芸能界“ブス”枠一人勝ち

一般的に“ブス”というキーワードでくくられ女性タレントたちがいる。
顔の美醜というのは多分に好みの問題もあるので、どこまで“ブス”でどこから“ブス”じゃないかというとこれが非常に難しいわけだが、たとえば久本雅美、山田花子、北陽の虻川といった面々である。
トーク番組ではオチとして使われ、「彼氏ほし〜い」「結婚した〜い」といった台詞を叫べば、まわりから「無理」とか「自分の顔見てからモノを言え」などとお約束のようなレスポンスが速やかに返ってくる。

だが、彼女たちに共通しているのは、「ブスだけど天然」「ブスだけど素直」「ブスだけど一生懸命」「ブスだけど健気」(=「だから意外とカワイイ」)という認識をも一般的にされているということである。
「きれいだけど冷たそう」「生意気そう」などと揶揄されることもある美人系タレントよりも、かえって人気を集めてしまうことすらある。

しかし、そんな一般人の生ぬるい認識など、木っ端微塵に打ち砕く者がいる。
光浦靖子である。

彼女もまた“ブス”という記号を発信しつつ、バラエティ番組で活躍しているタレントの一人だが、東京外語大卒という高学歴、教師にチクりまくる学級委員だったという過去のエピソード、「あたしなんてどうせ」といった世をすねたようなスタンスなどから、「天然」「素直」「健気」といったプラスの要素は全く見ることができない。ちなみに、1/8に放送された「壮絶バトル2004芸能界こんなモノいらない!?」(日本テレビ)では、「ブスだけど性格も悪いと言われます」と語っていた。

中年、壮年になった女性が図々しく猛々しくなるパターンは、一時の熟女猛女タレントブームで散々見た。
しかし、光浦の世代においては、“性格の悪いブス”というパターンで売っているタレントは希有である。
小賢しく生意気でひねくれた性格の悪いブス。
可愛いブスも確かに悪くないが、光浦には是非この茨の道を歩みつづけていってほしいものである。現在、光浦は芸能界ブス枠一人勝ちといっても過言ではないのだから。
なお、彼女の性格の悪さという持ち味は、著書「すっぱだかで反省文。」(河出書房新社)でも遺憾なく披露されている。どんよりとした読後感が残るナイスなエッセイである。【み】

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