「THE SECOND」お笑い通もすなる優勝予想投票といふものを吾もしてみむとてするなり

いよいよ明日は「THE SECOND~漫才トーナメント~」決勝戦が行われる。
「THE SECOND~漫才トーナメント~」というのはこういう大会だ。

“結成16年以上”の漫才師たちが渾身のネタでしのぎを削る新・漫才賞レース。実力や才能はあっても、出場できる賞レースがないため、ブレイクのきっかけが見出せない…そんな漫才師たちに“セカンドチャンス”をつかんでほしいという願いを込めて、フジテレビが立ち上げる新たな大会だ。

THE SECOND~漫才トーナメント~ – フジテレビ

M-1グランプリ(結成15年以内の漫才師)、R-1グランプリ(ピン芸)、キングオブコント(コント)、The W(女性芸人)と、現在、数々の地上波民放キー局で放送されるお笑いの大会があるが、この「THE SECOND」はこれらに続く、いわゆる“お笑い賞レース”の1つになるかもしれない大会なのである。

目次

フジテレビの気合

M-1の現在のMCは今田耕司だが、「THE SECOND」はWコージのもうひとりである東野幸治。
M-1の審査員には松本人志が名を連ねるが、「THE SECOND」は松本人志が「アンバサダー」という肩書で出演する(審査はしないらしい)。

漫才の、というか、お笑い賞レースの頂点がM-1なら、M-1出場資格を失ってからの漫才師の頂点は「THE SECOND」だ!……という作り手の「気合」が感じられるキャスティングである。

総合演出の日置祐貴氏によると、M-1との区別化を図るため、3つの変更点があるのだという。

漫才そのものは変わらないので、見せ方ですよね。そこは3つの点で、大きく変えました。ひとつはネタ時間6分に延ばすこと。もう1つは1対1の対決方式にすること。そして、審査員をプロの漫才師ではなく一般のお客さんに任せることです。

【決勝直前】漫才賞レース・THE SECOND 制作陣に聞いた「ネタ時間6分」「100人の観客審査」「アンバサダー・松本人志」の意図|NEWSポストセブン

「プロの芸人が納得できる審査員」というのはM-1におけるキモのひとつだが、これを取っ払ってしまうのだという。また、パフォーマンスが終わるたび採点するシステムではなく、“タイマン勝負”を採用した。
ネタの尺がM-1の4分から2分多い6分に設定されているのも大きいと思う。6分ってかなり長いよね。

てっきり「M-1に出られなくなった漫才師のための第2のM-1グランプリ」という位置づけだと思っていたが、この様子ではまるで違う大会だ。
どちらもWコージがMCを務めるとはいえ、今田耕司と東野幸治はMCとしての資質がまったく異なるわけで、セカンドM-1的なるモノを期待して見ると思いきり肩透かしを食らいそうだ。

優勝予想投票受付中

Twitterの「THE SECOND」のオフィシャルアカウントを見たところ、明日の決勝を前に優勝予想を募集している。
これは参加せねばなるまい。
というわけで、優勝コンビを予想するべく、この記事を書いているのだった。

明日の決勝に進出するのは、以下の8組である。
贔屓のコンビあり、苦手なコンビあり、いずれも味のある漫才師揃いで、これは予想が難しい。

  • 金属バット
  • マシンガンズ
  • スピードワゴン
  • 三四郎
  • ギャロップ
  • テンダラー
  • 超新塾
  • 囲碁将棋

芸のことなどからきしわからぬド素人ゆえ、優勝に繋がるファクターをド素人なりに考えてみたい。トンチンカンでも怒らないでね。

  1. 初代優勝者としてふさわしい漫才師であること
    初代の優勝者がこの大会のカラーを決める(と思う)。
    また、優勝の瞬間が今後何度もメディアで取り上げられることになるはず。
    華やかさ、あるいは感動、もしくは爆笑をもって、この優勝シーンを盛り上げそうな漫才師が選ばれる、ような気がする。
  2. この大会のルールにマッチした芸風であること
    今大会の漫才ネタのルールとして、「著作権、著作隣接権、肖像権、名誉、プライバシー等、第三者の権利を侵害、または侵害を助長するもの」「公序良俗に反する、または誹謗、中傷、差別、暴力、わいせつ、性描写等、一般に不快感を与える内容が含まれるもの」が禁じられている(公式サイトより)。
    暴力的なネタ、相方を激しく殴ったり蹴ったりするツッコミ、きわどすぎる下ネタは不利(とはいえ、予選を勝ち抜いてきたのだから、このルールに抵触する漫才師は決勝のステージにはいないはず)。
  3. ストーリーやドラマがあること
    M-1での苦労譚、コンビの絆、事務所の先輩芸人や後輩芸人にまつわる泣ける話、解散の危機など、ネットニュースで見出しになりそうなエピソードを持っていることが有利に働く、かもしれない。
  4. フジテレビと吉本興業との関係性
    この大会、実は「フジテレビ開局65周年×吉本興業110周年」と銘打った特番である。
    そりゃやっぱり初代チャンプは吉本から出したいと思うのではなかろうか。制作者サイドは。
    そして、フジテレビに貢献している漫才師が優勝したら開局65周年も盛り上がるに違いない。
    ちなみに、お笑い4大賞レースの初代優勝者は全員吉本所属の芸人だ(M-1:中川家/R-1:だいたひかる/KOC:バッファロー吾郎/The W:ゆりやんレトリィバァ)
  5. M-1グランプリとの差別化
    M-1とは異なるレギュレーションで開催するわけだから、優勝者だってM-1とは一味違う漫才師を選びたい(ような気がする)。M-1でファイナルステージに進めなかった漫才師や、M-1では話題にあがらなかった漫才師は有利(かもしれない)。

準決勝まで予想してみる

金属バット(2007年4月結成/吉本興業)×マシンガンズ(1998年4月結成/太田プロダクション)

①これは本当に単なる印象でしかないのだが、優勝が決まった瞬間、盛り上げるタイプには見えない金属バット。照れるかふざけるか(だがそれがいい)。一方、西堀と滝沢は涙を流す絵がありありと浮かぶ。というわけで、マシンガンズに1ポイント。
②金属バットは友保の荒っぽい言葉遣いやふてぶてしい態度とは裏腹に、存外穏やかにネタを進行するコンビ。マシンガンズの若い頃の“悪口”漫才は一見過激だったがテンポの速さとキレの良さがそう見せているだけで、実際はこちらもマイルドだった。恥ずかしながら今年の漫才はまだ見ていないので昔の印象で評価した。申し訳なし。というわけでドロー。
③マシンガンズといえば、滝沢は今やゴミ収集のオーソリティとして大活躍だが、漫才師としては苦労人のイメージ。もし優勝したらストーリーてんこもりの予感。一方、金属バットのバックストーリーは堺市立工業高等学校の同級生というあたりに掘り出し物がありそう。しかし、ここは旬の滝沢に1ポイント。
④吉本興業所属の金属バットに1ポイント。
⑤下馬評に反してついにM-1ファイナリストになれなかった金属バット。関西圏以外のお笑いマニアの視聴者にとってはギリギリ新鮮味もあると思う。一方、M-1色のない9年先輩のマシンガンズの意外性も有利。というわけで、双方に1ポイントずつ。

【第1試合予想】
金属バット2ポイント VS マシンガンズ3ポイント。
というわけで、第1試合の予想はマシンガンズ。両方とも大好きなコンビなのでここでどちらかが落ちてしまうのはホントにホントに残念すぎる!

スピードワゴン(1998年12月結成/ホリプロコム)×三四郎(2005年5月結成/マセキ芸能社)

①優勝決定の瞬間に号泣するスピードワゴン。優勝決定の瞬間に呆けたような表情で涙を流す小宮とニコニコする相田。いずれもおおいに盛り上がるはず。というわけで両コンビに1ポイントずつ。
②いずれもオーソドックスな標準語で(スピードワゴンは愛知県出身、三四郎は東京出身)、きわどい下ネタや暴力的なツッコミはほぼなし。こちらも両コンビに1ポイントずつ。
③例の小沢節が炸裂して華々しく翌朝の新聞の見出しを飾る未来が見えないわけではないが、昨年のM-1で盟友ウエストランド井口の優勝を見て声を上げて泣いていた小宮の姿が印象深すぎる。よって三四郎に1ポイント。
④いずれも非吉本なのでドロー。
⑤2002年、2003年のM-1ファイナリストのスピードワゴンに対し、ついに決勝に手が届かなかった三四郎。問答無用で三四郎に1ポイント。

【第2試合予想】
スピードワゴン2ポイント VS 三四郎4ポイント。
というわけで、第2試合の予想は三四郎

ギャロップ(2003年12月結成/吉本興業)×テンダラー(1994年6月結成/吉本興業)

①決勝戦で一番のベテランのテンダラー。涙々のガッツポーズ、あるいは抱き合ってしゃがみこんでしまう様子がまざまざと想像できるのでテンダラーに1ポイント。
②いわゆる正統派の2組。これといった問題もなく両コンビに1ポイントずつ。
③芸歴29年のテンダラーにドラマがないわけがない! というわけで、テンダラーに1ポイント。
④いずれも吉本なので両コンビに1ポイントずつ。
⑤ラストイヤーにM-1ファイナリストになったギャロップ、準決勝どまりだったテンダラー。これもテンダラーに1票。

【第3試合予想】
ギャロップ2ポイント VS テンダラー5ポイント。
というわけで、第3試合の予想はテンダラー

超新塾(2001年10月/ワタナベエンターテインメント)×囲碁将棋(2004年4月/吉本興業)

①大人数で泣いたり抱き合ったりで盛り上がること間違いなしの超新塾。初代チャンプとしてしっくりくる正統派漫才コンビの囲碁将棋。両チームに1ポイントずつ。
②正反対の芸風の2組だが、いずれもルールに抵触するイメージゼロ。文句なしで両チームに1ポイントずつ。
③もしも超新塾が優勝したら、アメリカ人初の日本の大型お笑い賞レースチャンプ誕生なのでは? 一方、ここ数年、あちらこちらでいじられるようになった根建&後輩に慕われている囲碁将棋というエピソードの数々で吉本的にドラマティックな展開が用意されている気がするので、両チームに1ポイントずつ。
④吉本所属の囲碁将棋に1ポイント。昭和時代から続くフジテレビとワタナベエンターテインメントとの関係性は今もかなり深いであろうと推測して超新塾にも1ポイント。
⑤超新塾がCOWCOWとジャルジャルを破って決勝戦に進出した奇跡。これぞ「THE SECOND」ではなかろうか! というわけで超新塾に1ポイント。

【第4試合予想】
超新塾5ポイント VS 囲碁将棋5ポイント。
というわけで、第4試合の予想はドロー
よって、超新塾囲碁将棋は2組とも優勝候補として保留。

優勝まで絞りきれない!

さて、マシンガンズ、三四郎、テンダラー、囲碁将棋、超新塾が残った。
いや、これ以上絞れないって!

私が日頃より推しているのは、マシンガンズ、三四郎、超新塾。
超新塾が優勝したらさぞ痛快だろうなあとは思うが、キラキラした紙吹雪を浴びる5人の姿がどうしても想像できない(でも見たい)。

テンダラーと囲碁将棋は吉本興業だし、誰が見ても巧いと思うわかりやすい漫才、技術的にもドラマ的にも文句なしだろう。
ただし、「THE SECOND」が4大お笑い賞レースのように初代チャンプを吉本芸人にするのなら、の話。
もし、「なんや、吉本興業110周年記念番組なのに、優勝者は吉本芸人ちゃうんかい」とエンディングで東野幸治がボヤく絵が撮りたいというような自由な制作現場なら、他事務所のチャンピオンも期待できるわけである。

そこで苦しまぎれの予想がこれ。

本命:マシンガンズ
対抗:三四郎
大穴:超新塾

いや、これではTwitterの優勝予想に投票できないのよ。1組に絞らなくちゃダメなのよ。
でも、どの漫才師も実力派だし、何より大事なのは本番の出来不出来だし。
今、選べるわけがないじゃない。ねえ。
とりあえずマシンガンズで投票してみる? いや、三四郎が優勝して予想をハズしたら今年1年ずっと後悔すると思う。いわんや超新塾においてをや!
ああ、迷う。迷うよ!

決勝戦の放送は明日5月20日(土)19時からフジテレビ系全国ネットの生放送。
明日は、(ほぼ)誰が優勝しても泣いてしまう自信がある。
新しい賞レース、新しいチャンピオンを見るのを楽しみに、今夜はあれこれ頭を悩ませよう。
予想投票は明日の19時まで!【み】

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