テレビをこじらせた東京福袋が書いたノンキなテレビコラム集。

「ヤッターマン」が30年ぶりに復活したけれど…。

本放送を毎週欠かさず見ていたわけでもないし、タツノコプロの独特なタッチのキャラは子どもの頃から苦手だった。
だけど、三悪だけは別である。
特にドロンジョとボヤッキーが素晴らしい。グラマーでセクシーでサディスティックなのに滑稽なドロンジョ。メカ作りの腕は素晴らしいのにセコくて助平でマヌケなボヤッキー。
それまで他のアニメではまず見たことのなかった悪役である。
ボヤッキーがカメラ目線で「じぇーんこくのよーしこーしぇーのみなしゃーん(全国の女子高生の皆さん)」と呼びかけるとか、ナレーションを担当する声優の富山敬が本人の姿でアニメの中に登場するとか、ブタもおだてりゃ木に登るとか、今週のビックリドッキリメカ発進!とか、ヤッターマンがキメ台詞を言った後に瞳と歯がキラーンと光るとか、あら、よく考えると結構好きだったんじゃん。
既成のヒーローアニメの常識を破るパロディ的な要素と、いわゆる“お約束”や悪ふざけがふんだんに散りばめられた当時としては非常に斬新なアニメではあった。

その「ヤッターマン」が誕生30年目にして復活だ!
主人公のヤッターマン(ガンちゃん、アイちゃん)は若手の声優にバトンタッチするが、三悪+悪の親玉ドクロベエは当時と同じ声優が演じるという。これはスゴイ。
30年前ナレーターを務めた富山敬は既に亡くなっていてあの名調子を再び聞けないのが本当に残念でならないのだが、二代目の山寺宏一が富山の喋り方を小器用にマネしつつ無難にこなすであろう。富山敬の飄々とした味は到底出せないだろうが、脳内で山寺の声を富山の声に変換してしまえば良い。山ちゃんすまんな。
とにかく、あのドロンジョとボヤッキーがそのままの声で帰ってきてくれるのだ。これ以上何を望もう。期待するなという方が無理だ。
指折り数えながら1月14日の放送開始を待った。

そして、いよいよ番組スタート。ゆっくり腰を据えて見ようと、HDDレコーダで録画しておいた。
さあ、30年ぶりに発進するヤッターワン!
主題歌はもちろん山本正之作曲の「ワンとほえりゃ(ワン)」という昔通りのアレだ!

……だったんだけど、ねえ。とにかく景気悪いんだこれが。ホントに。
30年前と同じ歌なのだが、唄っているのは山本正之ではなく別の人。世良公則と野村義男の二人による「音屋吉右衛門」なるユニットである。いや、山本正之でなくてもいいんだけれど、なぜ世良公則、なぜ野村よっちゃん。
伴奏はアコースティックギターのみ。唄っているのはしゃがれた声の世良公則。世良公則といえばシャウトするボーカルでおなじみだが、今回は抑えめ、オトナな感じの唄い方。
アニメとしては王道ともいえる月曜夜7時という時間帯のオープニングテーマとは思えない渋さである。
唖然としたまま番組を見始めたのだけれど、主題歌にビックリしすぎて見る気が失せる。ひとまずHDDレコーダの停止ボタンを押した。我らが三悪が活躍するであろう後半はまだ見ていない。

なあ、アニメの主題歌くらい元気よくいこうじゃないか。
野村よっちゃんのアコースティックギターの演奏はおそらく素晴らしいものなのだろうが、今回のアレンジはどう考えてもミスマッチだ。
ここはやっぱり「パーパラッパー!」とか「チャラッチャッチャチャ!」とか、ベタに景気のいいブラスサウンドから始まってほしかった。

いや、今からでも遅くない。
音屋吉右衛門バージョンは復活第一発目の特別のお祝いだったということでひとまず封印し、来週からはパとかチャで始まる元気いっぱいのオープニングテーマにしてほしい。頼む。【み】