「おすしのピクニック」振付考

放送開始早々、当サイトの掲示板はもちろんのこと、ネット上のあちらこちらで話題騒然の「おかあさんといっしょ」の11月の歌「おすしのピクニック」。12月も継続して放映中である。

元P-MODELの平沢進作詞・作曲の10月の歌「地球ネコ」のインパクトも相当なものだったが、「おすしのピクニック」のビジュアルのインパクトはそれどころではない。
おにいさん・おねえさんたちが、白の全身タイツに身を包み、眉は極太、ほっぺには丸く真っ赤な頬紅、志村けんみたいな白塗りのメイクで寿司ネタを背負って、楽しげに踊りまくるのである。
先代の「もぐらトンネル」でのつのだりょうこおねえさんの土木作業員姿、先々代の「イカイカイルカ」での茂森あゆみおねえさんのイカの着ぐるみ姿のインパクトを軽々と凌駕したとみた。

この歌には「ハイ!」という合いの手が入るのだが、その際、右手を顔の横あたりに出して「ハイ」のポーズをキメる。その直後、「おすしのピクニック」と唄いながらフォークダンス風の振付になるのだが、1番は握り寿司、2番は巻き寿司、3番は軍艦巻の扮装をしている一同、動きにくそうなことこの上ない。

想像するに、この振付は衣装を見る前に作ったものではなかろうか。
劇団四季に在籍していたことのある歌のおにいさん、今井ゆうぞう。宝塚出身の歌のおねえさん、はいだしょうこ。元体操選手でダンスも巧みにこなす佐藤弘道。ジャズダンスのステージに立っていたという「デ・ポン!」のおねえさん、タリキヨコ。
彼らのダンスのキレの素晴らしさは、日頃から見慣れている。普段の「おかあさんといっしょ」のおにいさん・おねえさんなら、この程度の振付は軽々とこなすはずだ。

衣装をつけずに振付の練習をしている時は、何も問題なかったのだと思う。皆、振付師の指示通りに軽快に踊っていたことだろう。しかし、いかにも動きにくそうな寿司コスチュームを身にまとった途端、「ハイ!」から続く振付がワンテンポ遅れるようになってしまったのではないか。
滑稽味を出すためだと思われるが、むやみに頭を左右にひょこひょこ振ったり、ぎくしゃくしたロボットのような動きで踊る振付である。
だから、「ハイ!」から続く振付がワンテンポ遅れるのも、振付師の計算のうちなのかもしれない。
だが、何度見ても、この部分だけは不自然なのだ。気になって仕方ない。【み】

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