3月28日放送の「上には上がいる!」(TBS)の中で、ものまねレパートリー数No.1を競う「ものまねニュースターレパートリー王決定戦」というミニ大会が行われていた。
参戦したのは以下の4人。
- レッツゴーよしまさ(素の志村けん、ひとりドリフ、美川憲一など)
- JP(松本人志など)
- よよよちゃん(J-POP歌まね)
- ハリウッドザコシショウ(ものまね2兆個)
そして、審査をするのは、「麻布十番ものまねショーパブリトモ」座長のおおともりゅうじ氏、ものまね芸能事務所「ジンセイプロ」代表取締役の今野仁誠(ダンシング谷村)氏、ものまね番組の振付師を25年担当する振付師のめるも氏という渋すぎるメンツ。
この3人が座っている目の前で芸人達は1ネタずつものまねを披露するという、まるでものまねショーパブのオーディション風景みたいなシーンが展開される。そして、ものまねが似ていれば審査員が「 」の札を出し3人「 」が揃えばレパートリーとして「認定」されるシステム。
歌ものまね、喋りものまね、音ものまねなどさまざまなジャンルのネタが次々に披露され、最終的にはレッツゴーよしまさとの一騎打ちを制したJPが優勝。
これはレパートリー数の上限を見せたい企画なので、そのままJPはものまね続行。なんと収録時間12時間を越えてもまだJPはものまねを続けるのだが、「番組の予算が尽きた」ということで「キリのいい500個」で終わらせることに。
ものまね実力者達のものまねを「ものまねをわかっている」審査員が審査する様子を見る。これほど楽しいことがあろうか!
しかし、収録時間12時間オーバーともなれば演者も審査員も疲れて集中力を欠いてくるだろうし、同業者からの推薦なしに参戦した設定のザコシを「ダメな人」として粗く扱う演出にはうんざりした(ザコシは実は結構なものまね巧者なのだが、1ネタ目の長州力以外はマジメにものまねをしなかったのはこの後別の仕事でも入っていたんだろうと思って見ていたよ!)。
そして私は思ったね。
こんな感じのものまねグランプリが見たい! と。
現在、民放キー局で放送されているお笑い界のビッグタイトルは、結成から15年以内の漫才師による「M-1グランプリ」(朝日放送/テレビ朝日)、2人以上のコントグループによる「キングオブコント」(TBS)、芸歴10年以内のピン芸人による「R-1グランプリ」(フジテレビ)、女性芸人によるジャンル不問の「女芸人No.1決定戦 THE W」の4つ。1局につき1GP。
ちょっと待て。
まだ1局余っているではないか。
そうだ、我らのテレビ東京が残っている!
テレ東でものまね-1グランプリを開催しよう!
かつては「全日本そっくり大賞」という特番が放送されていたが、今は特にものまね番組を持っていないと思われるテレ東。
この際、局の垣根を越え、ものまね専門の芸人もものまねが得意な芸人やタレントも動画サイトで配信している素人も全部横並びにして審査する大会を放送してほしい。
もちろん「M-1」など4大大会のように、エントリー受付→予選→敗者復活→決勝というガチな形式で。
さあ、今こそ、ものまね統一王者戦を!
ただ、今回「ものまねニュースターレパートリー王決定戦」を見て感じたことだが、審査員全員にすべてのネタのネタ元がわかる人物を配するのはとても難しいことなのではないだろうか?
俳優、歌手、芸人、アイドル、スポーツ選手、政治家、アニメ、映画、テレビドラマ、バラエティタレント、ユーチューバー…昭和から令和までのありとあらゆるジャンルのものまねを本当に似ているか似ていないかを判断でき、なおかつ審査員としてコメントができる人材が一体どれほどいるというのか。
たとえば「M-1」決勝戦のファーストラウンドの場合、審査員ひとりにつき100点を持っていて、1ネタごとに1点〜100点の中で採点し、審査員全員の点数を足したものが得点となる。
このシステムでものまねの審査をすると、ネタ元がわかった上で巧拙を判断して採点する審査員と、ネタ元がわからないため周囲の反応や演者の歌唱力などからとりあえず採点する審査員の点数が合計されるわけで、これはどう考えても不公平。
そこで私が考えたのが、「わかる審査員点のみの平均点」システムだ。
たとえば「浜崎あゆみ」のものまねが演じられたとする。
審査員Aは浜崎あゆみをよく知っていて「とても似ている」と思い95点と採点。
審査員Bは浜崎あゆみはなんとなくわかるので「割と似ている」と思い90点と採点。
審査員Cは浜崎あゆみの大ファンなので「細かいところが全然違う」と思い74点と採点。
このものまねの得点はA+B+C=259点ではなく、3人の平均点の86.3点となる。
あるいは「東海オンエアの虫眼鏡」のものまねが演じられたとする。
審査員Aは東海オンエアを知っていて「なかなか特徴をとらえている」と思い92点と採点。
審査員Bは東海オンエアが好きで「これはちょっと違う」と思い79点と採点。
審査員Cは東海オンエアを知らないので採点をパスして無採点。
このものまねの得点はA+B+C=171点ではなく、3人の平均点の85.5点となる。
あるいは「三船敏郎」のものまねが演じられたとする。
審査員Aは三船敏郎を知らないので採点をパスして無採点。
審査員Bも三船敏郎を知らないので採点をパスして無採点。
審査員Cは古い邦画が好きなので三船敏郎を見たことがあり「雰囲気が出ている」と思い92点と採点。
このものまねの得点はA+B+C=92点ではなく、3人の平均点の92点となる。
幅広い年齢層の「ものまねがわかっている」審査員を10人も集めれば、この平均点システムで不公平感はだいぶ減じるのではないかと思う。
審査員にはネームバリューよりも演者やものまねファンが納得できる人達が良い。
「M-1グランプリ」にそれができているのだから(賛否両論が巻き起こる審査員もいるにはいるがそれでも「出場する漫才師が納得できる審査員」という大会スタート時の志は続いている)、ものまねの大会だってやればできるはず。
場を盛り上げるためのにぎやかなバラエティタレントや“番組に華を添える”天然ボケ担当の若手女性タレントは要らない。自分の知っている情報をやたらとひけらかす小賢しい系のインテリ風タレントも勘弁してほしい。
審査員席は地味で結構。
キャリアと風格はあるがものまねに対する愛情や関係性は特に感じられない審査委員長もノーサンキューだ。
また、歌まねと喋りのまねを同列で審査するのも難しいと思う。漫才とコントが混在する大会のようなものだ(4大大会では「The W」がその形式)。
どうせならこの2つは別ジャンルとして大会を分けたい(私が見たいのは「喋りものまね」の大会)。
もうひとつ難問が残っている。
大会のタイトルだ。
「ものまね」をローマ字表記にして「MONOMANE」の頭文字をとって「M-1グランプリ」…というわけにはいかないし、「ものまね」を英語にして「MIMICRY」の頭文字を…ってまた「M」じゃん!
そこで英語に弱いワタクシ、検索しました。
「MIMICRY」以外に「IMPERSONATE」という言い回しがあるのね。
よし、これだ!
ものまね民放全局統一王者決定戦 「I-1グランプリ」でいきましょう!
字面は「Hグランプリ」みたいだけど、とりあえずこれでよし。
いや、この大会はホントに実現してほしい。
局の垣根、流派の垣根、事務所の垣根、ショーパブの垣根、プロアマの垣根を越えたものまねチャンプを毎年選ぶ大会が見たい!
テレ東さん、よしもとさん、よろしくお願いしますよ!
テレ東開催がダメなら昭和時代の「ゆく年くる年」や「日本歌謡大賞」のように民放持ち回りという手もある。
そうだ、いっそNHKが開催しても良いではないか!
なお、審査委員長には「ものまねや芸能もろもろをわかっている人」、じゃなかった「ものまねや芸能もろもろをわかっている悪魔」のデーモン閣下を推挙いたします。【み】