ひとつのこし系CM

知人から「関東の一つ残し」という言葉を聞いたことがある。
曰く、関東の人間は皿に一つだけ残った食べ物には、遠慮しあって誰も手をださない、という意味らしい。
そのこととはおよそ関係ないのだが、最近CMで「一つ残し現象」とも呼ぶべき傾向が見られるのを発見した。以下にその例を挙げよう。

●大正製薬「コンバット」
「殺虫成分ヒドラメチルノン」の働きでゴキブリが次々と赤く点滅し、昇天していく。しかしCMの最後まで「殺虫成分ヒドラメチルノン」に手をつけないやつが一匹、ヒドラメチルノン喰ったのに死なないやつが一匹いる。

●アース製薬「ゴキブリホイホイ」
成人の儀式になぞらえたCMだが、最後、ゴキブリホイホイに殺到するゴキブリの中、長老は群衆の下敷になってしまい、一匹だけゴキブリホイホイの餌食にならずに済んでいる。

●胃薬のCM(商品名忘れた)
胃のもたれが黒いモヤモヤで表現されている。商品の胃薬を飲むとこのモヤモヤが消えていくのだが、最後まで一部のモヤモヤは残ったままだ。

●P&G「クレアラシル」
「サルファ・メゾルシン処方」によってニキビの脂分が吸い出され、毛穴が乾燥される。しかし脂分を吸い出す模式図では、毛穴の底に脂分が一粒残ったままだ。ああこの一粒の行方が気になるうう。

いずれも薬品のCMであり、商品の効用が完璧でないことを暗に示している。
「コンバットを使ったのにゴキブリがちっとも減らない」「クレアラシルを使ったのに症状が一向に改善しない」といった苦情への事前の対策か? 「いやー、殺虫成分ヒドラメチルノンは強力なんですけど、中には喰わないゴキブリもいるんですよ。CMでそれはちゃんと言ってるんですけどねえ」というわけなのか? もしかしたらPL法対策か? 関係ないって。【吉】

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