小林よしひさ、ウィンクまでの道のり

若いママさんたちから熱烈なる支持を受ける佐藤弘道の跡を継いで、この春、「おかあさんといっしょ」11代目体操のおにいさんに就任した小林よしひさ。

さて、先代の佐藤といえば、スタジオの歌のコーナーでの愛嬌あふれる表情や、ファミリーコンサートの体操前のバク転など、さまざまな魅力があるわけだが、特に注目されていたのが、エンディングのウィンクである。
エンディングテーマ「スプラッピスプラッパ」で、歌のおにいさん・今井ゆうぞうと歌のおねえさん・はいだしょうこが両手で作る“虹のゲート”をコドモたちがくぐり、その後、中央に立つ佐藤が「そろそろおしまーい」とコールする。
すると、コドモの顔が映るよう低い位置を狙ったカメラが下手から上手へパン。おにいさん・おねえさんたちはカメラに合わせて腰をかがめたり、しゃがんだりして、テレビの前の視聴者に手をふる。
この場面で、佐藤はしゃがんで手を振るだけではなく、時々パチリとウィンクをするのである。大体、月に3度くらいの頻度で。

サービス精神あふれる佐藤のアドリブかとも思っていたが、4月から出演している「おかあさんといっしょ あそびだいすき」(土8:35)のオープニングアニメでもウィンクを披露しているくらいだから、これはもうNHK公認、番組推奨のウィンクといってよかろう。
初めてウィンクを目撃した時の衝撃は忘れがたい。誰が“NHKの「おかあさんといっしょ」のおにいさん”がカメラに向かって小粋にウィンクをかましてくれるなんて想像しただろうか。

いや、その萌芽はウィンク以前からあったのだ。
“ロゴよけ”である。
私がコレを発見したのは1998年のことだった。
番組の最後に画面に表示される「おかあさんといっしょ」の番組ロゴを、ある日、佐藤はひょいと器用によけて、ロゴのわきから顔を出しつつ手をふったのである。
さすがは体操のおにいさん、見事な運動神経と感心したものだ。

一方、現・体操のおにいさんの小林は、いまだにエンディングの“しゃがみ+カメラ目線”に成功していない。
というのも、小林がまだ慣れていないこともあるだろうが、エンディングが少々変わってしまったせいかもしれない。
“虹のゲート”は歌のおにいさん・おねえさん、「そろそろおしまい」コールは体操のおにいさんという分担だったのが、4月第3週から“虹のゲート”を小林と「ズーズーダンス」のおねえさん・いとうまゆが担当し、「そろそろおしまい」コールをスプーが行うようになったのである。
佐藤時代は、ステージ下手の“虹のゲート”をコドモたちと一緒にくぐった後に自分のタイミングで中央の立ち位置に移動すれば良かったわけだが、今はスプーのコールがあるまで“虹のゲート”の位置から動けない。
つまり、スプーのコールがあってから、“虹のゲート”周辺のコドモたちをかきわけて、中央の立ち位置まで移動しなければならないのである。

しかし、エンディングの分担変更後、移動が間に合わなくて先にカメラが小林の定位置へパンしてしまう日も少なくないが、徐々に定位置でしゃがむタイミングが間に合う日も出てきた。ただし、しゃがむのは間に合っても、残念ながらカメラ目線になっていないため、もう一息という感じである。
まあ、体操部出身の運動神経をもってすれば、“しゃがみ+カメラ目線”成功の日も近いと思われる。番組に慣れてくれば、そのうち“ロゴよけ”の技も鮮やかに披露してくれるに違いない。

そして、これがさらに佐藤のようなウィンクにまで進化するかどうかは、小林自身のキャラクタにもよるだろう。
12年という出演年数に加え、実年齢よりもずっと若く見えるキュートな顔立ちと柔らかな印象の佐藤だからこそのウィンクかもしれない。
佐藤と同様に童顔ながらも、佐藤よりも甘さ控えめサッパリ風味の素朴な風貌の小林が、果たしてエンディングでウィンクする日はくるのか、そして、「つくってあそぼ」のワクワクさんの如き真っ赤なキャップを脱ぐ日はくるのか、今後に注目したい。【み】

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