「アメトーーク 今年が大事芸人2020」(2020年1月30日 / テレビ朝日)。
いわゆる“お笑い第7世代”の面々や「もっとコンビでテレビに出たい」と願う三四郎、「デビューして20年、ずっと大事」と語るダイアンが、コンビとしての不安や悩み、相方への不満などを語る1時間。
お笑いナタリーより
話の邪魔をしない蛍原とアニキ肌の千鳥をMC席に据えた万全の体制を得て、「アメトーーク」が久々の大スパーク。
どうして「今年が大事」なのか?
霜降り明星 吉本興業 |
M-1グランプリ2018で優勝し売れっ子になったが、M-1グランプリ2019でミルクボーイが優勝し、新チャンピオンが誕生したことで焦りを感じている。
新チャンピオンにあんな角刈りされたら焦りますよ。 |
EXIT 吉本興業 |
本来ならば一発屋として2019年に消えてなければいけないコンビ、皆さんのおかげで生き残れたから今年もがんばりたいというEXIT。チャラチャラした芸風にもかかわらずネタがしっかりしているというギャップをいじる千鳥に困ってしまうりんたろー。。
彼らはネタをしっかりやってる。
軸が。
軸がしっかりしてる。 |
宮下草薙 太田プロ |
昨年ブレイクして年末年始も大忙しだったが、街で絡まれることも増えた。
駅のホームで電車待ってたら、線路はさんで一個向かいのホームから「おいこっち来いよ! ぶっ殺してやるよ!」って。 |
三四郎 マセキ芸能 |
人気も仕事も安定期と思われる三四郎の悩みはコンビのイメージがあまりないこと。「いまだに小宮三四郎っていうピン芸人だと思ってる人がいる」と嘆く相田。
事務所のホームページが「相田周二」というところを「相田商事」って間違えたんですよ。
有限会社になってたんですよ。 |
ダイアン 吉本興業 |
芸歴20年のベテランであるダイアンに、蛍原が「やっぱり『今年こそは』みたいなことですか?」と水を向ける。
デビューしてずっと大事なんです。 |
ダイアンと千鳥
「なんで、席ここなんですか?」と開口一番に後列右端の席に文句を言ったダイアン。
「ここは超若手か裸の芸人が座る場所でしょ」「今日こんなにオシャレにキメてきたのに」などと口々に蛍原に訴える。
そして、この文句を言うくだりは台本通りだったと明かしてしまう津田。台本にあったというその文章が画面に映し出される。

一方、M-1ファイナリストであり大阪で大活躍した後に東京進出したものの迷走…というダイアンとよく似た境遇だった千鳥。
もう東京はあきらめて大阪へ帰りなさいという企画「帰ろか…千鳥」(2014年9月4日)まで作られ崖っぷちだったと語るノブ。
千鳥ノブ
最後にかかった中指だけ太かったんです。
千鳥大悟
加地さんがロケに来てくれない!
「アメトーーク!」の加地倫三プロデューサーが手掛ける「霜降りバラエティ」について、言葉を選びながらもあれこれ不満を漏らすせいや。「加地さんが全然ロケを見にきてくれない」とこぼす。
しかし、加地プロデューサーは「テレビ千鳥」には頻繁に顔を出しているという。
大悟が「もっと加地さんが食いつくような企画をやり」とアドバイス。
千鳥大悟
霜降りせいや
千鳥ノブ
ネガティブの逆転現象
一人で売れてしまってコンビで出る仕事が少ないという草薙の悩み。
たまにコンビで出演しても、宮下が全然喋らないので「宮下が喋った部分をオールカットしたんじゃないか」などとネットニュースになってしまう。
草薙
ネガティブキャラの草薙をなだめる役回りの宮下が、バラエティ番組でうまく活躍できずネガティブになってしまっている。
たとえば、電車で移動の際に席が1つしか空いていなかったら昔は自然に宮下が座っていたのに、最近は「お前座れよ」と言う。それは優しさというよりも、その様子を誰かに見られた場合を心配しての言動だと草薙は分析する。
草薙
宮下
ここで三四郎の相田も宮下と似た立場だという話題に。
三四郎が「小宮の隣にいるスーツは相田」と思われているというエピソードトークを披露。
ヤフオクドームのロケ中に三四郎のファンという人が近寄ってきて小宮に握手を求めた後、隣にいたヤフオクドームの広報担当に握手を求めていたという話に場の空気が和らぐ。
しかし、三四郎の努力も虚しく、宮下は「草薙のおこぼれで出てる感じがすごいイヤで」と、まだネガティブで突き進む。
宮下
草薙
宮下はピンネタは漫談が200本あると豪語する。
千鳥大悟
宮下
何となく出来る芸人風の雰囲気であったり妙にセンスがある芸人風の喋り方など、これまでも他の芸人からちょこちょこいじられていた宮下だが、今回、確実に一段上のステージに上がった感がある。
この何かをこじらせているような雰囲気をさらに掘り進めると意外な宝物が埋まっていたり思わぬ怪物に大変身する可能性があり、今後も宮下草薙から目が離せない。
相方の名を連呼する
「お笑い第7世代」の筆頭格である霜降り明星の番組に宮下草薙は任せようという流れに対し、「宮下は『お笑い第7世代』というくくりは好きじゃないはず」と言うせいや。
それを受けてまたもやネガティブモード全開で喋りだす宮下を、草薙が「宮下、宮下」と叫んで阻止しようとする。
宮下は「お笑い第7世代」について思うところがあるようなのだが、それを言うと場が「物凄い空気になる」と草薙が止めるので、その話はまた次回へ。
続いてEXITは、「最近YouTubeの方が楽しくなっちゃって」という兼近の悩み。
テレビだと若手なのでひな壇のような仕事が多いし、自由に発言できない上に収録時間がとにかく長いのだと訴える。
EXIT兼近
蛍原
だが、兼近は名前連呼をスルー。
「バラエティはワイプ芸が大事」という芸能界の教えについても、「ワイプなんて顔だけ『おおー!』とか『ああー!』とか別撮りにして、それを後から付けろ!」と、テレビバラエティに対する不満が止まらない。
「ワイプで抜かれた時に死んだような顔になっている」「『俺らなんかもう今年いっぱいだ』などネガティブな発言が増えた」「YouTubeの面白くないのを垂れ流す」など、最近のEXITは疲れているように見えると指摘する草薙。
草薙
ネガティブなめんなよ!
荒れるアメトーーク
ニッポン放送の「オールナイトニッポン」で、金曜の1部を三四郎、2部を霜降り明星が担当しているが、「下からの突き上げが怖い」と言う相田。
だが、せいやに言わせれば、ラジオのブースに挨拶に行くと「寝れてる?」などといかにも高飛車な言い方をしてきたり、テレビでのイメージとは違ってラジオの相田は威張っているらしい。
霜降りせいや
ラジオの話題繋がりで、「ラジオで小宮さんが僕ばかりをイジるがイジるべきは自分のポジションを奪いかねない草薙」「恐れる必要のない僕をイジって逃げてる感じ」と宮下からの告発。
三四郎小宮
宮下
だったらイジってみろって、草薙を。
草薙はすぐに「マジでスミマセン」と謝ったが、場は騒然としたまま。
荒れまくった場の処理に困るMC陣。
蛍原
千鳥ノブ
殺気だった空気を変えるため、蛍原はヘンテコな顔をしながらふしぎなおどりを披露するのだった。
「これがバラエティだ」と千鳥は蛍原のダンスを猛アピール。
ザワザワが静まった瞬間、なぜか小宮が真後ろを向いて宮下草薙に何か指示を出している。
我に返った小宮が「あ、ごめんなさい」と謝ると、宮下が小さな声で一言。
宮下
相方への不満
霜降り明星 |
つかんで食ったらええやん。 |
EXIT |
|
宮下草薙 |
じゃあ、一緒に洗濯機のある所に引っ越す? |
三四郎 |
|
ダイアン |
仕事としてちゃんとやろうとは思ってるんですよ! もうやろうとすればするほど、なんかもう、すごく眠たくなるんですわ! ホンマに。
仲良くやろう! |
本日の台風の目
隣には相方宮下、ひな壇には仲の良い同世代の芸人が並び、のびのびと大活躍していた草薙。
タイミングよく立ったり座ったり、話の流れを大きく動かしていた功労者である。
ついでに相方と津田の腹に強めのパンチをキメるという荒業も見せ、この日の台風の目は間違いなく草薙。
荒れに荒れた場がやりきれないという表情で感情的に語るシーンもなかなか良かったし、草薙の語りを止めなかったMCと演出も素晴らしい。
草薙
みんなも、だから仲良くやろうね。
なんか、俺は今日イヤだよ!
すごいピリピリしてて、みんな。
イヤだ! なんかみんな喧嘩すんだもん。
「いやいやいや」とか「いや、みんなじゃないから」などと否定する一同。
草薙
なんかお互いの悪いこと、やめよう、なんか。ピリピリ、喧嘩とか嫌い。
喧嘩とか嫌いなんだよ。喧嘩とか嫌いなんだよ。喧嘩とか嫌いなんだよ。
宮下
霜降りせいや
草薙
一体どこまでがアドリブでどこまでが台本なのか、どこから本音でどこから演技なのか、見るものを翻弄するトリッキーな演出が楽しい。
ひな壇の台風の目は草薙だったが、出来る役回りの者もポンコツの役回りの者もそれぞれの持ち味を発揮した傑作回。
互いに助け合いながらも安易に馴れ合わないヒリヒリした空気の中、局だの所属事務所だのキャリアだのを超え、縦横無尽に繰り広げられたエピソードトークを堪能。
若手芸人ファン、バラエティ番組ファンにとってたまらない1時間だった。【み】
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出演者
MC:蛍原徹(雨上がり決死隊)
ゲスト:霜降り明星(せいや、粗品)、EXIT(りんたろー。、兼近大樹)、三四郎(小宮浩信、相田周二)、ダイアン(ユースケ、津田篤宏)、宮下草薙(草薙航基、宮下兼史鷹)
先輩ゲスト:千鳥(大悟、ノブ)