このキャスティングを快挙といわずしてなんとしよう。
公式プロフィールを見たら1981年生まれとあるから、安達祐実現在24歳。24歳の安達が、シンナー吸って大暴れする中学生時代も演じるらしい。ああ、わくわく。

「積木くずし」のモデルとなった穂積隆信の娘さんは、シンナーを常用して暴れるという非行少女時代を経て、「積木くずし」が大ヒットしたことによる家庭崩壊、20代で腎臓を患い生体腎移植、ヌード写真撮影、そして35歳で心不全のため死去…という壮絶な一生を送ったようだ。
現在進行形で更生中のまだ10代の少女が実父にその非行履歴を本に書かれ、あまつさえそれがドラマ化されて全国のお茶の間に流れるというのも、よく考えたらものすごい話ではないか。
そんな穂積の娘さんを気の毒に思うと同時に、彼女が背負ってしまった業の深さが我々の好奇心を激しく刺激する。

ご存じの通り、以前、TBSで放映された連続ドラマ「積木くずし」の主演は高部知子であった。
下ネタ嫌いの萩本欽一の番組で素朴な三つ子を演じていた高部は、性交後と思しきベッドでの喫煙写真、いわゆるニャンニャン写真を写真誌に掲載され三つ子をクビに。その後は「告白ハンパしちゃってごめん」という身も蓋もないタイトルの本を出すわ、局部ピアスヘアヌード写真集を出すわ、通信教育で慶應大学文学部哲学科に入学するわと、ハンパしちゃうどころかハンパじゃなく波瀾万丈な芸能人生だ。これもまた業の深さを感じさせる。
そういえば、ドリュー・バリモアや宮脇康之のように、人気子役は一般人が想像もできないような世にも怖ろしい子ども時代を送ることがしばしばあるようだが、今回の「積木くずし真相」で母親役を演じる杉田かおるも自伝「すれっからし」によれば相当歪んだ子ども時代を送ってきたらしい。

と、かように業の深さをまさに積木のように着実に積み重ねていった挙げ句、その頂点にすっくと立っているのが安達祐実である。
高部や杉田のような壮絶なエピソードはないかもしれないが、はたちを過ぎても人気子役だった頃のイメージそのまんまの顔立ちやその童顔に似合わぬ豊満な胸元を見るだけで、なにやら妖しげな気分に陥ってしまう。目が離せない。たとえ「黒田アーサーと交際宣言&破局」というマヌケ感漂うエピソードにしても、安達の摩訶不思議な魅力を損なうことはない。「なんでまた黒田アーサー」というワケのわからなさすらも安達の業の深さに箔をつけるのである。

さて、そうこうしているうちに「積木くずし真相」放映まで6時間を切った。もう居ても立ってもいられない思いの同志諸君よ、あと6時間の辛抱だ。
録画の準備は整った。もちろん明日放映の後編も既に録画予約済みである。
亡くなった穂積の娘さんの冥福を祈りつつ、これに関わる人々の業の深さが連なって形作られる積木の塔の果てしなさを堪能しようではないか。【み】

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