1998年4月5日、我々東京福袋は、日頃から懇意にしている3歳児とともにNHKスタジオパークに行ってきた。
折から開催されていた「スタジオパーク・スプリングフェスタ’98」の最終日ということもあり、結構な人出である。
我々の目的は「おかあさんといっしょ」の収録を、スタジオ上部に設けられているスペースから見学することだったのだが、その他にも「にこにこぷん」だの「坂田おさむコンサート」だのと、盛り沢山の催し物があるらしい。
入口を入るといきなりカメラがこちらを狙ってくる。正面の大画面モニタにこちらの姿が大写しになる。
「今、皆様をハイビジョンカメラでお写ししていまーす」
モスグリーンの制服のコンパニオンのおねえさんが喋っている。おっ、待てよ。あの喋っているおねえさんは「くらし発見」の“まるものぞみおねえさん”じゃないか?
吉野「ねえ、あれ、まるものぞみおねえさんじゃないかと…」
みやした「たいへんだ!『おかあさんといっしょ』の収録始まってる! 急げ!」
見学スペースに到着すると、すでに「トライ!トライ!トライ!」の収録が始まっていた。松野ちかの髪の毛はテレビで見るよりも茶色いように感じた。
続いて速水の歌(曲名不明)、4月の歌「せんたくものだゆう」へと続く。
「せんたくものだゆう」の映像に戦慄。速水はいいとしても、なぜ、お姫様のかつらをかぶった茂森に隈取を入れるか。
面白いのは、子供を連れてやってくる母親たちはほぼ決まって「きてごらん、○○ちゃん。れっしーがいるよ」と「れっしー」の名前を出すのだった。母親に人気だな、れっしー。いよっ、マダムキラー。
「どれみふぁ列車」が終わり恒例の撮影会になる。一昨年見学した時と同様に、やはりカメラの横でへびくん・ぶたくんのコンビが幼児たちの注意を引く。
へびくんは以前来た時は筒状の容器に入れられていたが、あの蛇筒は古くなったのか、今回は袋に入れられていたのが印象的だった。って、印象に残すなそんな下らないこと。それにしても、さっきのは“まるものぞみお姉さん”じゃないのかなあ。
と、いまだ“のぞみお姉さん”に心を残す吉野を連れ、16時から始まる坂田おさむおにいさんのコンサート会場へ。
開演まで少し時間があったので会場の外に出ていると、廊下の彼方からこちらに向かってくる大きな3つの影が。
おお、じゃじゃまる・ぴっころ・ぽろりではないか!
デカい。3匹は黙々と、しかし愛想をふりまきながら入口前のロビーに向かう。
「ちょっと、じゃじゃまるを見せてくるから」と言って、吉野は3歳児を連れてロビーへ。しかし、吉野の真意はさっきの女性が“のぞみお姉さん”だったかどうか確かめることにあったのだ。どうだ、この深謀遠慮。まいったか、みやした。
じゃじゃまる・ぴっころ・ぽろりがロビーでひとしきり歌ったあと、子供たちといっしょに撮影会が始まった。我々が懇意にしている3歳児は、ぽろりにしがみついていた。
この時、この催しとは無関係に、なぜか舞台の袖から、映画のサウンドエフェクトの物真似でおなじみの(おなじみなのか?)ケント・フリックが覗いていた。
16時になり、コンサートが始まる。
世間慣れしてなさそうなピエロのお兄さんが、ひとしきり芸を披露した後、お待ちかね、おさむおにいさんの登場である。
毎度おなじみの「おさむおにいさんですぅ。ホ・ン・モ・ノです」という挨拶から始まり、「どんな色がすき」など一連の坂田ソングを歌う。
途中から「おかあさんといっしょ」14代目歌のおねえさん・しゅうさえこおねえさんが登場。坂田&しゅうの「公園にいきましょう」というレアなナンバーに大満足。
月刊誌「NHKのおかあさんといっしょ」のインタビューにも載っていたが、「公園に(ハイ!)いきましょう」の部分は、当初「Let’s go to the Park」という英語の歌詞だったがボツになったという話を本人の口から聞けたのは得難い収穫であった。
コンサート終了後、みやしたはさっこおねえさんに握手をしてもらったが、印象通りふっくらと柔らかい手であった。
で、結局のぞみおねえさんの謎はどうなったんだ、吉野。わかったんだろうな?
「いや、それが、わかんなかったんだけど。本人に聞いてみればよかったなあ」……というわけで、なんとも中途半端なまま、レポートを終わるのだった。【福】