断片だけ覚えている曲のタイトルを探した話。

このブログを共同で運営・執筆している相方の吉野が急に「ちょっとこれ聴いてくれる?」と言ってきた。
え、なになに? 怖い話? 幽霊とかオバケ? ラップ音的な?

いや、そうではなくて、もう数十年も気になっている曲があってそれをGarageBandで打ち込んでみたので聴いて欲しいのだと言う。
昔、いとうせいこう&TINNIE PUNX(タイニー・パンクス)のライブを見にいった時に高木完のテーマ(ジングル?)に使われていた曲で、その後、東京工業大学の構内でオーケストラ部が演奏しているのを偶然耳にしたそうだ。
しかし、ずっと曲名がわからず長年モヤモヤしつづけているらしい。

というわけで、吉野が記憶を頼りに打ち込みをした謎の曲の断片。
まずはこちらのデータをお聴きください。

「『幸福を売る男』やないかい」とミルクボーイ内海のように自信満々で即答するワタシ。
私の脳内の階段をでっかい羽根を背負った高英男が歌いながら降りてくるのがまざまざと見えた。

そうそう、これこれ…って、いや似てるけど違うよ(高英男バージョンの動画が見つからなかったので芦野宏版で)。
念の為、越路吹雪バージョンもどうぞ。

無念だ。自信満々に答えたのが恥ずかしい。
「ほな『幸福を売る男』ちゃうがなこれ」の心持ちである。

鼻歌で曲を探せるアプリがあるけど、この打ち込んだデータを聞かせてみたらどうかしら。
しかし、吉野が試してみたけれど、何もヒットせず。
何故だ。何故答えてくれないんだSoundHound。

もう一度、吉野の打ち込みデータを聴いてみる。

何だったかな、これ。間違いなくどこかで聴いてるよね。
あー、ほら、フィンガー5にこんな曲がなかったっけ?
ええと、何だっけ、“何とかの噂”みたいな曲。晃じゃなくて妙子がボーカルの。

で、「フィンガー5×噂」で検索して出てきたのがこの曲。
フィンガー5「華麗なうわさ」(1974)。

アメリカでは1973年12月、日本では1974年6月に公開され大ヒットした映画「スティング」のテーマ曲「エンターテイナー」に影響されたラグタイム歌謡。作詞が阿久悠で作曲が都倉俊一。衣装も「スティング」を意識したと思われる1930年代のファッションだった。

いや! いやいや!
コレは全然違うじゃないの。
懐かしかったけど似ても似つかぬ曲だよ。

あっ、じゃあ、コッチか。研ナオコの「うわさの男」(1973)だな。
「うわさ」繋がりで勘違いしたね。同じ時期の曲だしね。
ちなみにニルソンの「うわさの男」とは全くの別物ですよ。

雰囲気はよく似ているけれどコレも違う曲。惜しい。
コレも「華麗なうわさ」と同じく作詞は阿久悠。作曲は森田公一。

そこで「研ナオコ×うわさの男×似た曲」とか「研ナオコ×うわさの男×似ている」とか「研ナオコ×うわさの男×パクリ」とか検索してみたがさっぱりノーヒット。

たぶんシャンソンだと思うんだよね。
そこで今度は「シャンソン×名曲」とか「シャンソン×人気曲」などのキーワードで検索してみるがコレという曲が見つからない。
「シャンソンの名曲ランキング」みたいなページにフランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」が紹介されてたけどそれシャンソンじゃなくない? 知らんけど。

あきらめきれず、何かヒントはないかと再度YouTubeの「うわさの男」のページに戻る。
コメント欄をスクロールしたら、ほらあった!

これっていま聴いたら始まりのところや歌詞の雰囲気はフランスの名曲Paris canailleにそっくりじゃな。YouTube

ビンゴ!

この「Paris canaille」は映画「巴里野郎」(1955)で主演のカトリーヌ・ソヴァージュが歌ってヒットした曲らしい。

というわけで36年来の吉野のモヤモヤはこれにてめでたく解消。よかったよかった。

断片だけ覚えている曲のタイトルを記憶から記憶をたどって探すという作業はとても楽しかった。
それにしても30年も昔にたった2度だけ聴いた曲をうろ覚えで打ち込めた吉野、我が相方ながら凄いな。【み】

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