「水曜日のダウンタウン」で花開く吉村の特殊能力

水曜日のダウンタウン」(2020年2月5日 / TBS)で検証した「山田勝己に『SASUKE』と言わせずロケするの不可能説」。

“ミスターSASUKE”こと山田勝己、またもや「水曜日」に登場。
今回の説は、3組の芸人がニセの街ブラロケをして、どれだけの時間「SASUKE」と言わせずしのげるかを競うという企画である。

制限時間は1時間。
学芸大学商店街をさらば青春の光(東ブクロ、森田哲矢)、十条銀座商店街をミキ(昴生、亜生)、そしてハッピーロード大山商店街を平成ノブシコブシ吉村崇が担当する。

なんだそれ、である。
「山田勝己に『SASUKE』と言わせず」って、一体どういう街ブラロケだと「SASUKE」と言ってしまうのかが見当つかない。言わないでしょ普通。

ところが言うのである。

一番手のさらば青春の光が山田をカメラの前に呼び込むと、開口一番「ミスターSASUKE山田勝己です、よろしくお願いします」と挨拶してしまったのだ。
そして、二番手のミキも第一声で「ミスターSASUKE山田勝己です」と言われてしまう。

2組ともアウトになった後もロケを続行したのだが、街ブラロケ中に健康やスポーツに話題が傾くとSASUKEばなし、褒められると謙遜してSASUKEばなし、隙あらばSASUKEをぶっこんでこようとする山田勝己。
第一声が「ミスターSASUKE山田勝己です」だとわかったので、ミキからは2アウト制に改めたもののSASUKEの壁は果てしなく高い。

これはもうどうにもならないんじゃないかと思ったところで、最後の挑戦者、吉村が登場。
例の無責任に明るい調子で山田勝己を呼び込む。

早速あの方をお呼びしましょう!
「浪速のターミネーター」、レジェンドと呼ばれてますから。
お呼びいたしましょう、やーまださーーん!

「浪速のターミネーター」というのは「SASUKE」初期の山田のキャッチフレーズだという。
「浪速のターミネーター」と「レジェンド」という2つのワードを強調することで、「ミスターSASUKE」と挨拶するのを回避させる作戦か。

山田がカメラの前に登場した瞬間、吉村は荒業を繰り出す。
なんと、大きな声で「よろしくお願いします、レジェンド! 素晴らしいですね、レジェンド!」などと言いながら山田をぐっと抱きしめてしまったのだ。
そして山田に物を言う間を与えず、「ミスターSASUKE山田勝己です」の挨拶を完璧にブロック。スゴイよ吉村!

「レジェンド」を連呼して今日は「ミスター」ではなく「レジェンド」なのだと思い込ませようとするとか、食べ物を口いっぱいに頬張らせて何も言えなくさせてしまうとか、話題がSASUKE方面に行きかけるとすかさず強引に引き戻すなどのテクニックを駆使した結果、吉村の記録は47分7秒。
さらばが6分57秒でミキが2分14秒だから、ダントツの大記録である。

チャレンジ後のロケバスでの吉村の一言がまたカッコいい。

正面は山田、後ろはSASUKE。表裏一体です。
いやぁ、悔しいなあ。

「こんなロケもうイヤだあ!」とか「二度と水曜に呼ばないでください!」といった無理難題を食らった芸人にありがちなリアクションではなく、吉村は悔しいのである。
なにしろもう少しで制限時間の1時間を達成するところだったのだ。
新たなチャレンジャーを加えた第2弾でぜひリベンジさせてあげてほしい。

そして、番組オンエア直後の藤井健太郎プロデューサーのこのTweetには震えた。

えっ、吉村は「ミスターSASUKE山田勝己です、よろしくお願いします」という挨拶を事前に知ってたんじゃなかったの!?
スゴい。スゴすぎるぞ吉村。

そういえば吉村は、2018年の「生中継先に現れたヤバめ素人のさばき方で芸人の力量丸わかり説」でも、ロケ先の釣り堀に現れた挙動不審の一般人(に扮した俳優)をいきなり強く抱きしめ動きを封じるというスーパープレイを見せていた。
ヤバめ素人の頭を胸に抱きつつ安全な場所へ導き、さらに間断なくハイテンションで喋りながらロケを続行。
スタジオでVTRを見ていたダウンタウン松本も素直に拍手を送った見事なヤバめ素人さばき。

いや、これはつまり何だ。どういう特殊能力だ。
場の空気を読む力? 先を見る力? 面倒を回避する力?

ウチの相方の吉野は、この吉村の特殊能力を「なんとかする力ではないか?」と言う。なるほどそれだな。
番組でスベろうが場が白けようが、うまくいっていない現状を大声とハグと先読み力で打破し、結果なんとかしてしまう吉村は間違いなく格好いい。【み】

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