このブログでは、主に昭和期に製作された英映画社 (1927-2009) の作品およびチラシの画像を紹介しています。古い資料が多く文字がつぶれて読みにくい箇所があるため、文字起こししたテキストを添えています。
なお、当時と現在では考え方やさまざまな環境が違うこともあり、今見ると非常識に思える部分がありますが、歴史的な資料として、誤字や旧仮名遣い等も含めできるだけそのままの形で掲載しておりますことをあらかじめご了解ください。また、掲載されている住所や連絡先は当時のものですのでご注意ください。
データ
「火事と子馬」
1978(昭和53)年
企画:日本損害保険協会
製作担当:株式会社 英映画社
カラー22分
製作 | 高橋銀三郎 |
脚本監督 | 高木一臣 |
撮影 | 稲谷正一郎 |
動画 | 安彦良和 |
音楽 | 丸山雅仁 |
現像 | 東洋現像所 |
製作担当 | 長井貢、山浦勇一郎 |
声の出演 | 吉:野沢雅子 はる:野村道子 獣医:緒方賢一 普源寺の和尚:加藤修 源じい:永井一郎 留吉:山本圭子 (協力 青二プロ) |
動画
NPO法人科学映像館様が配信しているYouTube動画へのリンクです
チラシ
チラシのテキスト(文字起こし)
幼い心に芽生えた動物への愛の、感動のものがたり
製作意図
このアニメーションは、民話の世界を舞台としながら、新しい感覚で子どもと動物の美しい友情を描いたものです。
生命尊重と、他人への思いやりや、正義をつらぬく有機などを、幼い心に鮮やかに印象づけようとするものです。
ものがたり
小坊主の珍念は今日も鐘楼で居ねむり、カラスのクロが和尚さんの来たことを知らせたが、間に合わず大目玉を食う。
村のわんぱくたちは、栗をおとしたり、芋を掘ったりして焚火で焼くのに夢中だ。のどかな昔の農村——。
吉の家に子馬のシロが生まれた。可愛い姿に吉は大喜び、ところがどうしたことかシロは何日たっても立ち上れない。大人たちは生まれつき足が悪いのだから、可哀想でも今のうちに殺した方がいいと云う。
吉は馬小屋に寝泊りして介抱する。元気なシロと力いっぱい野原を駆けまわる夢をふくらませているのだ。仲よしのハルも心配して見舞いにくる。
晴れた日の草原、吉とハルはシロの大好きな人参を手に、シロの訓練をした。「さあ立つんだ、立てなかったら殺されてしまうんだぞ」。シロは全身の力をしぼって遂に立った! だがたちまち転げて、もう立つことはできなかった。吉とハルの泣声が草原に響く。
その夜、わんぱくたちの焚火の残り火が、強風にあおられてハルの家の屋根に飛んだ。
騒ぎに気づいたシロに起こされて、吉が飛出して見ると空が真赤だ。
駆けつけた村人の前で、ハルの家は火に包まれてゆく。ハルはまだ中にいるという。半狂乱になったハルの父母。
心配して立ちつくす吉、その時、白い子馬が駆けてきて火の中に消えてゆく、「アッmシロだ!」
焼け跡からハルが無事、救い出された。しかしシロの姿は何処にもなかった。
シロの墓に吉とハルが手を合わせていると、カラスのクロが飛んできて手招きする。ついていった二人は、丘の下に奇跡のような情景を見た。沢山の馬に混って草を食べる一頭の白い子馬を!
「シローッ」吉の絶叫に驚いて駆け出す群の中で、子馬はふり返ってなつかしそうに吉を見るが、やはり群を追って走り去ってゆく。吉の涙の笑顔が叫ぶ「シローッ、さようなら」。