「おかあさんといっしょ」のラテンの力

今月の「おかあさんといっしょ」の月の歌(1ヶ月通して毎日放送される曲)は、99年度の「かっぱなにさま?かっぱさま」、98年度の「イカイカイルカ」に匹敵する“インパクトソング”「たこやきなんぼマンボ」である。

東京ラテンムードデラックスを率いるパラダイス山元氏作曲による濃厚なるラテンミュージック。
タイトルからもわかるように関西弁を全面的にフューチャリング、歌の合間に聞こえるか聞こえないかという程度の音量での関西弁の台詞がちりばめられ、最後は歌のおねえさん・つのだりょうこの満面の笑顔のアップと共に「おおきに」という台詞で締められている。

たこやきを模したかぶりものを着用したおにいさん・おねえさん(杉田あきひろ、つのだりょうこ、佐藤弘道、タリキヨコ)が、強烈なラテンのリズムにのって乱舞。ビジュアルのインパクトと曲自体のインパクトが相乗効果をあげ、放送直後から当サイトの掲示板で話題沸騰である。

濃いめのメイキャップの杉田とつのだ。“ラテン的なるもの”を意識しているのであろう。杉田はあごヒゲをつけ、つのだはアイラインをくっきりと入れている。
普段は元気な爽やか青年のイメージの杉田、怖いほどにヒゲが似合う。つけヒゲを装着すると、なぜか突如として水を得た魚のようにイキイキとする。いっそのこと、すべてのシーンでつけヒゲをつけてもらってもいいとさえ思う。
99年度から「おかあさんといっしょ」に出演している杉田だが、登場したばかりの頃は緊張しているのかいかにも堅さが目立っており、見ているほうがハラハラしたものだが、ラテン色たっぷりの「ママ・ムーチョ」という曲のミュージッククリップでメキシカンスタイルの扮装に鼻ヒゲをつけ、谷村新司を思わせる表情で粘っこい笑顔をふりまきながら唄い踊って以来、堅さがとれ、番組に馴染んできたように思う。

嗚呼、これぞラテンの力。

「ラテンは江戸時代から伝わる日本の伝統芸能」
これは、米米CLUBのボーカリスト・カールスモーキー石井が、MCで使っていたフレーズである。無論ジョークなのだが、なんとはなしに納得してしまうフレーズではないか。

東京生まれの東京育ち、顔は思いっきり北方系の私だが、ラテンのリズムを耳にすると、思わず踊り出したくなる衝動にかられる。
「おかあさんといっしょ」には、「くるくるマンボ」という佳曲がある。
人形劇「にこにこ、ぷん」で唄われていた曲だが、レトロな味わいの愛らしいマンボである。この曲のサビの部分をきくと、つい殿様キングスの名曲「恋は紅いバラ」を思い出す私。ア、マンボ♪

「おかあさんといっしょ」のラテン系の曲といえば、他にも「だんご3兄弟」「すずめがサンバ」「さるさるさ」などがある。思えば、「おかあさんといっしょ」の大スタンダード「おもちゃのチャチャチャ」もラテンのリズムである。
静かに心にしみいるような歌もいいが、これからも「おかあさんといっしょ」から腰が勝手に動き出す景気のいいラテン系ソングが続々と生み出されることを願ってやまない。【み】

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