[20C-0012]週刊女性 1966年1月8日号

「20世紀バックナンバーズ」は、昭和中期頃の雑誌に掲載されていた記事を現代の視点で楽しむコレクションです。なにぶん古い雑誌から収集した記事ですので画像に汚れや破れが目立ちますが、何卒ご容赦ください。

誌名 週刊女性 1月8日号
出版社 主婦と生活社
発行日 1966(昭和41)年1月8日
表紙 Paula Feiten

表紙モデルのPaula Feitenは、「mehvaccasestudies.com」さんによると、夫は映画監督のアレックス・マター、息子は「Dancers Among Us」という作品で注目を浴びたフォトグラファーのジョーダン・マターだそうだ。IMdbで検索したところ、1966年のアレックス・マター監督作品「The Drifter」にPaula Feitenがウェイトレス役で出演していた。

明治神宮開運おみくじ

ヨシノ1月号なのでおみくじが載っている。大吉だと抽選でセイコー置き時計が当たる。
この雑誌を買った人は残念ながら小吉。あまりきれいでない破り方に、正月にお茶の間かどこかでさほど期待もせず開けて「あー小吉だ」といってその場に小さな笑いが起こった様子が想像できる。
今でもこういう企画はあるのだろうか。大吉や吉、小吉を決まった部数印刷して折ってのりづけし製本するという年末の製本屋さんの苦労も伝わってくる。

「吉展ちゃん誘拐殺人事件」のその後

ヨシノ1月号なのに暗い印象の写真。村越家と聞いてもわからない方も多いだろうが、「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の被害者村越吉展ちゃんの実家である。この前年の夏に犯人の小原保が逮捕され、吉展ちゃんの遺体が発見されている。

あなたはほんとうの自分を知っていますか?

ヨシノ雑誌から外して楽しむ折込の記事。裏はすごろくになっている。好きな花を選ぶと、自分が心の中で求めている車やアクセサリー、男性のタイプがわかるというものだが、何が好きかはこんな手順をふまなくても自分で知っているのではないか。
ムダな余白や妙に間隔の空いた文字もありどことなくうさんくさいこの企画、「アドバイス 稲村耕雄先生(東工大教授)」とある。調べてみると稲村耕雄氏は染料分野での専門家で「日本流行色協会」「国際流行色委員会」などを設立したいわば流行色の権威であった。
男性の人選は各国の俳優に加えて日本からは高橋幸治が。この前年に大河ドラマ「太閤記」で織田信長を演じ、66年の連続テレビ小説「おはなはん」で主人公の夫役に起用されるなど、この時代の女性には大変な人気だったのかもしれない。

原宿族って何ですか?

ヨシノ六本木族、みゆき族などに続く若者の流行の最先端は「原宿族」だと紹介する記事。ティーンエイジャーが深夜レストランや喫茶店にたむろし、補導されているという。
現東急プラザ表参道原宿の場所にあった原宿セントラルアパートにあった「クレドール」「レオン」という店がその中心だったようだが「泉麻人が綴る、原宿・表参道『オシャレカルチャー』変遷史」というページにスタイリスト高橋靖子さんのブログに当時ファッションや音楽、芸能関係者が集まっていた「クレドール」「レオン」の様子が詳しく描写されている。

淡谷のり子炎上中

ミヤシタ先代の林家三平の対談コーナー、第6回目のゲストは歌謡界の大御所淡谷のり子。
「いまの若い歌手は歌手じゃない。歌屋だ」という発言が“炎上中”の旬の人である。
この対談でも延々と若手歌手への批判を語っている。
ただし、どこまでが本当に彼らが言ったセリフでどこからが編集部が作った文章なのか。ふたりとも泉下の人となった今はもう確認する術もなかろう。
たとえば、若手歌手のこんなエピソード(文中の「ボク」は林家三平)。

淡谷 若い人にひどいのがありますよ。
ボク だれですか。
淡谷 だれだったか、楽屋で話しているのを聞いていましたら「上手じょうずに入って、下手へたに出ろってマネージャーがいうんだが、どうするんだ」といっているんです。
ボク 「上手じょうずに入って、下手へたに出る」とは……。
淡谷 よく聞いたら、上手かみて下手しもてなんですよ。(笑い)「週刊女性」1月8日号

いや、どうですかこれ。何か違和感がありませんか?
一見、よくできた「のり子淡谷のすべらない話」。
しかし、責められるべきは「かみて」「しもて」を「じょうず」「へた」と誤って指示したマネージャーであって、若手の某くんに罪はない。そもそも会話の中で、こういう間違いや勘違いをするだろうか。「上手に入って下手に出るように」と書いてあるマネージャーからの置き手紙でもあったのか。でも、淡谷の発言は「マネージャーがいうんだが」だし…。
さらに、淡谷の発言はこう続く。

淡谷 あたし、客席から見て左が上手で、右が下手だと教えてあげたら、キョトンとしているの。
ボク ひどい。たいへんですヨネ、ホント。「週刊女性」1月8日号

のり子ー、逆、逆ー。
「客席から見て左」は「しもて」、「客席から見て右」が「かみて」。たぶん淡谷は「演者から見て」とか「ステージから見て」と言っていたはず。
万が一、淡谷がうっかり言い間違えたのだとしても、対談相手は舞台で仕事をしている噺家だ。上手下手の区別がつかないわけがない。「たいへんですヨネ、ホント」じゃないぞ三平。
もし、これが本当にふたりが言った発言だとしたら、の話だが。
この他、「学生時代にヌードモデルをした」というおなじみのエピソードと丸山明宏(現美輪明宏)との丸山明宏だって、最初にあたしのところにきたんですよ。あたし、いってあげたの。「女形になるよりだめじゃない」……と。(笑い)そして、いつまでも女だとモテませんよって。(大笑い)という謎のエピソードあり。

ヨシノ淡谷のり子といえば1960年生まれの私にとっては歌謡界の口うるさい大御所、ただ歌を聞いても大御所たる所以がいまいちピンとこない存在であった。彼女の全盛の時代を知らないということなのだろう。
彼女によるこの若手批判も、リアルタイムにではないかもしれないがなんとなく覚えている。記事によれば1965年の紅白歌合戦の出場者選考の際に「いまの若い歌手は歌手じゃない。歌屋だ。」と発言して問題になったようだ。「歌手じゃない、カスだ」と言ったという話も聞くが、リアルタイムのこの記事が正確なところだろう。
この発言に対しTBSが「ハートのない歌手」という番組で淡谷へ反論したり、淡谷のもとへ脅迫状が届いたり、レコード会社の反発を招いたり、と今で言う大炎上が起きたようだ。

電子計算機が選ぶあなたの夫!

ヨシノ「IBMにより科学的に相手を調査し、理想の伴侶を紹介する」結婚相談所、マリッジ・リサーチ協会の紹介記事。コンピュータをつかって理想の相手を…今で言うマッチングアプリではないか。77項目のアンケートに答え、パンチカードに打ち込み電子計算機にかけると、1000件の相手との相性が「わずか」17分でわかるというが、処理速度に隔世の感は否めない。
誌上ではこれをシミュレーションするため、質問を減らしたアンケートに答えると相性の良いタイプの相手が見つかるようにしている。そして誌上に20人の男性の名前とプロフィールつき写真が掲載されているのだ。
出身学校や勤務先は実在する学校や企業の名前。名前も実名なのではないか。企業に広告代理店や印刷業者が多いことから、出入りの業者に声をかけて個人情報を集めたものとみられる。個人情報に無頓着なこの時代ならではの企画だ。

1966年のおせち番組

ミヤシタ1965年末から1966年正月にかけての特別番組の紹介記事。
29日、三木鮎郎と天地総子の「勝ち抜きテレフォンクイズ」が気になる。ウィキペディアで確認したところ、別に年末特番ではなく通常の放送だった模様。なお、翌年に水曜夜7時から水曜19:30枠へ移動したとのこと。
31日の「年忘れエレキ大会」も面白そうだ。「エレキ」から「紅白」のハシゴで歌三昧の大晦日。
明けて2日の「歌う年賀状」。「スタジオ・ナマ中継」で「テレビを一般視聴者に開放」し、「参加者が自分の好きな歌をうたい、芸をやり」って、カオス空間出現の予感。
3日の舞台中継「坊っちゃん」も見てみたい。前年の大河ドラマ「太閤記」に主演した緒形拳が所属する新国劇の9月公演。坊っちゃんが緒形拳、辰巳柳太郎が山嵐かな。大村崑はたぶんウラナリだと思うけど女装してばあやのきよという可能性もあり?

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