今井ゆうぞうのダンスの不思議

4月からずっと考え続けてきた。
「おかあさんといっしょ」の歌のおにいさん・今井ゆうぞうのダンスの不思議。
美しい手の動き、キレの良いターン、雰囲気のある表情。今井のダンスに対するセンスは抜群だと思う。
だが、どこかがおかしい。何かがヘンだ。

たとえば「ぐるぐるキッチン」のテーマを歌っている時の腰の振り方。エンディングの「スプラッピ スプラッパ」の駆け足風の振付の時のステップ。
今まで見たこともないような妙な動き。
リズムにのっているようなのっていないような、重たいような軽やかなような、誠に不思議なダンスをするのである。
今井が番組に登場した4月から、どうにも気になって仕方なかった。

昨日、NHKホールで開催された「ぐ〜チョコランタンとともだちいっぱいオンステージ」で、初めて今井をライブで見て、ますます頭の中に「?」マークが増殖。
ETVの人気者たちが次々に登場する楽しいステージを堪能しつつも、「一体、この違和感はどこから…」と、今井のダンスのことばかり考えてしまう始末である。

小首を傾げる、目を伏せる、笑顔、寂しそうな顔など、ここぞというタイミングで見せるドラマティックな表情、流麗な手の動き、驚異的にしなる指先…など、上半身のダンスは文句なしに巧い。
キュッと音がしそうな鋭いターンの後にキメるポーズの格好の良さも特筆に値する。
だが、しなやかな上半身とは別人のような不思議な動きをする下半身。

最初、痛めた腰を庇っているのかと思った。
腰を庇いつつ踊っているため、下半身の動きが上半身の動きとうまく連動していないのではないか、と。
しかし、キレの良いターンや春のファミリーコンサートでの体操のおにいさん顔負けの高いジャンプを見て、その可能性は薄いとみた。腰の悪い人は、あんなに高くは飛べないだろう。
あの不思議な動きを再現するにはどうしたらいいのか、素人なりに必死に考えたところ、足の裏をなるべく床から離さないようにしながら踊ると、今井風のステップになることに気づいた。

普通、ステップを踏む時は、片足全部、あるいは半分くらいが床から上がる瞬間があるが、今井の場合、足をほとんど床から離さず、すり足をするように踊ることが多いような気がする。
文章では非常に表現しにくいのだが、試しに足の裏を床から離さないように意識しながら「スプラッピ スプラッパ」を踊ってみてほしい。
いかがだろう。今井っぽいダンスになったのではなかろうか。

というわけで、専門的なことはわからない素人ながら、“今井のダンスの不思議のポイントは足の裏”という結論にとりあえず達した私である。的はずれな指摘かもしれないが、どうかご容赦願いたい。
そして、なにより不思議なのは、今井のこの不思議な動きが、彼の魅力を損なう要因に全くなっていないこと。
ダンス同様に妙な味のあるトークも含め、今井の天然っぽい魅力を形作っているように思う。

さて、今井が番組に登場して4ヶ月。
彼のダンスが楽しめる歌のクリップはまだまだ少ないが、これからもっと色々なダンスを見せてくれることだろう。ルンバ、タンゴ、ラップ、日舞風…とさまざまなリズム、さまざまなイメージの振付で、今井の不思議な味を充分に引き出してほしい。【み】

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