ゼッキノ・ドロってなあに?

「おかあさんといっしょ」やNHK教育テレビの夕方の番組の中で時々オンエアされる一風変わった子どもの歌に「ゼッキノ・ドロ入選作」とクレジットされていることがあります。
何の説明もなくいきなり「ゼッキノ・ドロ」とか言われても。入選ということは何かの賞なの? モンドセレクション金賞みたいなもの?(まさか!)……ということで、「ゼッキノ・ドロ」について少し調べてみました。
「ゼッキノ・ドロ」はアナタの身近に意外といるかも?

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ゼッキノ・ドロってなあに?

この「ゼッキノ・ドロ」という耳慣れない言葉の正体は、イタリアで開催されている子どもの歌の国際音楽祭。音楽祭がスタートしたのが1959年なので、我らが「おかあさんといっしょ」とちょうど同い年ということになりますね。
入選曲はやはりご当地イタリアの曲が多いのですが、シリア、イギリス、ポルトガル、ガーナ、ドイツ、グルジア、ボリビアなど、世界各国からエントリーされているようです。 ちなみに「ゼッキノ・ドロ」(Zecchino d’Oro)とは、イタリア語で「金の硬貨」という意味だそうです。

ゼッキノ・ドロ発最大のヒット曲

ゼッキノ・ドロ入選作で一番有名な曲といえば、1970年に大ヒットした皆川おさむさんの「黒ネコのタンゴ」(B面の「ニッキ・ニャッキ」もゼッキノ・ドロから生まれた曲です)。

「黒ネコのタンゴ」の原題は「VOLEVO UN GATTO NERO」。
イタリア語で”VOLEVO”が「私は欲しかった」、”GATTO”が「猫」、”NERO”が「黒」。”UN”は英語の”a”(one)ですので、そのまま訳すと「黒い猫が欲しかった」となります。
日本版のサビの「黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ」の部分は、”Volevo un gatto nero, nero, nero”。「♪黒猫欲しいよ、黒、黒」という感じでしょうか(原曲の歌詞の中に「タンゴ」という言葉は出てきません!)。

ちなみに、1999年の「だんご3兄弟」ブームの最中に、日本版オリジナル歌手の皆川おさむさんが新録盤のシングルCD「だんご3兄弟/黒ネコのタンゴ」をリリースし、話題になりました(子どもの歌のヒット曲繋がり?)。
「おかあさんといっしょ」では、1998年5月に行われたファミリーコンサート「歌だ! ダンスだ! おまつりだ!」の中で「黒ネコのタンゴ」が唄われています。

原曲のタイトルは?

1968年 トレロ・カモミロ(IL TORERO CAMOMILLO)
1969年 黒ネコのタンゴ(VOLEVO UN GATTO NERO)
1969年  ニッキ・ニャッキ(NICCHI SGNACCHI MUCCHI MUCCHI)
1972年 チンチンポンポン(CIN CIN PON PON)
1988年 カレーだヒッホッホ (FILASTROCCHE E TIRITERE)
1989年 ぎんいろのこねずみちゃん(CORRI TOPOLINO)
1990年 おまじないのタンゴ/おどろよタンゴ(UCCELLINO DELL’AZZURRO)
1991年 パパはこまったちゃん(BAMBINISSIMI PAPA’)
1993年 ベートーベンのおばあちゃん(LA NONNA DI BEETHOVEN)
1994年 ソリダリエタはまほうのはな(SOLIDARIETA)

NHK教育でオンエアされている主なゼッキノ・ドロ入選曲のタイトルの日伊対比表を作ってみました。「おかあさんといっしょ」でおなじみの曲もありますね。

「ベートーベンのおばあちゃん」(LA NONNA DI BEETHOVEN)は原題通りの日本語タイトル。”BAMBINISSIMI PAPA'”は「子どもっぽいパパ」という感じでしょうか。
なお、「おまじないのタンゴ/おどろよタンゴ」(UCCELLINO DELL’AZZURRO)はアルゼンチン、「ソリダリエタはまほうのはな」(SOLIDARIETA)はエジプトの曲だそうです。

カレーだヒッホッホ

「おかあさんといっしょ」でしばしば放送される「カレーだヒッホッホ」(FILASTROCCHE E TIRITERE)。
オリエンタルなメロディ、歌詞もアニメも、日本語版はいかにもインドという雰囲気ですよね。さて、原題はどういう意味なのでしょうか。

オンラインの辞書で調べたところ、イタリア語の”FILASTROCCHE”は「童謡、子守歌」あるいは「意味のない詩」、”TIRITERE”は「くだらない[とりとめのない]長話」。”E”は英語の”AND”です。
となると、「意味なし歌と馬鹿っ話」とでも訳せば良いでしょうか。

あれれ? カレーはどこに?

我々はイタリア語に疎いため、オンラインの機械翻訳サイトを利用してイタリア語から英語へ、そして英語から日本語へと訳しながら意味を調べているので確証はないのですが、どうやらこの歌、インドもカレーも関係ないようなのです。

日本語の歌い出し「インドのおじさん ターバン巻いて」の部分は、イタリア語は”Pim pum d’oro la mela, l’arancia”となっています。もしかして、”Pim pum d’oro”の音の響きを「インドの」とあてて、オリエンタルなメロディから辛いカレーのイメージの日本語詞が作詞されたのかもしれません。

イタリア語に詳しい方は、「Nenanet – Favole per bambini: filastrocche」というページに”FILASTROCCHE E TIRITERE”の歌詞が載っていましたので、ぜひインドカレーとの因縁を探ってみてください。【み】

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